邦ロック最前線情報局

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遊津場の2018年ベストソング20!


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タイトルの通り!

上半期トップ10と先日の先取りインディーズアーティスト大賞に続き、
2018年、個人的年間トップ20の曲を発表します!


まぁ多くの人がこれをしてますが、
名前の通り、僕はインディーズが多めになっています!
なんでそうなのか、どういう基準で決めてるのかは、解説中に明らかになると思いますし、話すと長くなるので割愛しますが、
一応結構量は聴いた中で決めてますし、
「世の中にはまだ評価されていない音楽が沢山あるんだなぁ」と思って、そして聴いてみてください!
もちろん有名なのもランクインしてるので、「やっぱりスゴいんだなぁ」と思ってください!




それでは、どうぞ!

『』内は曲中の好きなフレーズです。


20位 THE ORAL CIGARETTESReI



上半期5位からは、思ったより落としちゃいましたが、僕はオーラルの中で一番好きな曲です。
オーラルの武器である『エロ』。
これが今年オリコン1位まで呼び込み、フェスの大トリも十分似合うだけにしたオーラルの特徴だと思いますし、それがふんだんな曲も好きです。
でも、それを本当に極限まで抑え込んで、震災の事を思い、かなりシンプルな、純粋無垢な光である以外、何でもないものになったこの曲の方が、オーラルのオーラルたる人間性が正直に出ている気がします。
その結果初めてオーラルに「ありがとうございます」という感想を抱きました。
ファンと言えるほどの位置にはいませんが、これからもロックシーンの先頭を走っていってもらいたいと思います。


『天変地異なんて起こるわけがない。
そんな気もしたあの日はどこへと』



19位 ofulover『渇き』


最近の若手バンドシーンでも注目を浴びる存在になってきたofulover。去年の5月に初紹介してるから活躍は嬉しい。
とは言えまだ事務所とかが付いているわけでもなく、大体のことは大学生のメンバーだけでこなしているはず。

にも関わらず、本当にカッコよさのブランディングに隙がないし、行動が実にインテリジェンス。そこに天性の色気や熱いライブを見せてくれるからこそ、同年代の中でも他のバンドからの信頼がとても高いように思える。
だから将来的に大きくなっても、付いていきたくなる安心感がある。

この曲はそんなofuloverが2018年歌っていく理由みたいなのがギュッと詰まっている上、抜けたサウンドが気持ちよく、これでライブが始まると一気にofuloverの風が吹く。

来年、更なる旋風巻き起こせ。


『不器用に足掻く 雨乞いのダンス
降らない時雨 お前の所為にした』



18位 ナードマグネット『FREAKS & GEEKS』


日本語パワーポップロックのシンプルな感じに聴こえて、でもその実めちゃくちゃ変わり者で、ひねくれ者だよなぁと、何度聴いても、思わずほくそ笑んでしまう。

世間で流行る歌が、この世で一番素晴らしい音楽とは限らないし、だとしても自分のための音楽でないことは往々にある。
元々ロックって、そういう人達の救いのための音楽だった。
でも最近のバンドをも、そこにあまり踏み込んでこない中、
日本で一番多忙なはずのアラサーサラリーマンバンドが、臆せずドロップキックかましてきた。

そのロックに原点な姿が、ミナホBIGCAT、レディクレ出演を射止めた。
来年もまだまだ自己ベストを更新する活躍を期待できそうです。


『君の好きな歌、
実はそんな好きじゃないでしょ』


17位 the satellites『命の唄』


ド直球。
最近それを逆に個性に変えていこうとするバンドは沢山いるが、今年のそれの頂点にいる曲だと思った。
とは言え「生きている」というワードに、ここまでパワーを与える曲もないが。

絶対こういうのは若くてマジで金ない時じゃないと歌えないと思うし、ゆえに命の輝きとか、燃え盛るものが伝わってくる。
ここがメジャーバンドと優劣がつけられないほどの、インディーズの魅力だと思うし、それを出し切るバンドなんて少ないんで、オススメしてるのだけは聴いてほしいんですよ。


『「生きている」ただそれだけの言葉、恐ろしく思えてしまう僕らは
日々を照らせ、大切な人失って笑った、あなたのことを信じてる』


16位 ずっと真夜中でいいのに。『脳裏上のクラッカー』



今年ネット上で最もブレイクしたであろう音楽クリエイター集団。
その迫ってくるACAねさんの歌声と豊富すぎる語彙力で、高クリエイター陣をもかしづかせるレベルで熱を与える、現場仕込みのもの。

