邦ロック最前線情報局

元地方勢の目線から、邦ロックの最前線を

今年のフェスシーンに新風を巻き起こすバンド7選

春フェスや大型サーキットがだいぶ戻ってきてます。なんとか毎年やり続けてるところもあれば、2、3年ぶり開催なところもありますし、出演者数の規制がなくなってきたなと思います。

そうなると各種フェスの「若手枠」の顔触れもやはり変わってきています。ここ2年なかなか見れなかった分、新星の存在は際立ってるし、やはりたくましさを感じます。このアカウントとしては気になるところなんですわ。

そんな7組のバンドを選んでみました。

NEE


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カオスだった日々に、負けないくらいカオスなクリエイティブで対抗して、ビバラ、メトロック、ロッキンなど戻ってきた大型フェス出演に次々と決定。

もちろんライブでのフロアのブチ上がり発狂度が高くて、『ボキは最強』でのヒーローポーズは、誰もが新時代のヒーロー登場を感じているはずで、フェスの舞台でもそれは変わらないだろう。

ただ今年入ってからの『月曜日の歌』や『DINDON』は、また違ったリスナーへの寄り添い方を見せていて、ライブの盛り上がりも一味違いそう(まだ見れてない!)。
昨年のHey!Say!JUMPへの楽曲提供や、今年も和ぬかとのコラボも決まっているなど、さらに進化した「NEEのクリエイティブ沼」を醸成している。フェスで始めて見る皆さん、もう足は抜けませんよ。


Cody・Lee(李)


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新しい生活様式を過ごしてきたけど、その中でも変わらない風景、匂い、季節、大切な人との関係を丁寧にあらゆる角度からパッケージして表現し続けたCody・Lee(李)がフェス規模で愛されないわけないんだよなぁ。

穏やかな空気感のある「森、道、市場」や「ナノボロ」といった地方のフェスには絶対欠かせないし、今月に香川で愛知でサニーデイ・サービスと同じイベントに出ている…こんな20代バンドいないでしょう。

6月にはYATSUI FES、そしてLOVE MUSIC FESTIVALで憧れのフジファブリックと共演。
ファンからするとこのストーリーたまんないね。

Mr.ふぉるて


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活動当初から「○年後でかいフェスの大トリを受け持つバンド」と書いてきた彼ら。多分10年後からスタートして、今6年後となっているけど、リスナーにもハッキリ見えてきた。

コロナ前とかは、とにかくガムシャラにライブを重ねて、それが楽曲にも現れていたイメージだったけど、『愛慕』辺りから、バンドマン+音楽家としての4人の高いレベルが出始めた印象で、そこから『エンジェルラダー』までの進化のスピードに驚かされた。

どうしても10代の頃から活躍していたから若いイメージが着いていたけど、今はもう新しい邦ロックシーンのリーダーというか。
今のライブハウスで脚光を浴び始めている後輩バンドからのリスペクトの高さを感じるし、また増えてきた同世代のバンドを代表して、JAPAN JAMやビバラ、ジャイガにロッキン出演の扉を開けていると思う。
ふぉるてが切り開いた道に多くの同世代、次世代バンドが続くだろうし、その時のフェスの大トリには彼らがいる。


黒子首


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2月にメジャーデビューし、ビバラにも出演。今一番大型サーキットライブ出演が似合うというか、来年にはその規模で見れないのではという勢いを見せる黒子首。

生粋の歌うたい、というのがよく伝わる3人のチームワーク。
ライブ終わった後は、由緒正しい神社の御守りをもらったような安心感。
まだまだいろんなものをカスタムして、場所も大きさも関係ない、心に棲み着くような音楽を作っていくでしょう。

正直、しばらく茶封筒というバンドと認識が被っていたので「黒子首のボーカルは髭のおっさん」だと思ってました。


Ochunism


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大阪発のバンドはもちろん数多くの若手バンドが全国のライブハウスで活躍しているけど、そこからビバラ、メトロックと大型フェスに今年出演してるのがOchuhism。

6人組という珍しい編成から織り成すジャンル不定のミュージック。ライブで見るとその全員が際立っていて、ある意味目のやりどころに困る。
オシャレ系というにはPOPな成分やファンクな部分も強いし、チルも熱さもクールさも兼ね備えている。「お、何か違うな」を全国に気付かせてる最中なのを、とても感じる。

4月にメジャーデビュー。今年はデカイ野外でどんなパフォーマンスするかも見てみたい。カンラバとか。


なきごと


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メトロックに出演し、今後ムロフェス、ロッキンにも出演予定。

3月に見たライブがとんでもなく良かったので、ロッキンに選ばれた時、「あ、やっぱりこれくらいのライブしなきゃフェスには出れないんだ」と思いました。
これくらいってどれくらいかと言うと500人規模のライブハウス(JANUSでした)が吹っ飛びそうな圧倒的な轟音を出しながら、それでも言葉は鮮明に濃く届く、そして堂々と凛とした姿ですよ。
それなりにインディーズバンドのライブ見てますけど、あの感覚まで行ったのって、この1年では、あと時速36kmくらいじゃないかな…。

『メトロポリタン』でミステリアスな雰囲気を持っている人もいるでしょう。確かにテクニックもさすがなんですが、持っている武器はギタギタに鍛え上げられた真っ直ぐな剣。小細工で対抗しようとしたら真っ二つにされます。


ユレニワ


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ここまでフェスレベルまで成長したクリエイティブさや、普遍さや、個性などを説明したけど、その全ての要素もありながら、でも結局「ヤバい」が勝っちゃうのが、今のユレニワ。

曲自体も深み、エロス、詰め込んだ物語の綿密さがすごくなってるけど、刺々しさや荒々しさがない曲でも、なんか1周回ってきた感があって、この煮詰めた濃さは普通じゃない。口当たりまろやかでも何匹もの魚介類の味がするスープのような。

そしてライブではその生々しさがヤバい音となって、見るものを圧倒。忌野清志郎のようなサングラスも様になっている。
昨年のミナホ、3月のマチラバー(神戸のサーキットライブ)と見て、決して入場規制とかしてるわけではない。コロナ前彼らを含めたバンドを98世代と言って応援していたリスナーは、バンド聴かなくなって社会人になっている人もいるだろうなと感じる。

いや、今。今社会に揉まれてるなら、今こそ聴くバンドだと思います。そういう同世代のバンドは何組かいる中、メトロックに彼らが出たのは嬉しかったですね。