タイトルの通り。
未曾有の2020年の年間ベストソングです。
あくまで僕の視点はインディーズ開拓者目線。
クオリティとか年月の深みとかと同じくらい、期待値や新鮮さもグッと来てしまうので、他とはまぁ違った感じになるでしょう。
さぁ始めていきましょう!
その曲の好きな歌詞も添えてます!
20位 KALMA『ねぇミスター』
無鉄砲に体当たりしてくるけど、嫌じゃなくむしろ抱きしめたくなる人が急増。
単純に元気なだけとか、ポジティブなだけとは違う魅力。説明が難しいが、これは同世代のリュックと添い寝ごはんや南無阿部陀仏にも言えることで、安定したリズムにとてもジャストなサイズで自分等10代の言葉を入れていて、
これがスッと同年代を越えて、幅広い層にも届いてくる理由か。
その磐石な基礎があるからこそ、KALMAの暴れ具合や開けた感じもより気持ちよく入ってくるし、これから先もワクワクさせてくれる。
この曲は今年幸せと叫べなかった若者に代わりに叫んでくれる痛快な1曲になっただろう。
毎日毎日いろいろあるけど
僕らの未来はきっと大丈夫
19位 anewhite『カヤ』
白いけど濁ったあの煙の色をすぐ想起させてくれるのが綺麗な曲。
「白」「濁り」「煙」と言ったところから、「2人の関係」や「子供から大人へ」みたいな様々な情事に紐付かれて、各々の後悔とも悲しみとも何とも言えなく見せづらい感情に寄り添ってくれた。
ポエトリーの部分やセリフや回想の歌い回しもドラマチック。収録アルバム全体も1つの物語のようで良かったし、来年が非常に楽しみなバンドだ。
透明なんてものよりたしかに濁った
それさえクリアに見えた2人は
ゲームオーバーね
18位 postman『揺らめきと閃き』
postman - 揺らめきと閃き / Shimmering and flashing (Music Video)
昨年のミナホで新曲として演奏されメチャメチャかっこよく、今年MVとなり結局ずっと頭に残った。
愛やエールの言葉と同じくらいキャッチーに「ユーモア」や「閃き」といった言葉を力強くしているのが発明感もあって好きだし、それが陽の当たらないクリエイティブに従事する人にも刺さった。
本来もっといろんなところで鳴らされる曲だったと思うが、溜まりにたまった郵便物を配達する準備はできているはずだ。
理想と現実と今と程よいくらいのユーモアを
17位 SUPER BEAVER『ハイライト』
各音楽隊の演奏、渋谷さんの歌、SUPER BEAVERの背景、全てに不屈のヒーロー性があって説得力が違う。
鬱屈と閉鎖した春に発表されたこの曲は、ちょうど多くの人が人間的な曲を求めていたのもあるだろう。圧倒的なライブバンドでもありながら、音源などで多くの「個」にも響いてる。他との比較の余地も与えない御守りのようなロックだ。
おかげで今がある
だから今日も生きている
そう言いたくなるような
ハイライトを
16位 ビッケブランカvs岡崎体育『化かしHOUR NIGHT』
ビッケブランカ VS 岡崎体育 / 『化かしHOUR NIGHT』(official music video)
すごくパリピなサウンドだけど、2人のキャラクターに合わせた狐と狸の表現・演技力、卓越したリリックセンスに、そもそもゲーム仲間というところから生まれたインドアな面が合わさって、人間誰しもが持つ「バカ」を開花させてくれる。
