邦ロック最前線情報局

元地方勢の目線から、邦ロックの最前線を

GREENSPARK SPECIAL感想

4/29に大阪城音楽堂、つまり野音で行われた関西のコンサートプロモーター・GREENS主催のイベント「GREENSPARK SPECIAL」に行ってきました。

非常に通なメンツ×チケット代1000円という破格設定で、10代20代だけでなく、大人、親子連れ、外国の方も少なからずいるなど、幅広い客層が来場。
天気が心配されましたが、結果的に強く雨が降る時間もなく、曇天に少しぱらついた程度で済みました。

むしろビビって天が雨止めさせた説もある、そんな圧倒的なライヴの数々。
ポストした内容をまとめ、追記してお送りします。

ルイ(Opening act)


「BGM流れてるなー」と思ったら生歌でした。
弾き語りなので当然ライヴでの歌声が占める魅力の割合はデカくなるけど、初見でも「一張羅」や「愛の囚人」という歌詞に込めたメッセージがしっかり届くライヴ。
これから全国へと羽ばたく彼だけど、全編振り返ってみたら、今日出てきた数々のエキスパートなバンドに負けない個性を持ってました。

(夜と)SAMPO

相変わらずエクスプロージョンしてるギタープレイはもちろん、
「プレゼンで鍛えられたメンタル」
「明日仕事の人いますか?…厳しいこと聞いてごめんさない」
「(メンバーに)明日仕事?仕事?俺ら(ベースの加藤さん)有給」
という、社会人バンドらしさたっぷりのMC。
そんか社会人バンドによる、明日から連休まで地獄な人に届けられた『idea』の”ここは天国ではない でも地獄からは一番遠い場所”という歌詞にどれだけ今日来た意味を感じ、力付けられたか(耳で聴いてるだけなので若干違うかもしれませんが)。
そしてここまで力付けられるのは、このバンドしかいないなという時間でした。

Klang Ruler

野外という区切りのない世界でも、宇宙旅行行きのロケットに乗せられた気分で、これライブハウスという箱の中だったら、もっと没入感あるんだりうな。ワンマンで確かめてみようぜ。

そことちょっと90年代っぽさを感じる温故知新さのバランスに、やすださんの熱量の高い煽りが加わる。こんなはしゃいだら酸欠になる。宇宙でそれはヤバイ。

あとはシンプルに男女ツインボーカルバンドとしてのレベルの高さがフィーチャーされてもいいと思ったので、本人が言うところの自己紹介は大成功だったでしょう。

Ivy to Flaudulent Game

彼らのリハから雨が振り始めたけど、
「何か起こりそう」と不敵に笑い、本編では「大人なんだから馬鹿やろう」「もっと降ってこいよ!」と天を煽る。
「30分しかない中でやることは1つ、1番を取りに来た!」とも叫んでたな。

自分のバンド名噛んだり、お茶目なMCもあったり、この場所を作り、今日来てくれた人への熱い思いもしっかり伝わってからの「信じて付いて来て」という寺口さんの言葉1つ1つにもずっと注目している自分がいた。
僕含め初見の人も多かったけど、年齢関係なく本能が沸き立つメロディだった。今の学生からしたらIvyは年上の部類かもしれないけど間違いなく刺さりますよ。

the shes gone

言葉の力で言ったら彼らも強かった!
本来ラブソングなはずの『甘い記憶』も『最低だなんて』も、今日の野音に来ている人のために鳴らされているナンバーだったし、
「背中を押すなんかでは足りないな!」って言った後なんて言ったっけな!?(別に公式レポじゃないのでライブ中メモなんか取ってない)
とにかくその力強いMC後に演った『エイド』がとてつもなく体内に入り込んでガッツを促進していく感覚があった。

