邦ロック最前線情報局

元地方勢の目線から、邦ロックの最前線を

Chevonの『Chevon』をなる早でレビューした!


この日をワクワクしながら迎えました。
Chevonの初の全国流通アルバムがリリース。15曲収録の大ボリュームで、パッケージ名もズバリ『Chevon』。まさに名刺代わりです。

恐らくちゃんとしたレビューやインタビューはもうChevonの今の勢いなら、知らんけどですが、どこかの音楽メディアでやってると思います。
なのでこれはほんの個人的感想に過ぎないのですが、一応ライターっぽいことさせていただいてる人で、2021年7月からChevonを追ってる人は他にいないと思うので、そういった目線の感想だと思ってくれたら多少は別の共感があるんじゃないかと思って書きます。

しっかりアルバムになっている安心感


Chevonのスタイルもあって、今回の15曲中13もの曲が、このアルバムより前にサブスクやYouTubeで既に配信・公開されている曲でした。ラジオも含めたら下手すると全曲?
こういう時に一抹の不安になるのが、「ただの寄せ集めになってないかな?」というやつです。
答えは表題の通りなってなかったし、「Chevon何となく知ってるよ〜」って人にも通して聴いてほしいです。本当にちゃんとした幕の内弁当になってるから。

🐐🐐🐐

彼らの始まりの曲でもある『No.4』が1曲目であるが、そこからリリース順に曲が進んでいくわけではなく、先行リリースの『ダンス・デカダンス』と、新曲の『ですとらくしょん!!』が続く。
タイプは違うが、ノリの良いフロア上げてくソングと言えるライブの強さが出た1〜3曲目。

4〜6曲目はよりフィクション的なストーリー性を孕んだ楽曲が続く。
ボカロやSFアニメにも通ずるストーリー性の『ボクらの夏休み戦争』、深夜らしいドラマのタイアップ曲にもなった『ノックブーツ』、淡いタッチで文学少年少女の恋を描きそうな『サクラループ』と、Chevonの多様なルーツを感じられる。

7曲目の『薄明光線』は、よりChevonメンバーの真相心理に触れながらも前を向ける曲。
正直ここで「Chevonありがとー!!」とクライマックスになるだけのクオリティがあるんだけど、続く『セメテモノダンス』とのコンボができるのがChevonであり、このアルバム。これでは誰も置き去りになれないのです。

この折り返し地点で感じるのは、彼らにどういうルーツがあって、ここまでの20年以上を生きてきて、Chevonで伝えていこうとしてるか。
圧倒的な才能と片付けられやすい表現力には、一歩一歩重ねてきた愚直さが伝わります。

ある意味そういう人間性を見せてから、『Banquet』と『大行侵』、そして少年ジャンプの企画曲ともなった『クローン』が続くのは非常に効果的で。
一段とプロフェッショナル度が増して、次のシーンを喰らっていくスケールを携えた曲達だけど、その行進や晩餐会に我らリスナーも参加してる感覚がある流れにしてくれてます、このアルバムは。

そしてまた長年のリスナーならニヤリとする『antilion』から『光ってろ正義』のコンボ。
そしてそんな狂乱を14曲目にして増長させる『革命的ステップの夜』。これも十分これで終わっても「Chevon楽しかったよー!!」で終われるんだけど、ラストの新曲『スピンアウト』が夜明けへ、ある意味無情なまでに誘う…
ゆえに「さぁ、次のChevonを見せてくれ」という期待感は増して終わるのだ。
映画かな?

まとーめ

Chevonは正体不明感もあるんだけど、このアルバムではメンバーの生きてきた音楽人生をリスナーとしても感じられるところがあります。
圧倒的な邦ロック曲やボーカロイド曲、歌のみならず漫画や小説などの作品へのリスペクトと凌駕していく覚悟を感じながらも、あえて歌詞を借りて言うなれば「凡人」であること、Chevon自身も20代前半の若者であることを、実は全然包み隠してない。
彼らの歌がこんな伝わってくるのは、もしかしたら歌唱力などの技術面以上に、むしろそういう目線にちゃんといてくれてるからなんだなぁとアルバム通すとより分かりました。

恐らくですが、多分彼ら的にはインターネットで単曲で楽しんでくれるのも、十分OKというスタンスなんじゃないかなと思います。
でもアルバムで聴くとより楽しめる仕組みを作ってると思うので、ぜひこのアルバムも愛してほしいなと思う1枚です!

2023上半期にピックアップしときたい6曲

2023年も半分くらいが過ぎましたね。
いつも上半期はどういう風にまとめようかなと思うのですが、今回はシンプルに個人的トピック的な6曲であります。
「もっと聴かれてほしい!」という数字面だけじゃなく、「こんな曲作ったんだから只者じゃない!」と期待を抱かせる6曲です。
どうぞ!

the pullovers『むてきのふたり』


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いろんな経験をしてたどり着いた自然体なバンドだから表現できる愛の深いところ。
そんなバンドの音楽だからこそ除き見ることができてしまった、"ふたり"の不可侵領域。
始まりはなんかサウンドがキラキラして、紆余曲折を経て、綺麗な愛に駆け抜けて終わり的な展開かと思ったら、「これがわたしたちの愛情?」という歌詞から、ちゃんと不穏になって、壮絶なアウトロ。騙されるドラマチックギターロック。

ボーカルのCettiaさんも、ギターの佐々木さんも、このバンドの前から精力的に活動されていたけど、今はここまでの「日常=音楽」というゾーンに入ってるんだと認識。
派手さはなくとも、これからも西永福から名曲を響き渡らせるし、関東の若手は彼らを通るだろうなと感じました。


あるくとーーふ『太陽の沈む街』


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ファンタジーの宝箱を沢山持ってる若手バンドといえば、メジャーデビューしたクジラ夜の街を思い付く人が多いでしょうが、あるくとーーふも違った味わいのファンタジー宝箱、沢山持ってるんですよ。
で、この宝箱を開けてみたら、謎の海の、謎の船の上の、謎の寝室に、謎の時間帯に、一人ぼっちで連れてこられた。そしてこの利佳子さんのハミングから、バンドの放つスモーキーなサウンドに包まれる。個人的にはたまらなく心を奪われた1曲です。

クオリティの高いPOPを鳴らし続けて、ついに映画主題歌も決まった、あるくとーーふの進撃に注目しましょう!