『秒針を噛む』の時以上に、その表現力が増している気がしたし、何度も聴かせどころがあって、「えー!こんなに貰っていいんですかー?」という多幸感溢れる気分になる。

やっぱりライブ予定もバンバン決まっており、平成最後のネット出身の最終兵器として、次の元号でも暴れまわりそうだ。


『情けないほどの雨降らしながら帰るよじゃあね』


15位 バンドごっこ『後ろの正面』

後ろの正面

後ろの正面


中堅というにはまだ早いが、群雄割拠たる関西ライブシーンで、バンドごっこという存在を守りつつ、次々出てくる若手を一掃したような曲。
これが時代を経て得た説得力のある歌詞と、中毒性のあるリズムだ。

『後ろの正面、夢』

この歌詞の結末に感動せよ。


14位 fibgloo『くだらない一日』


MVはないので、他の良曲。
ただこの曲からも分かるように、今まさにこの時期のクリアな冬の空気をまとった心地よいサウンドとハイトーンボイス、心情描写をしっかり捉えた歌詞が魅力な大阪のインディーズバンドである。

『くだらない一日』は「売れ前コンピ」というコンピレーションCDで聴いて、次々と流れ込む言葉の波状攻撃のAメロから、一気に解放するサビがあまりに心地よすぎて昇天した1曲。

清涼感のあるサウンドが好きな人に勧めると、ほぼ確実にハマってたので、ちょっと気になった人は覚えててほしい。
あと個人的なことだけど、教えた人が「ピアノで弾いてみた」動画出してて、自分のことのように嬉しかったです。


『夕立が降り出したけど、
この雨はきっと
私を祝福するシャワー』



13位 sumika『ファンファーレ』


sumikaが本当に無鉄砲に若いロックに振り切って、その勢いに一気に土俵外に押し出された気分。

でもかといって全世代に好かれるポップさをなくさず、むしろそれもブーストの1つとして使っているので、何度聴いても曲の力を受け止めきれない。
もうsumikaに死角はない。

ブログにも書いたけど、一度sumika離れた僕でも、今度出るであろうアルバムは、ただただ欲しい。


『怖気付いたら、逃げ出したら、怯んだら、俯いたら、
至高の一瞬の虹を逃すんだ』


12位 嘘とカメレオン『フェイトンに告ぐ』



色眼鏡に見られることも多いかもしれないが、やっぱり間違いない実力はあると思うな、このバンドは。
『されど~』のヒットはプラフではなく、普通に25くらいまで誰も見えない場所でやってきた泥臭いバンドマンであることを真正面から証明している。

これからも前に進んでいく!というピュアなエネルギーを全面に、
でも詞のチャム節と、渡辺さん主体の嘘カメ風のギターリズムの個性はしっかり共存させている。

今年の交通事故もそうだが、きっとどんな困難な課題に直面しても、こういう苦労人バンドは進化する姿しかないだろうし、来年の今頃は、もう変に笑っている人はいない。


『自分らしく生きていくということで
どこまでも行ける足だと信じたい』


11位 insomnia girl『10分前後の戦争』


今年言うの8回目くらい?
サウンドの病みつき度がメジャーバンドのそれ。
結局一年中頭の中で鳴り続いていた。

就活というテーマは、大抵の人類が直面するので、必ずやこの歌の意味が分かる時が来るし、もちろん経験者にとっても、改めて勇気付けられる曲なのである。
なので、ずっと聴き継いでいきたい。

あとMVの演技の出来、いろんな意味で完璧すぎない?
これは監督が凄いのかな。


『これが私の人生だと
素晴らしいとは言い難いけど
だけどそれでも
愛、愛、愛していますと』


10位 ウソツキ『名もなき感情』


語彙力がないという語彙力。

元々絵本の世界を作り上げるくらいの語彙力を持っているバンドがあえて心にものすごい近いというか、「君が好き」なんてありきたりな言葉を思うよりも前に届いてくる感情を歌っていて、直接的で文学的ではないけど、全くありきたりじゃない誰でも分かる言葉を駆使しまくってて、驚きを隠せなかった。

まぁその言葉ってのが主に【擬音】ということになるんですけど、新たな武器を手に入れたというか、今後ウソツキが何をしても大丈夫な鍵を、今年は曲の力で手に入れたよな、と思った。


『バーンってなって グーってきて
ぎゅーっとなって泣けてくる
ずきんってなって ビビっときて
君をずっと見つめてる』


9位 ハンブレッダーズ『DAY DREAM BEAT』


なんでこんなにリスナー目線の曲が書けるのだろうか?
本当に高校生の時の感情を毎日一字一句残らず書き残してでもない限り、不可能だと思うが、やっぱりそれができてるから、今年バンドとしていい感じになれたんだろうな。
さすがネバーエンディング思春期。

完全に関西という枠を飛び越え、来年はさらに大きいステージが似合う男達になってるだろう。
好きを正しく根気よく信じていけば、スクールカーストのトラウマなど、これからいつでも巻き返せるぞ!