明るいんだけど「お地蔵様」や容姿に言及した歌詞にはちょっと世の中へのカウンター性もあるし、これがフェスで演奏されるの楽しみでしかない。
友情とらしさに溢れた1曲です。
馬鹿と愛の化かし合いのMusic
15位 リーガルリリー『1997』
私は私の世界の実験台
唯一許された人
このキラーフレーズはいつまでも忘れることができない威力がある。
それでいて可愛らしく、なんだか少しワクワクをもって鳴らされる。でもベースラインはとても不穏な感じもあって、この曲1つでしっかりと世界の混沌を体験できる。
フルアルバム『bettime story』も絵本性とロックの強い部分の絡みがすごくよかった。しばらくライブ見てないから見たいし、ワンマンが見たくなるタイプ。
14位 藍色イマージュ『グッド・バイ』
無垢で無色の初期衝動が凄くて、上半期は5位にしてました。
誰かがいつか違法にアニメでMAD動画作るんじゃないか(ダメよ)というエモさ。アニメMADとかもう古いんかな。まぁアニメの力借りなくても、遥かな星空と青春の1ページが鮮明に浮かび上がる。
このバンド自体の動きは止まってるようだけど、TIDAL CLUBというバンドでも活動していて、このバンドの『duo sonic』もまたすごいんだ。鉄風東京など他のバンドも含め、宮城の若手には希望がある。
向かう場所が何処でもいいよ
今はただ前しか見えないんだ
13位 Saucy Dog『結』
Saucy Dog「結」Music Video <4th Mini Album「テイクミー」2020.9.2 Release>
失恋や悲恋のラブソングが多い中、やっぱり優しくハッピーエンドがいいね、それが歌えるって凄いねと思えた。しかもその先の未来もまた作り上げていく2人の姿も見えて後味もスッキリ。
男性側も背伸びしているように振る舞ってるけど、実は女性側も気丈な部分もあって、みたいなストーリーを歌詞だけでなく、
石原さんの力強さと良い意味で弱く震えるのを兼ね備えた歌声、せとゆいかさんのコーラスでも表現している。
『いつか』に次ぐ再生回数を違う側面のラブソングで魅せた地力は、さらに全国区になっていく始まりなはずだ。
拙い僕からの思いを
綴ろう 描こう 繋ごう
12位 初恋モーテル『アナザー・ブルー』
サウシーでハッピーエンドのラブソング良いねと言いながら、これは別れの曲に思えるのですが(笑)
特徴的な女性ボーカルと曲の緩急は、心のバリケードをするりと抜けてきて、最後の叫びにも似たサビはゼロ距離で刺さってくる。順位はここだが「もっと出会ってほしい!」と思わせるランキングはもっと上位だ。
下北沢のライブバンドらしい蒼く生活感に溢れた曲は今後も気だるい日々に爽やかな空気を運んできてくれるだろう。あとこのMV、最新MVの女の子がとにかくかわいい。
何度も何度も考えて
君のこと
分かったフリしてるね知っていたんだよ
11位 時速36km『ハロー』
菅田将暉のみならず、尾田栄一郎も紹介したことで話題になったこの曲。
本人達も変化をもって制作に挑んだとのことだが、今までの楽曲よりも洗練度が増して約2分半を爽快に、しかしかなり熱い跡を残して去っていくのが気持ち良すぎる。
瞬間最大風速に物凄いものがあるが、凡人が凡人のままでも力強く生きていくのに必要な力を与えてくれて、これから更に勇気づけていく人が増えるバンドでもあるだろう。
あとまさかインタビューさせていただけるとは思いませんでした。貴重な時間ありがとうございました!
