今年、インディーズバンド音楽配信サイト「Eggs」でランキング上位を席巻しているレベル27という大阪のバンドをご存知か。
近年はリュックと添い寝ごはんやKALMA、This is LASTなど、このEggsから知名度が広まり、大型フェス・サーキット出演がどんどん決まっている。
その今年の年間ランキングで間違いなくBEST5には入ってくるだろう話題のバンドだ。
元々関西のインディーズバンド好きには知られている実力派で、徐々に徐々に各地に広まり、いよいよ全国区へ!というタイミングでした。
しかし例に漏れずコロナの影響を受けてしまいました。
それでも今のバンドとしての状態はとても良く、多くの人に知ってもらうためにと制作を続け、今回ついにサブスクでの配信がスタート!
その思いを聞くために、今回インタビューさせていただきました!
※ギターのアーサーさんは諸事情により不在。ドラムの大西さんのコメントが少ないのはインタビュアーの僕の実力不足です…すみません…。いやファンの方なら分かると思うんですけど、ずっと話しやすい相槌を打ってくれたから、めっちゃコミュニケーション取ってる気になってました。
2020年、どうでした?
遊津場(以下、津):今回はサブスク解禁を記念して、レベニーの今や曲のこと、まだ知らない人には過去のことなんかも触れながら進めていきたいと思います。
今年はいろいろあった年だった思いますが、やはり僕自身はEggs Curatorとして活動しているのもあるので、Eggsで再生回数がものすごく伸びて、その影響も気になります。
その中で2020年のここまで、どうでした?
奥田大地(Vo &Gt 以下、奥):まず1月にタワーレコード梅田大阪マルビル店限定で「セントポーリアの育て方/終わらせたって構わないと笑った君へ」 の2曲入りCDをリリースさせてもらったりした時に、いろんなことが上手に偶然重なったなと思って。
このリリースのちょっと前の去年末くらいに、よしもと漫才劇場のイベントで僕らの『27才』という楽曲が使われてることが判明して。
そこで使用してくださったお笑い芸人のマルセイユさんとネイビーズアフロさんとヘンダーソンさんにもご挨拶もさせていただいた流れがあった中で、ちょうど『終わらせたって構わないと笑った君へ』のMVを公開されたときに、マルセイユさんやヘンダーソンさんが拡散してくださって。おかげさまで今までとは違う、僕らのことを知らなかった層の方に届いたなという感触がありました。
と思っていたら、今度はEggsの再生回数が伸び始めてランキング上位につけるようになって、またEggsユーザーという新たな層が僕らに気付いて聴き始めてくれるという、嬉しい連鎖反応が起きてくれました。
レベル27「終わらせたって構わないと笑った君へ」official MV
こういう反応を持った勢いのまま、今年はツアーでいろんな場所に行って、どんどん楽曲をリリースしてっていう1年にしたかったんですけど、コロナウイルスでできなくなりました。
せっかく聴いてくれる人が増えた中で、会いに行ける機会が減ってしまったのは残念だったんですけど、だからこそ今の自分たちの楽曲を届けるには?ということをメンバーたちと考えて、今回のサブスク解禁に至りました。
津:なるほど。ただレベル27は2016年夏頃から活動を開始し、過去にも自主制作などでCDは6thまで発売しています。なのでサブスクを解禁するタイミングがなかったわけではないと思うんですけど、それまでされなかった考えみたいなのはあったりしたんですか?