『ひとり登下校中
ヘッドフォンの中は宇宙
唇だけで歌う
自分の歌だとハッキリわかったんだ』

この部分以外も、全てのフレーズが共感値高く、Twitterならバズる。


8位 Mrs.GREEN APPLE『青と夏』


ポップロックとして攻略不可能な絶対牙城が完成している。

天才と言われ続けた大森元貴が大人になったことで、余すことなく若者の背中を無尽蔵に押し続ける。
それはつまりプロとしての強い覚悟の表れだとも思う。
才能に頼らず、とにかくメッセンジャーとして、プロのバンドとして、誰もが認める存在になるために、5人が更なる一線を越えることができた曲に思った。

その結果、映画主題歌で『映画じゃない』って歌っちゃうところに、ある意味ミセスの本気さが伝わります。


『まだまだ終われないこの夏は
映画じゃない
君らの番だ
映画じゃない
僕らの青だ』


7位 シベリアンフィッシュツリー『贅沢症』



元々昨年先取り紹介したバンドの今年発表した新曲。
ポップロックはミセス最強って、さっき言ってたのに、7位は誰やこいつら」って思うかもしれません。

なんだろうね。まぁ5000円の豪華なフルコースと800円の舌の慣れ親んだ唐揚げ定食はどっちも最高に美味しい、みたいなことですかね。

このメンバー4人と、本当に数少ないであろうMV制作スタッフだけで作られたからこその、何も介在させてない純度を前に、僕らは抗うこともできず平等な聴き手に変わってしまう。
世界観に溢れた歌詞と無駄のない演奏の響きは、スーっと心に入ってはキラキラと輝き出す。
歌ものの持つ"魔法"を、今年最も体現した1曲かもしれない。
どの曲が素晴らしいかも忘れ、聴きいるに違いありません。


『贅沢症の君も
遠くに行きたいだけなんだ』


6位 teto『拝啓』



『浅くてもいいから、息をし続けてくれないか』

もうこのフレーズがとにかくリアルで好き。はい、生きます。
曲の流れを踏まえて、最後に発するこの一言には、

「これからメジャーのステージに行ってきます!」
「今まで本当にありがとう!」
「これからもよろしく!」
「つまり死ぬなよ!」
「どうも!初めましてtetoです!」

この全ての感情が見事に詰まっている気がする。
それはこの曲に関しては、この時代にそぐわないくらい不器用だからこそできた無農薬な芸当と思うし、そういうものを大切にしたい若者ってまだまだちゃんといるんだなー、とtetoの活躍を見てると思う。


5位 RADWIMPS『PAPARAZZI~※この物語はフィクションです~』


今年のRADWIMPSは喜怒哀楽の表現力がすざましかった。

喜……『万歳千唱』
※若い力に影響され歓喜してる
怒……『PAPARAZZI』
※メディアに対して
哀……『Mountain Top』
※王は孤独じゃ
楽……『カタルシスト』
※技術を楽しんでる感がある

四重人格だと思った。
だからか各ブロガーさんとかでも、多分あまりRADWIMPS聴かないでしょ?って人も「ANTI ANTI GENERATION」を今年の名作に入れる人が多い印象である。
凄みが好みを超越させたのであれば、RADWIMPSはヤバい存在になっている。

僕は原点RADWIMPSで、今も一番好きなのを聞かれたらRADWIMPSな人だけど、喜怒哀楽を制したRADWIMPSの行く先がさらに分からなくなって、今もなおワクワクしている。


『目を見て話ができなくて
何が堂々と生きてるだ』


別にカタルシストでも万歳千唱でもよかったんですが。



4位 ネクライトーキー『オシャレ大作戦』



何より楽しいサウンド
そこに見え隠れするコンテンポラリーの生活のストーリーと、もっさの覚悟。
そこに至るまでの物語が本当にアニメのようで、この曲でそこに気付き、驚き、好きになった人が爆発的に増えた。
曲に人情味溢れる物語があると、自分にも重ねやすいからね。それを重くしないセンスはさすがです。