G over『drive』


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匿名性の高いSNS発アーティストの鳴らすオシャレ音楽に飽きてますよね?僕は飽きてます。

そんな中でこの曲がMV50万回再生間近なのは、1つのきっかけになりそう。
このG overもまぁそういうタイプと見られてたんですけど、まずバンドであって、ならではという域を超えた骨太なバンドサウンドとボーカルのカリスマ性が、ついにしっかり届いたと感じます。そしてこのMVはついに本人達が出演していて、いよいよ生ライブになるのでは…と期待しています。
わりと活動開始から追いかけているバンドですが、今までの突き刺す感じから、「こっちにおいでよ」と余裕が出た感じのタイミングが、すっごいバッチリだったような。下半期のニュースがとても気になる。


リスキーシフト『NO SMOKING』『ゆれる』


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先日が初大阪(見たかった)ということですが、いやもっと全国に知られてほしいなというバンドの1組です。
スペースでyodomiのこーがさんに聞いて尚分かったのですが、音楽の引き出しがやっぱり多いんでしょうね。『NO SMOKING』のキュートさも、『ゆれる』が見せる情景も、良い意味で本当に嫌らしいコースをついてきて、何回も見逃し三振を喰らっては、ニヤついてしまいます。


HATAKE『boys』『傷口』


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淡路島から精力的に届けていたバンドカバー動画から話題となり、今や全国のライブハウスを駆け抜けているHATAKE。
ただただカバーでワンチャン狙うようなバンドではないことは分かってたし、ずっとライブ見たいなと思ってて、今年の3月にやっと初めてライブを見れました。

もうめちゃくちゃ良くて。ライブハウスで見るピンボーカルの良さが、かなり伝わってきたのが印象的だし、ずっとカバー動画上げてきたからこその一体感?それが爆発した『boys』という曲がすごかった。
そしてそこからまもなくして発売されたミニアルバムの名前が『Boy's』。収録されてるのかなと思ったら無かった 笑。ただ恐らくまだまだ上のステージに行った時にまで収録は残しておきたいのも分かるくらいの曲。YouTubeに自宅アレンジのはあるので、気になる人はぜひ。
それとはまた違った大人に向かうことをしっかりとした王道なバラードとして歌う『傷口』がまた良い曲。

まぁ良いライブは上半期も沢山見たけど、印象が一番変わったという点では、彼らと、DNA GAINZというバンドでしたね。


Enfants『Play』


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この攻撃力、最高。
テレンのメンバーとは同い年というのもあるので、メチャクチャ感じる「これが30才の、特に男の感受性です」というところ。

「つまるとこ、人生はそう」というのを再認識して、これからサバシスターとか、Organic Callとか、amanojacとかのバンドと対バンしていくんでしょ?手強すぎ。
最近はシナリオアートCzecho No Republicといったバンドが、20代前半のライブハウスシーンのバンドとやってる印象あるけど、このミックスが趣向的にたまらない。にしてもEnfantsは劇薬になりそうです。



まとめ

音楽の海は広くて、まだまだ出会ってない名曲や、実は聴き返したら名曲もあるでしょう。
その候補になれば幸いですし、下半期ももっと広く聴いていきたいです!

ちなみに上半期ランキング的なことをすると、BUMP OF CHICKEN『窓の中から』が根強い1位になりそうなんですよね。それを覆す曲に下半期出会えるか。楽しみです!

それでは。

関西の原石大集合!十代白書2023ファイナリストをチェックしてみた


今年もこの季節がやってきました。
言うなれば今年度の、この1年の関西No.1のU20アーティストを決める大会です。

本当に今、関西のこの世代が充実していて、
全国のリスナーの注目度はどんどん上がっていると思います。
それはコロナ禍の中でも関西の若手アーティストが頑張ったから他ならぬでしょう。
その中でも独自のアプローチで全国区となったasmiなど、この大会の優勝者・ファイナリストは大きなきっかけを掴んでると感じます。

今年も魅力のあるファイナリストばかり。
しかし現地で見てますが、当日勝つのは、やはりその日一番良いライブをした出演者!
それを楽しむ一助になるブログであれば幸いです!
それでは、どうぞ!

※最新情報は公式サイト・SNSをご覧下さい。
※紹介順は出演順ではありません。

公式サイト
https://juudaihakusho.com/

ゆらる

伸びやかな歌声と全力な演奏が魅力的なロックバンド。変に変化球は投げずとも、自然と耳がついていくメロディと歌詞。
昨年の十代白書の予選もチャレンジしており、ついに掴んだ決勝となりました。

予選のOSAKA MUSEで見たんですが、トップバッターながらストレートで決勝進出でした。
12月と2月のライブ動画が上がってたのですが、やっぱり2月のほうがより充実感も感じて、急成長の最中じゃないでしょうか。こういう勢いのあるバンドは一気に行く可能性あります。
ちなみに4月には4人体制になるとか。


