邦ロック最前線情報局

元地方勢の目線から、邦ロックの最前線を

大好きな関東ロックバンド3組が新譜出したから聴いてよ

このアカウントではお馴染み。(勝手にすんません)
関東の大好きな3組が先日、アルバムやEPをリリースしたので、まとめてレビューしました。

ホンマに聴いてほしいよ!

MOCKEN『STAND BY ME』


埼玉越谷・MOCKEN、待望の1st full albumです。
なんてったって遊津場的2021年年間先取り大賞バンドですから(せーの、「なんそれ!」)。

全国各地で多くライブをする、生粋のライブバンドで圧倒的な熱量があります。
ただ、そういうバンドにありがちな楽曲も勢い任せなとこあるんじゃないかという不安は全く必要ありません。
10曲通して非常に曲ごとの温度の高低、幅が広いなと感じました。

それは『ヘッドフォン・ガール』の歌詞にも出てくるBUMPやRADへのリスペクトも感じる曲の物語性×ソングライターの永野さん(Vo.Gt )の内にしかない等身大の実直性や妄想力×今の音楽シーンへのきっちりとした探究心が、全く無理のないバランスで混ざっているからです。
なので強さ光るギターロックも、『海の向こうには』『話したいことがあります』といったミディアムチューンも、何のストレスもなくフレーズも何もかも入り込んでくる爽快感があります。
それでいて終盤2曲は、音楽家としての気持ちを最大限に詰め込んだ『LAMP』と、ライブバンドという締め方を見せつける『またね』という、特にプライドを感じる曲。
これがまたアルバムを通してのキレイなグラデーションを決定付けていました。

クセのない実直な歌声が歌詞をしっかり届けるうえ、欲しいところに欲しい音がくる鍛え上げられたバンドサウンドなので、MOCKENが近くでたしかに支えてくれると実感できるアルバムとなってます。

Bocchi『思春期と時間旅行』



自主企画も連続SOLD OUTのBocchiの2nd EP。
あ、2023年年間先取り大賞バンドです。(なんそれ!)

もうタイトルが新海誠の世界観。
でもそこに違わないクリアな曲たちです。
ハッと電撃が走るような情景描写を切り取ったフレーズはレベルアップ。
個人的には、いきなり青さ全開の焦燥感が心地良い1曲目『青春透過』の「今日がひとりぼっちからの卒業式」という歌詞が好き。

ここから2曲目、3曲目と右肩上がりにドラマチックになっていくのに、作詞作曲が毎曲一緒ではないことも驚き。もうこれは普通に驚き。

でもそのセンチメンタルで儚い世界観が、『産声』でちょっとトーンが変わる。英歌詞も入ったことでアクセントとなっていて、これはEP通して聴くからこその心地良さ。
『夜行列車』はファンタジーな世界だし、ラストの『ルックバック』は1曲目の『青春透過』との繋がりも感じる、20歳ほどのメンバーが大人に向かう心境1つ1つじっくり噛み締めて歩いていくような曲。
後半のこの変化した感じが進化だし、時の流れを感じさせる。

歌モノロックが貪るように消費される時代だけれども、Bocchiは変わらず長く愛されると自信を持てるEPです。

Broken my toybox『My Fantasia』



ブロークンの1st mini album。
発売記念企画にはなきごと、SHIFT_CONTROLと豪華なスリーマンでしたね。
年間大賞…とかそんなことする前から推してます。

1曲目の『幸福のすべて』からアルバム通して全体的に念押して真っ向に力強くメッセージ発してるというイメージ。
もちろんVo.Gtの藤井さんにしかない怒りやストレスの表現や、希望の表現の切れ味や角度はあるんだけど、より分かりやすく貴方の手を取ってくれます。
それは何か変わった気もするし、時代にも合っているのかなと思う。

なのでよりPOPな音色は増している。
でも『Up to』のロックな繋ぎから『メロディーメーカー』の

テレビサイズでお届け
出来ないステージの上で
歌え、最期の時まで
さらば、長い夜が明ける

この感じ(区切りも大切)はバチバチにロックバンドなんですよね。

2曲のインスト含む8曲22分だけど、いろんな可能性を見せてるから、ボリュームはもっとあるように感じて、贅沢な気分になれます。
「新しい名刺代わり」と藤井さん書いてたけど、間違いなく気に入る曲が見つかると思いますよ。