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今更レビュー③~SUPER BEAVER『愛する』から変わらぬ職人性

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KANA-BOON、Mrs.GREEN APPLEに続いて、今更レビューするCDは、
2015年発売のSUPER BEAVER『愛する』


ただ今までと違うのは、KANA-BOONやミセスは、出だした頃に知ってから今に至るまでもずっと好きなバンドではあったんだけど、SUPER BEAVER先週、「あ、ハマれるかも」と思いました。

別に元々嫌いではないし、ばらかもんも何話か見たし、ライブを見てみたいバンドで絶対それに120点で応えてくれるバンドであると思ってた。
でもたまたまタイミングと……
…まぁ、タイミングですね(笑)

強いて言うなら正統派のライブバンドの中でも正統派で、前向きで力強い、まさに『正攻法』なバンドすぎて、
聴いた時になんかオールラウンドに「いいなー」「ライブ見たいなー」という感想に留まってしまうバンドだった。まぁ誰しも何組かはいるんじゃないですか?


でもやっぱりインディーズを追う者として、ドラマ主題歌の今なおインディーズ一筋の生き方や、
Bowlineという大きな主催イベントで「現場主義」を掲げ、わざわざ錯乱前戦を自腹でライブハウスで見つけて、探してくるなどしてる姿を知って、
徐々に興味を持ち始めてきまして、
先日『証明』を聴いた時、「あれ、こんな心にきたっけ!?」となったので、
収録されているこのアルバムを急いで聴いてみたというわけです。


するとまぁ、SUPER BEAVERのカッコよさをいろいろ今になって感じるところがありました!
「なんか聴いてないなー」「なんでそんな売れてるのかなー」みたいに思ってる【元】同志の人もまぁ読んでみてください。


SUPER BEAVER「証明」MV - YouTube


今更レビュー


やっぱり気をてらったことはしたことはイメージ通りしてない。
生きていることを実直に肯定する歌詞と熱と美しさを持った3人の演奏と渋谷さんのボーカル。

でもそれはYOUTUBEで分かってた話。
実際イヤホンから0距離で届くと、ものすごい繊細さが詰まってるのが印象的だった。

本当に1音1音が自分の心に向けての階段を横着せず1段1段降りてくる。


ストレートな歌詞を武器するバンドは掃いて捨てるほどいるんだけど、そういうバンドはイヤホンから準備もせず、心の真ん中に無闇やたらに向かってくるのが多い。
それでも心を突き破ってくるバンドであればいいんだけど、それを成功してるバンドはとても少ない。
熱量の押し売りになってしまいがち。

SUPER BEAVERはそこのライブバンドらしく衝動的に飛び込んでしまいたいところを、
Aメロ、Bメロはそんなバンドのエゴをがっちり抑えて、しっかりどんな聴き手相手にも届く歌詞や展開で聴き手に時間を与えてくれてから、サビや大サビで心のど真ん中で守ってきた熱量を一気に放出してる。
それをミドルチューンな『らしさ』や『おかげさま』でもそうだし、
しっとりした『わたし』や『生活』でもそうだし、
ビートの強い『結果論』や『言えって』でもそうだった。

苦労人らしく、非常に我慢強さを感じるロックバンドだと思った。
そんな感想持つバンドは初めて。

なんか音楽なんだけど、本当にしっかりお客さんの声を全部聞いてから、自社の商品(曲の核心)を差し出してくれる、
お客さんにノンストレスなできる営業マンみたいだ。

それを遂行するために歌詞や楽器演奏だけでなく、
コーラスやハンドクラップにも妥協なくクオリティを求めているのも感じる。
SCANDALをゲストボーカルに迎えた『Q&A』もその一つだろう。

パワフルなライブバンドでそんな印象はないかもしれないが、細かなところをとにかく一歩一歩曲を練り直し、一点の曇りのない美しいものを愚直に求める。微に入り細を穿つ、まさに職人。
そんな聴き手にとって嬉しい姿勢を感じるし、相乗効果で聴いていて渋谷さんの現在の長い髪先に滴る汗、指先の所作まで想像できるくらいの鮮明性にも繋がっていると感じる。



まとめ


とまぁ、ものすごーく用意周到な手順を踏んで一歩ずつ、でもその各一歩は全身全霊で、そんな足跡をもって聴き手の「真ん中」に伝えてくるバンドだと感じた。


でもこれって、むちゃくちゃ根気が必要だと思う。
絶対どこかにブレが出るし、でも変わっていかないと音楽は飽きられるし。
進化しつつ、安定感を残し、しかも特にビーバーに求められるのは120%の熱量。
「レペゼン(=代表する)・ジャパニーズ・ポップ・ミュージック・フロム・トウキョウ・ジャパン」の冠もある。


しかしこの『愛する』から4年。
進化はしても、このスタンスは改めて『予感』まで聴いても全然変わってないと感じる。

潔癖的なまでに美しいものを愚直に。
常に曲をダイヤモンドになるまで磨きあげる宝石職人。

きっとその初志貫徹さ具合がファンを一度捉えると離さない。いや、安心感すごくて離れたくない。
そして右肩上がりに売り上げはもちろん、成長が止まってない。
今回アルバムを聴いて、今後も時代に取り残される印象が湧かなくなった。
加えてSUPER BEAVERに憧れるバンドは沢山いるだろうが、実は一番真似できないバンドなんだろうな。

今後も現場主義の職人として、最前線で長く活躍してほしい!



それでは、この辺で。

らしさ

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