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THE SOUND STAR

中高生3人姉弟バンド。
あらゆるコンテストでも名前を連ねており、その勢いは関西のみならず全国に。
Eggs総再生回数も20万回超え、YouTubeも積極的に投稿、これぞZ世代のバンド。
ライブハウスだろうが、路上だろうが、オンラインだろうが、ホールだろうが…
ブレずにやってきた3人がBIGCATで輝くか。

eggs.mu

oOo

読み方は「オー」
なんだか不思議と関西のライブハウスシーンを追っていると、まだ音源等もなかった頃から徐々に名前を聴き始めた。
ともすればハードルも上がった中、激戦のセカラン予選をストレートで突破。

11月に初音源&MV『また』を公開。
柔らかさの中に、全貌の掴めないスケール感がある。3/22解禁の新曲では、どんな姿を見せるだろうか。
その後もしっかり関西の先輩、同世代、後輩と対バンを重ねた彼らの包み込みに期待。

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センチメンタルリリ

京都から10月始動の新星がBIGCATに参上。

ギターポップロック”を掲げる彼ら。
それに恥じぬ、描く情景が心にしっかり染み込む『国道25号線』。
どのタイミングで鳴らしても心を軽くするだろう『風穴』。
バラード調の『ワンルーム』も生で聴いてみたい。

将来的に関西ライブハウスシーンから、さらに多くの喜怒哀楽に寄り添えそうな彼らが、当日はどんな曲で勝負するのか注目だ。
公開ほやほやの初MVドン


https://youtu.be/ZpIsPPZEmIk


CRYSOON

ライブハウス関係者からは「このファイナリストの中でも、ライブバンドらしいバンド」と聞く。
なるほどライブ予定を見ても、先輩バンドにもどんどん向かっていって、
SNSのライブ動画を見ても、言葉より先に音楽で伝えようという気持ちがビシビシ伝わって、
大阪のライブハウスの伝統を繋いでいくバンドになるかもしれない。てかまず見たい。
長袖を着に来たお客さんを後悔させるほどの熱いライブを。

https://twitter.com/CRYSOON3?t=uHiyxH6SUwcBEtR1bB80Mw&s=09

イアイリ

高校2年生のSSW。テスト中に曲が浮かぶとか。
オリジナル12曲もYouTubeにあるのが、まず豊富ですごい。
他のSNSにはカバーはあるけど、YouTubeにはオリジナルしかないのは、偶然かもしれないけど、自信ある感じで個人的には好きなスタンス。
17歳という特有の年齢の揺れ動きを情感たっぷりに歌う姿は、SSWを聴かない層にも届きそうだ。「ごっつんこ」って歌詞いいな。

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おやすみメリー

神戸VARIT代表。
ソロプロジェクトですが、現在正規メンバー募集中。

Eggsに夜が本当に押し寄せた時に聴きたい1曲のみあるが、多くは謎に包まれている。
去年のカミコベのオーディション(見事準グランプリ)で名前を見た時は、
他の曲がYouTubeにあったような気がしたけど気のせいかな。
ただ、夜の神戸で積み上げてきたものが、昼の大阪に刺さるところを見れるはず。


eggs.mu


琳子

19歳のSSW。
5月には東京のサーキットライブにも出演。
RTしてるバンドがクセが強くて良いな。

サブスク配信曲『siki』は打ち込みサウンドも特徴的。キラキラした中に夢遊感。
インスタのオリジナル曲の弾き語りもレモンの柑橘感やsweetさが伝わって、この表現力にあらゆる将来性を感じる。
無限の可能性を感じる、キュートな歌声に酔いしれたい。

siki

siki

  • rinko
  • J-Pop
  • ¥153

フクスイボンニカエス

吹田(関大?)から。4人組ロックバンド。

個人的に先日Eggsで配信された『春の終わり、六月の夏』が好み。あっという間に時間が過ぎ去ることを知ると、マジ泣けてくるんだよね。
『ブルードライバー』は始まりから違う味でサービスエース
いろんな「らしさ」を感じます。特にボーカルの植田さんから音楽愛感じるからかな。
気を抜いていると音でボッコボコにされるとのことです。実力者の中でも堂々としたライブをするでしょう。

eggs.mu


ブランデー戦記

『Musica』は僕も思わず口ずさむ。
多くの経験値を短期間で積んでいることでしょう。
先月の15日にライブも見ましたが、その頃よりもまた進化してる可能性あります(この日が正規ドラム復活の日でもありましたし)。

ライブ見た時に重なったのは、『リッケンバッカー』が伸びた時に見たリーガルリリーでした。ライブ見てもBAYCAMPに所縁のあるリリーやルサンチマンと合いそう。
と思ってたら、BAYCAMP常連の神聖かまってちゃんとの対バンも決まってビックリしました。そんな大阪の10代バンドいたかな。

何かに媚びることのない、強いスタンスの3人を焼き付けてほしいです。

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195 ich-kyu-go

決勝進出時の「おいおい、あいつらが来ちゃうよ!」という反応がすごく、気にならざるを得ないバンド。
ミクスチャーラウドロックという音楽性もさることながら、そこに人間の強さも間違いなく乗っている。
というより普通に引き出しも多いし、ラップパートもカッコ良ければ、サビで伸びやかに歌う様もカッコいい。
爆発させるタイミング、方法にセンスの良さを感じる。『パラダイスロスト』のサビもキャッチーで好き。

他の出演者とはまた違ったアンダーグラウンドも知る彼らがゴングを鳴らした時、BIGCATの形はちょっと変わる。



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松下華


こちらも17歳のSSW。ただ最後と決めているとのこと。
予選は骨折してたが、MUSE BOX担当者をそのライブで驚かせた。すげぇな。

『十六の春』の落ち着いた歌声に引き込まれるし、「間」も素敵。音楽偏差値が純粋に高そうだ。
soundcloudの『泣きたい夜には、きっと』も5分以上あるが、全く聴き疲れしないし。

