邦ロック最前線情報局

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Chevonの『Chevon』をなる早でレビューした!


この日をワクワクしながら迎えました。
Chevonの初の全国流通アルバムがリリース。15曲収録の大ボリュームで、パッケージ名もズバリ『Chevon』。まさに名刺代わりです。

恐らくちゃんとしたレビューやインタビューはもうChevonの今の勢いなら、知らんけどですが、どこかの音楽メディアでやってると思います。
なのでこれはほんの個人的感想に過ぎないのですが、一応ライターっぽいことさせていただいてる人で、2021年7月からChevonを追ってる人は他にいないと思うので、そういった目線の感想だと思ってくれたら多少は別の共感があるんじゃないかと思って書きます。

しっかりアルバムになっている安心感


Chevonのスタイルもあって、今回の15曲中13もの曲が、このアルバムより前にサブスクやYouTubeで既に配信・公開されている曲でした。ラジオも含めたら下手すると全曲?
こういう時に一抹の不安になるのが、「ただの寄せ集めになってないかな?」というやつです。
答えは表題の通りなってなかったし、「Chevon何となく知ってるよ〜」って人にも通して聴いてほしいです。本当にちゃんとした幕の内弁当になってるから。

🐐🐐🐐

彼らの始まりの曲でもある『No.4』が1曲目であるが、そこからリリース順に曲が進んでいくわけではなく、先行リリースの『ダンス・デカダンス』と、新曲の『ですとらくしょん!!』が続く。
タイプは違うが、ノリの良いフロア上げてくソングと言えるライブの強さが出た1〜3曲目。

4〜6曲目はよりフィクション的なストーリー性を孕んだ楽曲が続く。
ボカロやSFアニメにも通ずるストーリー性の『ボクらの夏休み戦争』、深夜らしいドラマのタイアップ曲にもなった『ノックブーツ』、淡いタッチで文学少年少女の恋を描きそうな『サクラループ』と、Chevonの多様なルーツを感じられる。

7曲目の『薄明光線』は、よりChevonメンバーの真相心理に触れながらも前を向ける曲。
正直ここで「Chevonありがとー!!」とクライマックスになるだけのクオリティがあるんだけど、続く『セメテモノダンス』とのコンボができるのがChevonであり、このアルバム。これでは誰も置き去りになれないのです。

この折り返し地点で感じるのは、彼らにどういうルーツがあって、ここまでの20年以上を生きてきて、Chevonで伝えていこうとしてるか。
圧倒的な才能と片付けられやすい表現力には、一歩一歩重ねてきた愚直さが伝わります。

ある意味そういう人間性を見せてから、『Banquet』と『大行侵』、そして少年ジャンプの企画曲ともなった『クローン』が続くのは非常に効果的で。
一段とプロフェッショナル度が増して、次のシーンを喰らっていくスケールを携えた曲達だけど、その行進や晩餐会に我らリスナーも参加してる感覚がある流れにしてくれてます、このアルバムは。

そしてまた長年のリスナーならニヤリとする『antilion』から『光ってろ正義』のコンボ。
そしてそんな狂乱を14曲目にして増長させる『革命的ステップの夜』。これも十分これで終わっても「Chevon楽しかったよー!!」で終われるんだけど、ラストの新曲『スピンアウト』が夜明けへ、ある意味無情なまでに誘う…
ゆえに「さぁ、次のChevonを見せてくれ」という期待感は増して終わるのだ。
映画かな?

まとーめ

Chevonは正体不明感もあるんだけど、このアルバムではメンバーの生きてきた音楽人生をリスナーとしても感じられるところがあります。
圧倒的な邦ロック曲やボーカロイド曲、歌のみならず漫画や小説などの作品へのリスペクトと凌駕していく覚悟を感じながらも、あえて歌詞を借りて言うなれば「凡人」であること、Chevon自身も20代前半の若者であることを、実は全然包み隠してない。
彼らの歌がこんな伝わってくるのは、もしかしたら歌唱力などの技術面以上に、むしろそういう目線にちゃんといてくれてるからなんだなぁとアルバム通すとより分かりました。

恐らくですが、多分彼ら的にはインターネットで単曲で楽しんでくれるのも、十分OKというスタンスなんじゃないかなと思います。
でもアルバムで聴くとより楽しめる仕組みを作ってると思うので、ぜひこのアルバムも愛してほしいなと思う1枚です!