アルバム『ONE!』の発売とツアーの発表で、今ネクライトーキーというアニメは4話が始まったか。
新たな壁をどのような作戦で越えていくか、来年もワクワクしたい。

なんでアニメがどうこう言ってるかは、ネクライトーキーについて書いたブログを読んでください。ロングに読まれてる。


『お金はない、逃道もない
二十五を過ぎても生きていたい
やるしかない、ここまで来た
「さぁ!」』



3位 BURNOUT SYNDROMES『君をアンインストールできたなら』



上半期は1位にしてた曲。
もちろん今も聴くたび大好きですけど、それを上回る聴くたびに好きになる曲と、8月に聴いて衝撃的だった曲があるんですよ…

もう彼らが文学的に加え、歌う百科辞典であるからして、本当に感情移入かつ心に寄り添える歌詞が書けるバンドで、かつサウンドも進化するたび多様で柔軟な遊び心が加わってミュージシャンとしても好きなことを、どう言葉で表せればいいか。
多分それが難しいから、燃え尽き勢の人は絵で伝えていて、絵が上手い人が多いんだと思う(違う)(なぜかミセスも多いよね)。

この曲はロボットが人間になっていく過程を、すごく軽快なロックチューンでしているが、それは勉強も時事もネットスラングも網羅している彼らじゃないとできない芸当。普通は心情書きすぎて重くなりがち。
それが良いか悪いかではなく、こういう"こころ"の描き方が好きな人は、まだまだいると思うんだけどなぁ。

「もうメジャーバンドじゃん!売れてるじゃん!」の気持ちも分かるけど、まだ足りないというか、イメージだけで語ってる人は多いと思う。
かくいう僕も来年3月で初めてライブ見るので、しっかり見ていきたいと思います!


『せず・されず・もちこまず
非恋三原則 つまり
恥掻くのが死ぬ程怖いって事』


2位 Radicalism『向日葵が枯れる前に』


この曲が1万回再生もされていないということは、今音楽に求められているものは、全く音楽以外のところかもしれないと嘆きたくなる。
現に『U.S.A.』みたいな曲しか最近流行らないし。

もっと評価されるべきだ。
まず外的要因としては、この曲を発表した際、Saucy Dogやlvy、Brian the sunなどの大型フェス常連バンドからもコメントがあり、存在を認めていたこと。
そして口コミから話題を集め、地元石巻・仙台から、今年は東名阪のタワレコ一部店舗で取扱が始まっているということ。

そして曲の完成度。
初っぱなのイントロから予感をさせ、静かにささやくようなAメロから徐々に感情が抑えきれなくなるように盛り上がってきてからのサビ。
2番もそういくかと思いきや、突然のトーンダウンからの天を切り裂くようなギターロックの間奏。
いい感じに感情がグチャグチャになりながら歌うCメロから、静かになったと思いきや、ついにボーカルも感情完全解放し、こちとら涙腺崩壊。
そして最後にこれでもかとRadicalismを畳み掛けて、タイトルを一叫びし、余韻を残しながら終幕。

完璧やろ。
これでいてライブも思いの丈をぶつけまくるライブで、終わった後に自分が息をしていることを忘れたのに気付くくらい引き込まれていた。

曲に流れる体温が段違い。
心配しなくても売れるとは思うんですけど、今すぐ届けたい。


『あなたを想っている』



1位『栞』Radio Bestsellers


やっぱり尾崎世界観は天才。
そこに尽きるのと、そのセンスについていくだけのボーカル技術のある5人。
しかもフォーリミ、sumikaあいみょんスガシカオ、ユニゾンとクセ声の大集合なのだが、ちゃんと歌唱のプロであることが伝わるから、何度聴いても曲の見せる表情にドキドキできた。
多分それは、各々のある意味"らしくない"部分も尾崎さんは引き出してるというのも、あると思います。

元がラジオ局のキャンペーンソングなので、そんな簡単にクリープハイプが運用していいか分からないけど、普通にスキマスイッチの『奏』みたいに、春に歌い継がれるレベルにあるだろうし、いつか青春アニメで声優がカバーする。

それでもやっぱりこの6人の歌声には敵わないというか、尾崎さん含めこの6人の個性を見越して作った曲であり、何より若いラジオ・邦ロックリスナーに向けた曲だと思うので、邦ロックリスナーの旅立ちに永遠に欠かせない歌が今年できたなと思った。

あらゆる足し算・かけ算が成功して、寂しさと優しさがこのレベルまできたら、文句なしの1位ですよ。


『うつむいてるくらいがちょうどいい
地面に咲いてる』



まーとーめー


文章長っ(笑)
でも書いてる間メチャクチャ楽しかったし、このプレイリストは鬼リピ。

一応まとめたのはこちらです。

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来年はどんな曲に出会うかな。




それでは、また来年。
よろしくお願いします。

ぼくも傘がない

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