十代白書終了後は受験で活動休止するらしいが、さらに頭良くなって歌う彼女の歌は気になる。
ここで一回サクラ咲かして、また来年も別のサクラ咲いてほしい。

十六の春

十六の春

  • 松下華
  • J-Pop
  • ¥204

Bloom


最後は本当に情報が少ないバンド。
ただ既にイナズマロックフェスに出演経験がある。

キーボードの橋本さんはスターダストプロモーション所属。
でも年明けは関西でも気になる若手バンドに混じってライブハウスにも出ているし、十代白書前にもしっかりライブを重ねる泥臭さを感じる(実は22日行く予定)。
インスタでライブ動画を見ると、全然一朝一夕でできる世界観の感じではないし、花嵐を巻き起こす⁉︎


https://instagram.com/bloom_8341?igshid=YmMyMTA2M2Y=

2022年の上半期「○○な曲」セレクト!

なんだかんだで2022年も折り返し。
いろんな人が「上半期ベストソング」をしていますが、僕は少し趣向を変えてお送りします。


上半期の

- 若き個性派部門
- ユニーク部門
- 小細工なし部門
- この持ち味やっぱ真似できねぇわ部門
- グッドメロディ部門

と5項目に分けて紹介します!
この計18曲はベスト群ではあるのですが、ランキングではないので(ゆえに半端な数字)、他では入らないようなインディーズアーティストの曲も入ったりしています。純粋なベストなら必ず入るだろう『ミックスナッツ』とか入れてないです。
なので復習と発掘も兼ねて聴いてみそ!

若き個性派部門

☆“チョコ“の歌詞選び美しすぎるメロディ!
anewhite『チョコレート・ハートレイト』

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チョコレートの甘美な側面と少し苦味や渋みのある側面、
あのチョコらしい色を想像させて、それが溶け出す温度感までを、
君を思う歌に変化させるその表現力に脱帽。
メロディも美しくて、Cメロのピアノが入ってくるタイミングまで完璧。
確かな透明感や清廉さがあるのに複雑な感情が入り乱れている白。アンミカでも形容し難い白をanewhiteは持っている。


不気味な虚しさが迫りくる新境地
NEE『月曜日の歌』

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今年のロックフェスにも欠かせないバンドになったNEE。
そんな活躍ぶりとは裏腹に、死にかけな感情を歌っていて驚いた。

何にもなかった日曜日の夕方、仕事の前日。
そんな退廃的な孤独に押し潰れそうな死んだ目をした人の目を無理やり覚まさせる力がある。
聴くと頭のネジが吹き飛びそうになるけど、
こんな寄り添い方ができるのはNEEだけ。


☆この緩急、只者じゃない10代バンド
Unpleasants『ほろり』
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静かなイントロ、淡々と畳み掛けるAメロ、高らかに歌い上げるBメロ、真っ直ぐ届けるサビ。
2番も同じようにいくかと思ったら少し変化を加えて、でもさらりと無駄なくラスサビに向かう。

こういう展開が元々好きっていうのもあるけど、
何度聴いても飽きないし、どの部分も全てキャッチーなそのバランス感覚は個性的。
そして何よりちゃんとタイトル通り「ほろり感」があるんですよね。


叫べ!自由じゃない全ての社会人
seeeeecun『Okay Monster』
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社会人生活で何かトラウマがある人は発狂注意!

サラリーマン生活を8年している彼だからこそ描けたリアルで忖度のない歌詞は、社会の歯車から抜け出せないストレスを見事に代弁。
ジャキジャキとしたギターロックがさらに拍車をかける。
きっと今日も社会の片隅でどうしようもない怪物が生まれてるけど、
僕はYOASOBIよりもseeeeecunのこの歌で怪物に手を差し伸べて人間に戻したい。

ユーモア部門

何でもありの感電ソング!
サカナクション『ショック!』
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インタビューとか読んでないけど、
これは令和の『マツケンサンバ』狙ったのかな?と思うほどの自由さが無条件に気分を上げさせる。
一度聴いたら忘れないサビと感電した山口さんの顔。
またこのビデオもライブ映像らしいね…
チームで遊び心を共有しているのは安心感がある。

山口さん休養に入ったけども、楽しくライブで踊っている姿が見れるまで待ってます!


☆藤井風に帰省しよう
藤井風『まつり』
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「今回、髭男とかKing Gnu入れませーんと言ってるわりに藤井風は入れるんかーい」
と思ったかもしれませんが、
この曲はもう何かと比較して紹介するのが無粋というか、
こういう枠で紹介したい曲なんですよね。
年間ベスト作る時も、あえて入れないでおこうかな…

もうこれは誰もが聴いてるとプライベートの状態に陥るというか、
リラックスの何段も上にある癒しの表現が必要。僕は「帰省」と表現しました。
きっと戻ってきた祭のシーズン、流れまくるんだろうなぁ。


☆終演までファンタジック
クジラ夜の街『あばよ大泥棒』
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わずか3分半くらいの曲で、この曲がエンドロールに流れる映画1本分の物語が想像できちゃう。
そういう曲を何曲も持っているけど、また今までとは違った物語性を感じた。
ピュアでウィットに富んだ物語なんだろうな。
どことなくコメディ感もあるサウンドなので、ユーモア部門に入れました。

またライブでは楽しい振り付けもあるし、
バンドとお客さんの関係性に置き換えると違った意味で楽しい。
こんな曲で終演できたら楽しいだろうな。

小細工なし部門

圧倒オルタナティブ
ルサンチマン『忘れそう』
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ボーカル北さんは20歳になる年だけど、
10代のうちにこんな曲を残していけるのは表現者として1つ理想的な気もする。