最後までお客さんを気遣うことを含め、このバンドを好きになっていく要素はあまりに多い。

パスピエ

個人的には10年振りのライブなんだけど、そりゃもう何度もイヤホンから救われてきたバンドなので感慨深い。
で、これは勝手に思ってることだろうけど、そういう感慨深さがある程度会場内にもあって、20代や自分の同年代のアラサー、少し上の世代からの「やっと会えたね」を互いにしていた雰囲気もありました。そこに多くのピュアな「初めまして」もあり、そしてバンド15周年といくら時が巡ろうといつでも”前衛芸術な印象派ロック”が会場を盛り上げていたのが最高な空間でした。

右に左に縦横無尽に動き、様になるポーズも取りながら、「大阪いくよー」「まだまだ踊れるー?」と魅惑的な存在感が増している大胡田さんのボーカルと、成田さんのキーボードに代表されるように複雑に見えるけど、実はすごく5ピースのグルーヴがシンプルに強く出ているバンドサウンドが、このキャリアの説得力。
『S.S』や『チャイナタウン』もやってるし、
わたし開花したわ。

Laura day romance

今年入ってからの活躍がすごい。
FM802ヘビーローテーション味園ユニバース、大阪ビルボードライブ、BIGCATワンマンと大阪でもトピックだらけだ。東京でもメトロックも出るしね。
そのヘビロテ曲『透明』も披露。

曇天だし、時間も遅くなってきたし、なのにローラズの周りだけは鮮やかな新緑が見えたのが、なんなら一番の「GREEN SPARK」だったかもしれない。マジで横揺れしてたら、いつの間にか終わってた。
だからこそ個人的には『Young life』のイントロには驚かされたけども。

ドミコ

リハからドミコ。サディスティックなやつめ。
本編は勿論、ただただドミコにシバかれ続ける時間。みんな良い音鳴ってた。
もう完全に夜なことも相まって照明のフラッシュも刺激的なファクターに。
『ペーパーロールスター』の間奏を見てしまうとワンマンだったのかなと勘違いしてしまうよね。

そして本当に要所でのシャウトが痺れる。
彼らはダミ声ではないけど、でも確実に90年代のダミ声のロックスター達の男らしさに一番近いものがある。外国の方にもウケてたし、この2ピースに足りないものがあるなら教えてほしいね。

チョーキューメイ

キャリアだけ考えれば抜擢という言葉を使ってもいいのかもしれない。
Ivyも、パスピエも、ドミコも容赦なかったし。
その流れを汲んでるのを、今日は特に耳の肥えたお客さんが多いから、リハから優しい拍手が聞こえてきてた。

知らなければインスト曲かと思うような、完成度の高いイントロの『おやすみパパママ』
夜の野外ならではのダイナミックなピンクの照明での『貴方の恋人になりたい』は、大勢のクラップもあって甘美のカンスト状態。

約束の歌『promise you』
曇天を貫く願いの歌『リンカーネーション
麗さんがハンドマイクでギターレスでも高い表現力で会場を取り込んだ『sister』
そしてまだサブスク解禁されていない、明るい曲調の『ピクニック』が今日の多幸感を全てまとめてくれた。

和とか洋とか中とか書いたけど、なまじそのスケールに合うものを見つけられない。
チョーキューメイの解析結果は、一旦JAPAN JAMという春フェス3度目の野外に持ち越されましたが、答えはずっと先になりそうです。

まとめ

集めれそうで集められないメンツを大阪で実現してくれて(しかも1000円で)ありがとー!という気持ち。
初見のバンドに刺さる人も多くいたと思う。

個人的には今日のバンドはBIGCATクラスが揃っていたんだけど、アラバキやJAPAN JAMがあったとは言え、関西バンド1組は寂しい。
でも少なくてブッキング難しいのも事実。

関西にもただただ良質なギターロックバンドやルーツやスタイルがインディーやカントリー、古い洋楽など唯一無二な若手バンド候補は絶対いるので、その個性を関西内でしゃぶり済まされる前に全国に届けて、またこういう日に春の大阪野音に戻ってきてほしいなと思いました。

それでは、また。