週明けの朝を白々と
お昼に約束しちゃった歯医者
何よりそれらを愛してたあなたを愛していた
10位 go!go!vanillas『鏡』
go!go!vanillas - 「鏡」 Music Video
世界が変わり果てた今、もう一度鏡の前に立ち、自分の素顔を知る。
個人的にはそういうメッセージを受け取って、それを「化粧」という言葉で表現するのに撃ち抜かれた。
煌びやかなんだけどシリアスな風情も感じさせる新しいロックサウンドは、
感情が0からMAX、そして落ち着いてマイナスまで起伏するようなスリリングな展開。
様々なピンチを経験して彼らの深さがあるからこそ鳴らされているようだ。
武道館も経験し、こんな年でも不死身のロックンロールがより強大になった。
世界が化粧を落とした時
よく見て 思い切って 型にはめないで
9位 クリープハイプ『幽霊失格』
このYouTubeコメントが秀逸で全て。
すみませんが引用させていただきます。
芥川賞候補のニュースも相まり、よりストーリー性のある文学的な歌詞が輝いて聴こえる。
でもどこか自分の日常に大切な人が化けて出てきてもそうなるんじゃないか、そうありたいという共感もある。
あまりに美しい。
君は幽霊失格
8位 ヤバイTシャツ屋さん『Give me the Tank-top』
ヤバイTシャツ屋さん - 「Give me the Tank-top」Music Video
ヤバTのパンクロック愛、ライブ愛、音楽愛、顧客愛がストレートに伝わってくる。
そしてそれをまとめて「心のタンクトップ」と例え、それを「着るように聴く」というオリジナルな表現がもうロックシーンでは当たり前のように受け入れられているのは少しおかしくもあるけど感動もする。(むしろそのおかしさが安心感)
そもそも高速の男女ツインボーカルは進化の一途だし、
でも圧倒的にクリエイターでありながら、いつまでもライブキッズなこやまさん凄いよな。
愛と友情とPunk Rock
全部大事 それとあとTank-Top
7位 UNISON SQUARE GARDEN『世界はファンシー』
UNISON SQUARE GARDEN「世界はファンシー」MV
こんな世界を嘲笑えるのそう言えばユニゾンが適任だった。絶妙にカッコよく、ちょっとしたアホらしさもここで出すかと。
どうしても気持ちが込もってしまう中、あんな脱力的に、しかも斎藤さんというキャラクターで「HAPPY」って言われちゃったら敵わない。
無駄な発信はせず、こんな状況だからこそ「引き寄せる」ためのカッコよさに変わらず注力しているのが、
改めて際立つ存在感を示していた。
一丸っていうのは ただ丸くすることなんだっけ?
ロックンロールの方がごつごつしてておいしそうだな
6位 Creepy Nuts『かつて天才だった俺たちへ』
Creepy Nuts / かつて天才だった俺たちへ【MV】
HIPHOPというアンダーグラウンドの勝者。
異種のロックフェスでもトリを務める強者。
でも世間的には親しみやすいお兄さん達。
これは大学のCMソングに使われている。
そういった全ても合わさって聴くと、
リスナーを全肯定してくれながらも、
常に背水の陣である厳しさも伝え、
Creepy Nutsに闘いを挑まれているようにも聴こえてくる。
俺らは大器晩成と背中を押しながらも、
「ここまで来いよ。いけるだろ」と壁にもなってくれているような。
本来の意味とは違うけど、まさに今年人生のリード曲になった人も多いだろう。
かつて天才だった俺たちへ
神童だった貴方へ
まだ見ぬ明日へ羽ばたけ行くぜ12345
5位 SiM『BASEBALL BAT』
enjoyなサウンドでもありながら、しっかりハードなパンクで、簡単にラリってしまう。
「KILL YOU」を誰でも真正面から歌うことができる痛快さと言ったらない。
そんな歌詞を見ていくと、いろんな「普通」やしょうもない風潮に殺された感情を救ってくれるとても共感できる歌詞で、心の中にいる自分の弱い部分に武器を与えてくれる。実際、家庭内や学校内でバット持って暴れたらアレだけど、心の中でしっかり殺したいもの殺してくれる武器になってる。
病みつきになるSiMサウンドとMAH節全開で、俺らが本当に守りたいものは、俺らで守るという強い決意を感じる歌だ。
ALL I want is BASEBALL BAT
Swing!