そして20代に持っていくのはギター1本。
どんだけカッコいいねん。
2:23からの展開が好きだから僕らはバンドを聴いている。


☆全国に轟かせた波動
Organic Call『ブルーアワー』
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地道という言葉でも片付けられないほどのライブで積み上げてきた力強さ。
その中で着実に上がってきた知名度
そして朝の情報番組のタイアップ。

その全てが重なって、放たれた最強にクリアな波動は、
日本に数多あるどんな夜明けの曲よりもいち早くあなたに届く。


☆今、必要だったカッコいいロックソング
[Alexandros]『Rock The World』
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実は最初は「なるほど、なるほどに」の部分とか少しダサいかなと思ったんだけど、
聴いていくうちにドロスの一貫したバンドプライドが伝わってきて、
コロナや取り巻くSNS環境に流されない、
今もなおロックで風穴を開ける責任と覚悟をより感じる曲として聴いています。

この持ち味やっぱ真似できねぇわ部門

☆要素盛り沢山のMVにも注目
KANA-BOON『メリーゴーランド』
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原点回帰が似合う1曲。
言葉のリズムとチョイスはノラずにいられない。
徐々に引き込まれていって、最初は「何十何百何千何億何十億」だったのが、
ラスサビ前では「何十何百何千何億何十億何百億何千億」と積み上がってるところとか、
シンプルだけどやっぱり聴いててアガるし、
そして万感の思いの「光れ」は重み深みがある。

MVはコインランドリー、謎の美女、シュールな世界観、バンドマンのダンス、オフショットありと、
もうバンドMVの要素全詰め。
多分『ないものねだり』のオマージュもあるしね。


TikTokバズも納得
SEKAI NO OWARI『Habit』
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元々ダークな世界観のセカオワは好み。
今回はより身近な存在へ挑発的な歌詞でシンパシー性も強い。
でも今までよりも肩の力が抜けている感じがあって、それがちょうどいい塩梅で幅広い世代に伝わりバズに繋がっていると考える。
MVのユニークなダンスもSaoriさんの息子の意見を取り入れているとか。
そこに深瀬さんの俳優の経験もプラスになって、あのダンスの完成度になっている気がする。Saoriさんは終始笑顔なのも良い塩梅だよね。

セカオワの強烈なバンドの世界観に父、母、そして俳優としての要素も加わって、安定し始めたら無敵ちゃうか。
その一歩を手始めにTikTokで見せつけただけ、という不気味さがちゃんと残っているのがセカオワ


衰え知らずのトルネード
凛として時雨『竜巻いて鮮脳』
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もう今の世の中では生まれない温度感とサディスティックなバンドの音。
ある意味禁止カード。
それを2022年も鮮度失わず残してくれて、
「ありがとーーーーーーーー!!!!!!」
と叫びたくなります。

ソロの活動も嬉しいんだけど、
この3人に定期的に八つ裂きにされないとあかんのです。

グッドメロディ部門

引き出しの多さを感じる初のドラマ主題歌
Ezoshika Gourmet Club『赤い』
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違うサビが何回も来るような展開。
その秘密は7パターン作ったサビメロのうち上位2つ使用しているからだと、
引用リツイートで教えてくれました。

恥じらい、笑いすぎて、惚れ合って。
様々な場面での頬の紅潮を鮮明に映像化させる秀逸な歌詞、歌い方、
そのどれもに似合う強固な華やかなメロディがやっぱりイイ。


☆遊津場、遂に女性アイドルに手を出す
日向坂46『ゴーフルと君』
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僕と同年代の邦ロック好きなら知っている人もいるでしょう、
高いテクニックが持ち味だったHaKUの元メンバーが作った不思議なメロディがキュートすぎる。

加えてこれは日向坂の中の3期生4人が歌っているんだけど、どうやらなかなか個性が強い。
上村さんは大喜利が得意だし、山口さんはラミレスが師匠らしいし、
高橋さんは身長が170あるし、森本さんはご飯とか美味しく食べそう。
そんなキャラクター性も相乗効果となり、
もちろんクセのある歌詞とメロディを歌い踊りこなす実力もあって、
僕は『キュン』よりキュンとしましたね。


シンプルに良いって、こういうことを言うんだろうな
TOMOO『酔ひもせす』
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恋の駆け引きのある歌詞と春迎えの暖かいメロディが最高にマッチ。
力強い英歌詞と和風な歌詞のバランスを見事に取るセンス。

あと個人的に見た目で騙されたところもあって、
曲も大人チックな雰囲気だけど、
もう少し可愛らしい歌声かと思ったら、
一本芯が通った歌声で、タフでグルーヴィさもあって、勝手にギャップにもやられた。
ジャンルに捉われない活躍が長く続きそうです。


真摯に鳴らす隙の無いバンドサウンド
Rudo『象る』

象る

象る

  • Rudo
  • ロック
  • ¥204

兵庫のインディーズバンドのMVにもなっていないEPの1曲を最後に。
既にこのメロディに体を預けたいと思わす完成度です。

聴いてるうちはまさに世界から切り取られ、
この歌と自分しか存在しないような気分になれる。
クールだけども、力強くメッセージは発信され、
つられるように演奏のボルテージも上がっていく。

等身大を感じられるメロディで最強のものが生まれるのがバンドの良いとこ。

今年のフェスシーンに新風を巻き起こすバンド7選

春フェスや大型サーキットがだいぶ戻ってきてます。なんとか毎年やり続けてるところもあれば、2、3年ぶり開催なところもありますし、出演者数の規制がなくなってきたなと思います。

そうなると各種フェスの「若手枠」の顔触れもやはり変わってきています。ここ2年なかなか見れなかった分、新星の存在は際立ってるし、やはりたくましさを感じます。このアカウントとしては気になるところなんですわ。