オオタ13月( Vo&Gt 以下オ):元々はサブスクはメジャーな人達しかできない印象がありました。ただいつからか身の回りの人達もし始めるようになって、僕たちも「どうですか?」と言われることはあったんですけど、
自分たちは手売りのCDを会場とか店舗、「顔の見える範囲で」売るっていう、アマチュアとかインディーズバンドだからこそできる方法で自分達の音楽を届けるほうが今はいいのかなと思ってて。
で、もっとそういう階段を登った先でサブスクとか不特定多数の大勢の人にも届けられるくらいに、いずれは(自分達で)なっていくようにするものと思って、当時はまだ一旦断っていたんです。
たださっき奥田くんが話していたように巡り合わせの流れでEggsで上位になって多く聴いてもらえるようになったり、自分達の手でツアーでライブで売ったり、お世話になってる店舗に置いてもらったりが現実問題難しくなったときに、今の自分達の音楽をまだ知らない人達に届けるにはサブスクなのかなという判断になりました。
津:そういう発信の順序みたいなものは時代によって何がいいっていうのは変わってきますよね。僕自身はAWAでライターもしてますけどサブスクもインディーズバンドによっては聴かれない人は全く聴かれないですし…
そういう1歩1歩積み上げてからっていうのが性に合うバンドもいるだろうなとは思います。
それこそ最近のEggsで有名になる10代バンドはしっかりEggsやライブで評判を集めて、かなり満を持した状態でMVを出して、50万とか100万再生を1発目でいきなり出すバンドも多くいます。
オ:MVバブルみたいなものが一旦弾けたというか、あって当たり前みたいなモノにはなったのかなと思いますね。
津:だからこそインディーズでしかできないこと、みたいな価値は逆に上がってるのかなとも思いますね。
今回選んだ曲について
津:そういう流れがあった中で、今回はサブスクという判断をされたということで。
まずは17日に3曲、そして毎月27日1曲ずつ公開していくという形を取られることになったんですけど、この形にはどういう意図があるでしょうか。
奥:解禁される曲は1曲ずつ、デジタルシングルという形で配信します。なので、既にCDに収録されている曲にもそのCDとは別の新しいジャケットが付きます。
それは自分達の楽曲はMVになってない曲やリード曲とされていない曲もシングルとしての輝きを持ってるというのを、今回MVにはなっていない『オーディション』がEggsでたくさん聴いてもらえて、その上でいただいた評価や反応の中ですごく感じられたからです。今後配信される予定の曲には新曲も昔の曲もあるんですけど、それらもデジタルシングルとしてリリースしていくのは1曲1曲シングルとしての輝きを持つと思えたからこそなんです。
オ:毎月配信なのは単純に音楽を発信する機会が減って、ライブも限定的で、今後どうなるかも分からない中でも、自分達の音楽での活動情報をお客さん達にちゃんと伝えたいところからです。毎月配信だったら今のファンの人には進歩していることを伝えられるし、新しく見つけてくれる人が増える機会にもなると思います。
津:水面下では動いてるし、奥田さんがツイキャスでファンの方と交流したりと工夫はしてますけど、やっぱり根っこのところは音楽でと。
オ:そこがやっぱネット上だけではなかなか難しいのかなって。やっぱり音楽を発信してる状態が自分達のようなバンドにはより必要かなと思います。
津:その中で今回先陣を切るのは、先ほどから話に出ているEggsで伸びている『オーディション』、MVにもなっている『終わらせたって構わないと笑った君へ』、そして新曲の『ぼくらなら』ですが、この3曲にした理由などはありますか?
奥:新曲の『ぼくらなら』は何曲か録った新曲の中の1つで最新のレベル27を聴いてほしくて選びました。
アトモスフィア大西(Dr 以下、大):『ぼくらなら』のイントネーション…
オ:関西感出てる。
奥:このイントネーションがライブで出ないように大阪弁を矯正するようにしてるんです(笑)
で、『終わらせたって構わないと笑った君へ』は昨年11月にギターのアーサーが入って新体制となって初めて作った歌で、最近レベル27を聴かなくなった人にももう一度聴いてもらいたいなと思ってここに持ってきました。
そして『オーディション』、あと27日に配信される『ミサイルのゆくえ』も含めて、
この11月に配信される4曲に今のレベル27の示したい方向性が一番詰まっていると思って決めました。
津:僕も2017年くらいからレベル27を聴かせてもらってて、そして最新の『ぼくらなら』も聴かせていただきましたけど、アーサーさんが入ってからはなんとなくギターが優しくなったように感じました。
奥:嬉しい着眼点ですね。
オ:アーサーくんも優しい…優しいというか、すごく魅力のある人で。本当にギターが好きでライブ終わった直後もギター弾いてるみたいな。実際優しいとも思うので、やっぱりそれがギターにも出ていると思います。
曲の求めるフレーズを探したりとかも、彼は実際メタルとか聴くらしいんですけど、「そんなものが出てくるの?」というフレーズをしっかり出してくれるのは、曲に対して思いやりがあるからなのかなと。
『ぼくらなら』を録るときもギリギリまでずーっとなんかやってたし、そういうのもあるのかなと思いますね。
大:新しい引き出しが必要だったり、前のギターの人のニュアンスを残しながらも自分を出すっていうところは日々挑戦しててると言っていたので、そういうところも出ているのかなと。
奥:僕らが思っている以上にギターに全振りしてくれているような人で。普段マイペースなところがあっても音楽で返してくれると思ってますね。
津:今まではメンバーの個性が光るとか、遊びがあるとかの良さがあったんですけど、今回の4曲はレベニーとしての色がしっかり出ているなと思って、それが「優しさ」や「あったかさ」なのかなと思いました。
『オーディション』もこれまでの実際のオーディションの経験も多くあるでしょうし、『ぼくらなら』はなんか結婚式で流れてもおかしくなさそうですし。
奥:それよく言われます。式で流してほしいですねー(笑)
【サブスクリンク】
▷ぼくらなら
https://orcd.co/level27_ifweare
津:そんな現体制になるまでのお話もちょっと聞いてみたいんですけど、バンドとしてもいろいろ経験されてますし、そもそもレベル27というバンド名も、27才前後という年齢も関係しています。
やはりこの業界は年齢というのはよく見られると思いますし、メンバーの脱退や加入も何度か経験されてる中で、心が折れかけたことや、逆に持ち直した理由にはどんなことがありますか?