4位 back number『水平線』
こんなに美しく悲しみ、努力の果てにあるものを説明できる曲があるとは。
その美しさも決してポジティブなメッセージだけとは限らないけど、でも心が洗われてしまう。それはback numberがどれだけ一途に音楽やリスナーに向き合ってるかが伝わってくるからだと思う。
back numberの活動も大変だったはずだけど、メッセージを見るとそんな自分達のこと以上に部活などの夢がこの思わぬ形で破れてしまった若い人への思いが強くて、そこにもっと正しくスポットライトを大人は照らすべきなのに…とそういう悔しさ、優しさを社会人、もしくは親世代のリスナーにも気付かせた点はデカい。
辛くなった人には問答無用で「この曲聴いて」が最適解になった。
水平線が光る朝に
あなたの希望が崩れ落ちて
風に飛ばされる欠片に
誰かが綺麗と呟いてる
3位 Orangestar『Henceforth feat.IA』
Orangestar - Henceforth (feat. IA) Official Video
曲の説明で何度も爽快感や解放感という言葉を使ってきたけど、
安易ではなく割りと真剣に考えても、僕の音楽史でその感覚の頂点に来たんじゃないだろうか。
しかもこの曲はボーカロイドの歌声じゃないといけなかった必然性さえも感じてる。人の声で無いからこそ、本当に無添加な青と白だけが脳内に広がるのだ。そして歌詞やその甲高いボーカロイドの歌声に少しでも「自分」を触れさせたその瞬間!
その透き通った青と白が、瞬きながら言葉にできなかった自分の感情の色に染まっていくのが分かる…!
ボカロP×生シンガーの組み合わせが当たり前になって、ある意味、誰でもインターネット発シンガーが聴きやすくなったと思うんだけど、
これはあくまで好みとして、僕は繊細でいて頑健、圧勝圧倒的なサウンドで人の思想を一掃し「ボーカロイドでしか歌えないんじゃないか」と思わせるそんな曲のほうが好きです。
あぁ!夏を今もう一回
君がいなくても笑って迎えるから
だから今絶対に君も歩みを止めないで
2位 感覚ピエロ『感染源』
感覚ピエロ『感染源』 Official Music Video
刺さった。
いろんな今年の背景を歌う曲があったけど、一番刺さった。
シンプルを歌う難しさ。
どんな些細な事も悪意で簡単に大問題にさせられるからこそ、シンプルに戻れる場所が必要で、ミュージシャンはそれを作るからこそ必要な存在だと思いますね。むしろ年々複雑な世界になってるから必要性は増してるし、ある意味こういう曲がこれから無くなっていくことが大切な気もする。でも今はこんな曲がないとやっていけない。
まぁでもダークヒーローになれるバンドってそうそういないというのも大きいポイント。僕はこの曲で1つピリオドを打たれた。あなたはどうですか?「あんたの正義に覚悟はあるのかい?」
いつだって答え合わせはシンプルです
1位 NEE『不革命前夜』
今年のベストソングはこの曲にしました!
インディーズのバンドカルチャーとインディーズのアニメカルチャーの良さがMVで大爆発。
でも簡単にバンド×アニメと言えず、
聴けば聴くほど誰も手にしてないNEE +こむぎこ2000チームの個性の沼にハマっていって…
まぁ最終的になんか知らんけど「革命前夜 君と2人!」と鼻歌で歌うのが、最高に楽しくなってしまった2020年。
NEEはいわゆる先取り紹介をしたことあるバンドでもあるから個人的な思いもあるのだけど、
年始ではインディーズバンドシーンの有望株の1組だったバンドが、
MV450万回以上再生されるというのだから夢があるし、
夢はどんな時代でもアイデアから生まれるというのが分かって、まだまだバンドには純粋に希望を感じてしまった。
バンドのアニメMVが増えたのは間違いなく影響を与えている。
先の読めない曲展開、掴み所のない歌詞、でもどこか憎めない純粋さ。
このバンドの未来が見たいから生きる。
化ける、化ける
月の下の僕らは
ほら何も言えず青に溶けてく
まとめ!
というわけで今年はやっぱりどうしても「コロナの影響」と自然に考えてしまう歌が多くて、
そこに立ち向かう曲、
だからこそブレない姿勢を見せる曲、
それを逆手に考える曲、
聴いている間はそんなこと忘れてしまう曲、
などなど各々の魅せ方、聴かせ方が非常に伝わる1年でもありました。
コロナで与えられたストレス、狂いそうな気持ちは、
もちろん活動できないアーティスト側にもありながら、
それでもしっかりリスナーを支えてくれる音楽をたくさん作ってくれてありがとうの気持ちです。
2021年を少しでもいい気分で迎えられますように、ぜひ聴いてみてください!
それでは、この辺で