そんな7組のバンドを選んでみました。

NEE


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カオスだった日々に、負けないくらいカオスなクリエイティブで対抗して、ビバラ、メトロック、ロッキンなど戻ってきた大型フェス出演に次々と決定。

もちろんライブでのフロアのブチ上がり発狂度が高くて、『ボキは最強』でのヒーローポーズは、誰もが新時代のヒーロー登場を感じているはずで、フェスの舞台でもそれは変わらないだろう。

ただ今年入ってからの『月曜日の歌』や『DINDON』は、また違ったリスナーへの寄り添い方を見せていて、ライブの盛り上がりも一味違いそう(まだ見れてない!)。
昨年のHey!Say!JUMPへの楽曲提供や、今年も和ぬかとのコラボも決まっているなど、さらに進化した「NEEのクリエイティブ沼」を醸成している。フェスで始めて見る皆さん、もう足は抜けませんよ。


Cody・Lee(李)


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新しい生活様式を過ごしてきたけど、その中でも変わらない風景、匂い、季節、大切な人との関係を丁寧にあらゆる角度からパッケージして表現し続けたCody・Lee(李)がフェス規模で愛されないわけないんだよなぁ。

穏やかな空気感のある「森、道、市場」や「ナノボロ」といった地方のフェスには絶対欠かせないし、今月に香川で愛知でサニーデイ・サービスと同じイベントに出ている…こんな20代バンドいないでしょう。

6月にはYATSUI FES、そしてLOVE MUSIC FESTIVALで憧れのフジファブリックと共演。
ファンからするとこのストーリーたまんないね。

Mr.ふぉるて


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活動当初から「○年後でかいフェスの大トリを受け持つバンド」と書いてきた彼ら。多分10年後からスタートして、今6年後となっているけど、リスナーにもハッキリ見えてきた。

コロナ前とかは、とにかくガムシャラにライブを重ねて、それが楽曲にも現れていたイメージだったけど、『愛慕』辺りから、バンドマン+音楽家としての4人の高いレベルが出始めた印象で、そこから『エンジェルラダー』までの進化のスピードに驚かされた。

どうしても10代の頃から活躍していたから若いイメージが着いていたけど、今はもう新しい邦ロックシーンのリーダーというか。
今のライブハウスで脚光を浴び始めている後輩バンドからのリスペクトの高さを感じるし、また増えてきた同世代のバンドを代表して、JAPAN JAMやビバラ、ジャイガにロッキン出演の扉を開けていると思う。
ふぉるてが切り開いた道に多くの同世代、次世代バンドが続くだろうし、その時のフェスの大トリには彼らがいる。


黒子首


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2月にメジャーデビューし、ビバラにも出演。今一番大型サーキットライブ出演が似合うというか、来年にはその規模で見れないのではという勢いを見せる黒子首。

生粋の歌うたい、というのがよく伝わる3人のチームワーク。
ライブ終わった後は、由緒正しい神社の御守りをもらったような安心感。
まだまだいろんなものをカスタムして、場所も大きさも関係ない、心に棲み着くような音楽を作っていくでしょう。

正直、しばらく茶封筒というバンドと認識が被っていたので「黒子首のボーカルは髭のおっさん」だと思ってました。


Ochunism


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大阪発のバンドはもちろん数多くの若手バンドが全国のライブハウスで活躍しているけど、そこからビバラ、メトロックと大型フェスに今年出演してるのがOchuhism。

6人組という珍しい編成から織り成すジャンル不定のミュージック。ライブで見るとその全員が際立っていて、ある意味目のやりどころに困る。
オシャレ系というにはPOPな成分やファンクな部分も強いし、チルも熱さもクールさも兼ね備えている。「お、何か違うな」を全国に気付かせてる最中なのを、とても感じる。

4月にメジャーデビュー。今年はデカイ野外でどんなパフォーマンスするかも見てみたい。カンラバとか。


なきごと


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メトロックに出演し、今後ムロフェス、ロッキンにも出演予定。

3月に見たライブがとんでもなく良かったので、ロッキンに選ばれた時、「あ、やっぱりこれくらいのライブしなきゃフェスには出れないんだ」と思いました。
これくらいってどれくらいかと言うと500人規模のライブハウス(JANUSでした)が吹っ飛びそうな圧倒的な轟音を出しながら、それでも言葉は鮮明に濃く届く、そして堂々と凛とした姿ですよ。
それなりにインディーズバンドのライブ見てますけど、あの感覚まで行ったのって、この1年では、あと時速36kmくらいじゃないかな…。

『メトロポリタン』でミステリアスな雰囲気を持っている人もいるでしょう。確かにテクニックもさすがなんですが、持っている武器はギタギタに鍛え上げられた真っ直ぐな剣。小細工で対抗しようとしたら真っ二つにされます。


ユレニワ


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ここまでフェスレベルまで成長したクリエイティブさや、普遍さや、個性などを説明したけど、その全ての要素もありながら、でも結局「ヤバい」が勝っちゃうのが、今のユレニワ。

曲自体も深み、エロス、詰め込んだ物語の綿密さがすごくなってるけど、刺々しさや荒々しさがない曲でも、なんか1周回ってきた感があって、この煮詰めた濃さは普通じゃない。口当たりまろやかでも何匹もの魚介類の味がするスープのような。

そしてライブではその生々しさがヤバい音となって、見るものを圧倒。忌野清志郎のようなサングラスも様になっている。
昨年のミナホ、3月のマチラバー(神戸のサーキットライブ)と見て、決して入場規制とかしてるわけではない。コロナ前彼らを含めたバンドを98世代と言って応援していたリスナーは、バンド聴かなくなって社会人になっている人もいるだろうなと感じる。

いや、今。今社会に揉まれてるなら、今こそ聴くバンドだと思います。そういう同世代のバンドは何組かいる中、メトロックに彼らが出たのは嬉しかったですね。

BURNOUT SYNDROMESの戦いはこれからだ!