奥:そもそもこのバンド組む前にもう心が折れかけていましたね。前組んでいたバンドを辞めたら、もう音楽辞めるかなと思っていた時期もあったんですけど、オオタくんが誘ってくれたのもあったし、それまで応援してくれていた人に何も返せないまま辞めるのもなっていう気持ちもあったし、オオタくんとならまだ経験したことないようなすごいことができるんじゃないかというワクワクもあったので、まずそこでもう一度やろうという気持ちにはなりましたね。
たださらに言うとレベル27って始動発表する前に、僕とオオタくん以外全員1回辞めているんですよね。
津:おぉ…
奥:その後のメンバーは他のバンドでも活躍していたからやっぱり大変で。初めてスタジオ入った日から1ヶ月後にはレコーディングみたいなこともあって。ただまたすぐ脱退とかもあって。そんな日々を繰り返す中で去年やっとアーサーくんが入ってから、自分達が磨くべきものが確立してきたという感じですね。
オ:たしかにメンバーも20代後半に差し掛かる頃に始めたバンドなので、メンバーのそれぞれがそれぞれの音楽を持っていたんですね。
それが良くも悪くも旨味であり、クドさもあった時期もあったと思うんですよね。
エモーショナルなのか、コミカルなのか、ポップなのか。どれなのかという。
そういう諸々を経た結果、結局は僕と奥田くんが曲の元を作るので、そのそれぞれの曲達が持っている良さが求めている感じを出せるプレイヤーが今揃っていると思ってて。サポートベースのノリさんも含めて「なんかこういう感じがレベル27だよね」というのが見えかけてる感じがしています。
津:それを良いと思えてるところに今の良い状態が伝わってきますね。
オ:今まではそれが定まりきる前に人が変わって、だからメンバー探しにエネルギーを割くことが多かったんですけど、今はそうじゃなくて、音楽を作ってどうやって届けるかなということを考えられている状態だからすごく良くて。今も応援してくれている人、以前応援してくれていた人、まだ僕らを知らない人、皆に知ってほしいなという状態ですね。改めて。
もちろん過去からの引き継ぎや積み重ねがあるからこその今なんですけど、新しい状態でやれているかなと思います。
レベル27「セントポーリアの育て方」official MV
これからのレベル27について!
津:さぁその新体制から1年を迎え、また新しいステージに向かっていくと思います。
いろんな人に届けたいという中で、年明けには名古屋のGOLD RUSHの出演も決まっています。ここからどう駆け抜けていきたいですか?
奥:実は今年たくさん名古屋に行くことが決まっていたんですけど、ほとんどなくなっちゃいまして。そのリベンジを果たしたいですね。そのためにはもう一度選んでもらえる自分達でありたいなと思いますし、まだ僕らを知らない人と、2、3年前は聴いてたよという人にまた好きになってもらえるような1年にしたいですね。それに尽きるかもしれません。
大:本当そうですね。
奥:昔から応援してくれている人もいっぱいじゃないけどちゃんといてくれていて、ほんまにメチャクチャ支えられてまして。それはお客さんも関係者の人たちもなんですけど、自分達の存在が大きくなることが恩返しかなと思うので。やっぱり今より多くの人に知ってもらわないと、今より大きなバンドにはなれませんから、そこを頑張りたいですね。
「レベル27が好きという感性は間違ってなかったよ!」って言える存在になりたいです。
津:溜まり溜まってきた恩返しの気持ちが爆発させたいし、できる状態でもあるし、というエネルギーが伝わってきます!
奥:でもオオタさんはあれですか?甲子園の…
オ:それは来年とかではなくない?笑
でも目標ではありますね。去年甲子園球場で夏の高校野球見たとき、ここで流れたらすごい気持ちいいやろうなとは思ったんで。ただメンバーがあんまり野球に興味ない。
奥:昨日知ったんやけどパ・リーグの略って「パーソナルリーグ」やんな?
他:ちゃうよ、ちゃうよ!(笑)
奥:え、某芸人さんのYouTubeで言ってたのに!
オ:まぁレベル27も昨年のofficial髭男dismさんの『宿命』のように甲子園で流れたら。
津:そのためのスタートダッシュができるよう応援していきます!