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『君をアンインストールできるなら』大好きお兄さんこと遊津場です。
普段はガッツリ紹介するにしても超先取りのアーティストに限るようにしてるんですけど、やっぱりNEWアルバム『TOKYO』で好きが更新されたんで、またまた感想を置いていきたいと思います。

とはいえ正解というか、公式のインスタにはボーカル熊谷さんのみっちりとした曲解説だったり、一枚絵での紹介をされてるので、そっちを先を見てほしい気が強いです。僕もリアルタイムで見てたんで、それを受けてという感じになります。

今作の聴きどころ

今回のアルバムはインディーズ味が強いとよく言われてます。尖ってるとか、好きなことを詰め込んでるという意味合いで使われてるんだと思います。
アニメタイアップが5曲やチコハニのCHiCOとのデュエット曲もあるのに、そう思わせるのは、ひとえに邪教・拝金教』と『模範囚』のインパクだと思います。個人的にはそこに『Hikousen』から少し初期の代表曲『墜落/上昇』の匂いも感じたのも、それを加速させてると感じました。

話前後するんですけど、このアルバムってホントに1つ1つの曲の主人公の顔がハッキリしてるんですよね。
『2020年渋谷の旅』という、コロナ前の過去の世界を、コロナ禍という今のロケットに乗ってしまった僕らがコクピットから見てるような歌から始まるんですけど、2曲目の『Good Morning World!』からの人間模様もずっとコクピットから見てるような感覚がありました。
そのある意味上映される人間模様はいろんな楽しみ方ができるようになってると思います。僕は3味ほど見つけました。
そしてその上映されてる物語の質が高いのは、前作アルバムの『明星』が世界旅行のようなコンセプトのアルバムがあったのも大きいでしょう。『明星』の時は異世界の出来事を3人のユーモアで表現する感じだったんですけど、今作はそれを加工なく、時に辛辣に現代のリアルな生活に落としこんでます。
だから『邪教・拝金教』の神はしっかり時にニュースで見る金に盲目な悪い経営者だったし、『世界は愛で満ちている』はしっかり僕の同級生の結婚式の風景を思い出させました。

ただそういった現代のあらゆる生活の風景を見せてアルバムも終盤だというタイミングで、完全に熊谷さん自身のことを描いた『模範囚』が始まるんですよね。曲中に出てくる顔も完全に熊谷さんです。コクピットから今まであらゆる生活の、人生の縮図を覗いてたのに次の画面は「え、熊谷さん」っていう。
そんでもう本当に誰にも見られてないからこそ言える死生観をぶちまける。あとはバンドマンとして矜持も感じましたね。「できることなら今この世で一番強いメッセージを発したい」という。
あらゆる芸術分野や学問に敬意を感じる熊谷さんだから常に自分が一番とは考えないかもしれないけれど、こういう夜の孤独に苛まれる時に生まれるエモーションを最も衝動的・最高純度で形にできるのはやっぱりバンドなんですよね。僕も活動柄、多くのそういう若手バンドの曲も聴いてますけど、積み重ねたものを多さと、そしてメジャーの舞台でもそれを誰にも触れさせなかったのに、今回少し触れられた感覚がありました。
これをどう感じるかは、ある意味バンド側も知ったこっちゃないのかなと思うので、各々で噛み締めてほしいと思えますね。共感が大切なこの世界でね。

そして愛と正義

モチーフに少しコロナはあるし、そして『模範囚』もあったから少し深い味が残る中、アルバムの最後を飾るのが『Wake Up H×ERO!』。
なんかもう一気に全て回収しちゃいます。「結局お前が一番強いんかーい!」みたいな笑。コメディ色の強いアニメ主題歌だったのも良い方向に作用してる。松岡禎丞の声になんだかすごく安心した。
ここまで少年心を揺さぶられる熱血ヒーローソングがいつの間にかTOKYOに、世の中にとってもすごく貴重になってた気がする。この宇宙船を乗りこなして、会えなくなってる人のもとに無事帰還したいと思った。

あらゆる登場人物が出てきた。
少年少女、理性を保つ保てない大人、クリエイター…でも最後はヒーローという終わり方はすごく綺麗だ。
恐らく曲順にめちゃくちゃ悩んだろうけど、この選択肢の多さこそBURNOUT SYNDROMESだ。

そしてこの『TOKYO』は10代の大阪の頃から、今3人のいる現在地の東京までの繋がりの景色も感じた。
コロナでもちろん強調もされた部分もあれど、元々この世にあったあらゆるシーンのそれぞれの愛が曲として形になってると思う。ひょっとしたらそれは僕も全く違う畑だけど、同じ92年生まれだから余計思うのかも。でもそれが『WORLD』とか『JAPAN』ではなく『TOKYO』というサイズじゃないとダメな理由の1つにも思った。

そういう過去の風景も通ってるからインディーズ味も感じたのかな。そしてヒーローソングで「俺たちの戦いはこれからだ!」で終わった彼ら。
これフィクションなら悪いフラグだけど、このアルバムがあるのは現実だから間違いなく長編ドキュメントになる。未来が本当に楽しみだ。

遊津場pre.月間ベストソング大賞!~2021年4月度

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今年の巨人はなかなか不遇。
遊津場です。

先月はずっと見たかったbokula.とNEEのライブを見ることができました。
NEEはその後メジャーデビューを発表。くぅさんが大阪で「これ言っちゃっていいかな…」って言ってたMCはこれだったんだろうな。新曲の配信は言っちゃってたけど。

その後また緊急事態宣言が出て、昨日の梅田のサーキットライブは無くなっちゃった。スリマが見たかったな。プロ野球も無観客になっちゃったし、GWは大人しく過ごすことになりそうです。

そんなGWのお供になりそうな先月の注目曲と先取りアーティストを紹介します!

月間ベストソング大賞!

この4月に心に刺さった曲です!
大賞は最後に…


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◯ペルシカリア『離愁』

Eggsランキングをもう数年毎週追っているので、もちろん存在は知ってたけども、そのイメージと全然違うじゃん…なライブ動画。すげぇ好きなエグさだ。これ聴いてからは他の曲のイメージも変わった。
ワードチョイスもリズムも面白さもあるのにナイフのように鋭い。ここからさらに進んでいくのが楽しみだ。


◯[Alexandros]『閃光』

『風になって』もそうだけど、シンプルなカッコよさを歌わせたらやっぱり右に出る者はいないなと思わせる1曲。『閃光』という言葉自体がクールだからハードルも高いけど、難なくと。
日本語と英詩の組み合わせ方、力強い歌声とハイトーンの組み合わせ方。なかなか付いてくる新星は出ない。


◯Hakubi『道化師にはなれない』

今まで顔を隠してたのが嘘なくらい表情でも魅せるMVでした。
今までのHakubiだったら抱え込んでたような呪縛でも疾風怒濤に切り裂いていて、ヒーロー性の高い1曲になった。アニメで言うなら3期くらいかな。
変わらぬバンドサウンドは軸に、ちょっと違う音も入ってきて進化してる。


◯cadode『三行半』

これは5分くらいあっても聴けるバラード。もっとそのドロドロを見せてほしいと思える。MVの手の使い方も怖良かった。
歌い方も特徴的だけど綺麗で。歌でも曲でもミュージカルの曲とかしていきそうなバンド。


フレデリック『名悪役』

突然迷路に誘うような強気で緩急自在のサウンドに、ラブソングでも負けん気の強いリリックが実にフレデリックらしい1曲。なんかもうタイトルから期待させるよね。
FM802での『春は溶けて』でもそうだけど、健司さんの歌声がなんかまた色っぽくなった気がする。


◯ユアネス『Alles Liebe』

秒針の音から何までズルい。ピアノロックは増えてるけど、ストリングスがここまで似合うバンドはまだ出ていなくて、ちょっと別のステージにいると思う。
ユアネスの柔らかい描画された水彩絵具のような歌の世界観が溶けきれなかった思い出達をまた型どっていく。科学では構成できない1曲。


◯古墳シスターズ『メロディー』

売れ音楽を考察する音楽マーケターとか言う人達に「じゃあこれの何が響かないの?」ってなる。ひょっとしたら青春パンクにはありがちだとしても、潮騒の中から優しい声を優しく探すこの姿は唯一無二だし、統計上の音楽にはならない。


ルサンチマン『memento』
◯Lucky Kilimanjaro『DAILY BOP』

先月とても良かったアルバム2枚です。
ルサンチマンサウンドとかじゃなく、存在がもうオルタナティブというか、不規則なツーシームが打者の胸元にバシバシ決まっていく。これからもその持ち味を消さないでほしい。
ラッキリはもう確実に言葉とリズムを置いていく正確無比な感じ。触れたら没入感がすごく、じんわりもダンシングも思いのままにさせられた。



さぁそして今月のベストソングは…



sumika『Shake&Shake』!


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もう行き交う全ての人が破顔一笑。ニコニコとかじゃなく声をあげて笑ってしまう。
パーティーソングでも『Lovers』『フィクション』からさらに照度を数段上に上げていて、でもクレージーにはなってないからただだだ圧巻。
しかも制限がないというか、クリスマスでも夏祭りでも結婚式でも入学式でも使えるというか、もちろんこんな暗い世の中でも負けない「今」を信じ抜く無敵の光の歌でした。





月間先取りアーティスト大賞!

先月、厳選先取りさせていただいたアーティストは以下の9組です。

  • The right
  • Looibos
  • Sleepless Sheep
  • Fusee
  • ヤマトコリンズ
  • フミンニッキ
  • parole
  • Unpleasants

春は特に若いしちょっと多め。
このただでさえ相当有望なメンツの中、ベスト先取りアーティストは……





茉莉花

eggs.mu


<紹介ツイート再掲>

☆もっと深めてみる

派手さとかはなくても「ロックバンドだなぁ」という力強さが聴くたびに強くなる。きっとライブを見たらもっと味わい深くなるんだろうなという説得力を持ち合わせてる雰囲気がある。
今後も彼らを若さだけで括るのはセンスないと思わせる曲とライブをしていくだろう。とはいえいろんな進路選択の年齢ではあると思うので、焦らずじっくりと周りに関係なく決めてほしいです!

さらに若いフミンニッキUnpleasantsもすげぇ引き寄せられるセンスがあるけれど、自分達のペースでの活動を見ていきたいと思います!
paroleは突然出てきた新星。Sleepless SheepLooibosもだけどオシャレに+一癖あるのが魅力的。
今月も先取り様でした!


あーとーがーきー


5月に入って大阪の夏フェス以来のビバラとJAPAN JAMという大型フェスが開催し、これはこれは目が離せない月になるでしょう。
いろんな悪意も目にするかもしれませんが、一喜一憂せず最終結果を待ちましょう。

僕は僕でもっと小さなイベントに光を当てる企画をヂラフマガジンさんと始めました。ありがたいことに何件か取り上げてほしいとイベントの声は集まっています。
こちらも注目いただけると幸いです!


それでは、この辺で。