↑発売当時のアー写
僕は社会人だけど、
そんなにお金がない。
なのでCDも好きには買えない。
でも情報アカウントとして、
ディスクレビューやライブレビューはしたい。
ということで、
逆に今、僕が持っている中で有名バンドのむかーしのアルバムをレビューしてみようかなと思いました!
逆に今、新たな発見があったりするんじゃないのかと思います。
その第1弾は、
KANA-BOON『僕がCDを出したら』。
2013年4月24日発売。
もう5年前にもなるのか。
これを2018年の僕の知識と音楽シーンの状態で、収録曲順にレビューしてみたいと思います。
気になったら今は中古でも買えると思うんでね、買って聴いてみてください。
- アーティスト: KANA-BOON
- 出版社/メーカー: HIP LAND MUSIC
- 発売日: 2013/04/24
- メディア: CD
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1.ないものねだり
KANA-BOONのみならず、
現代の邦ロックの代表曲とも言える曲。
YOUTUBEでなんと現在5550万回再生。
えぐいな。
この曲がバズった背景には、
いい意味での『平凡さ』があったからだと考える。
この頃はネットも生活に完全に定着して、沢山のバンドが出てきたけど、
逆にそのせいで、
どのバンドマンも「雰囲気カッコいい&天才」を演じているのに、
ファンは気付いてきていて、それに辟易し始めていた。
「天才がありふれ過ぎていないか?」
「これは本当に文学的なのか?」と。
そこに出てきた期待の若手のこの1曲は、
何気ないありふれたカップルの別れ話をトントンと進めて、
その先にあったのは「ゆらゆらゆらゆら」の後に一言だけ付け加えただけのサビ。
この低カロリー、お手軽な感じが、
この頃の若者にちょうどよかった。
音楽だけじゃなく、世間からもどんどん高度な進化が求められ、その担い手に若者が勝手にされていく中、
平凡な若者が、平凡な若者の事をありのままに歌ってくれる。
「僕らは大人が期待するほど、難しく考えれない。心が揺れている時は、こんなもんなんだよ!」
ここに共感だけではなく、
「ありのままでもいいんだ」という捉え方をされた結果、このヒットに繋がった。
まぁ鮪さんも当初は、
前髪見えない系マッシュにして、
雰囲気イケメンっぽくしてたけどね(笑)
ただ本人は早々に、
発売前からキラーチューンで「このキャッチーさに間違いはない」と言っていたので、先見の明はあったということでしょう。
そしてこれ以降、ただただあるあるな歌詞をリズムに乗せて歌うだけの「表面上ないものねだり」な曲も増えたが、
さすがに今はそれだけでは通用しない。
小気味いいリズムは当たり前。
そこに刺さる歌詞か、それに追ずる個性がなければ厳しい世の中になった。
小気味いいリズムを使うにしても、reGretGirlくらい大失恋を生々しく歌わないと注目されないのだ。
2.クローン
『ないものねだり』から一転、
一気にひねくれ者の印象を与えた曲。
特別な楽器は使ってないけど、
コーラスや手拍子を多用して、
(こういう真似しやすさも、
今となれば良かったのかもしれない)
より歌詞やギターソロ、リズム隊を、
際立ったものにさせている。
毒やあえての不協和音を入れつつ、
最後は脅かしてもくるし、
『ないものねだり』を正直舐めてて、
品定め感覚で聴いてるリスナーに、
「おら、やってやるよ!」と、
KANA-BOONが挑戦状を叩き付けた1曲。
今聴いても、なんかムカつく(笑)
3.ストラテジー
これは「れからさ」を連呼する曲。
『ないものねだり』とはまた違った角度で、若者の共感を得る曲。
あっちは恋愛、こっちは存在意義という点で。
あんまりエピソードが聞かれない曲。
だが当時のインタビューによると、KANA-BOONの大事にしてたのは「少年性」で、
このアルバムの為の新曲だし、
その部分は歌詞にも演奏にも1番出ているかもしれない。
4.見たくないもの
元々は「ライブ中に携帯見んな!」
という曲らしいけど、
僕は今のKANA-BOONを含めても、
1番好きな曲かもしれない。
さっきも書いたが見た目クールマッシュばかりで、
鮪さんもその中の1人かと思ったら、
想像以上に熱くて男らしく、
アルバム中に惚れ直すレベル。
「こないとさ!」の部分とか、
大サビ前のほぼアカペラの部分とか。
そもそも興味を持ってくれない人に対し、
目を見てくれないあなたのその目を
そう僕は、僕は見たいんです。
なんてよく言えるというか、
揺るぎない熱い自信を感じるね。
また曲の組み立てが今までと違う組み立てで、
それがまた飽きさせることなく、
アルバムを消化できる要因にもなった。
5.眠れる森の君のため
バラード調が流れたとき、
「どれどれKANA-BOONのバラードは?」と、KANA-BOONが業界から今後を試された1曲。
結果はご存知の通り、
「バラードもいけるんかい!」と、
大合格。
歌詞が売れてない頃のKANA-BOONでしか書けないというのは分かるだろうが、
世界観も今のKANA-BOONっぽくない、
憧れの存在というBUMPっぽさや、アジカンっぽさの影響が、売れてスタイルを確立した今では難しいほど強く出ている。
盲目的というか、「君と僕」以外が全く介在しない愛の重い歌である。
だから僕は昔に聴いたとき、
「彼女への恨み節がすげぇな」
と思った。
しかし近年は歌詞の具体性が求められているので、今出しても6曲の中では1番反響があると思う。
「KANA-BOONは四つ打ちの元祖っしょ!」というイメージしかない人には、まずこの曲から聴かせてみればいいだろう。
2014年に1つのピリオドとして開催した、
「ただいまつり」というワンマンの時も、
最後に披露された大切な曲。
うろ覚えだけど「やる予定なかったんですけど、ここから新たな夢を作るためにやらなければならない曲です!」
と、MCがあった気がする。
僕は現地で見ていたのだが、
今までは自分の曲として歌っていたこの曲を、ファンの皆の曲にした瞬間に見えて、感動的だった。
↑ほれ
6.さくらのうた
今年MVも作られた曲。
ここまで5曲、
いろんなことを歌ってきたけど、
「やっぱり君が好きだーーーーー!!!!!」
っていうだけの曲。
衝動的に書いたとか。納得。
こういう真っ直ぐなところ。
当時流行りのバンドは、斜に構えてなんぼみたいなところがあったから新鮮だったし、
散々ここまでセンスを見せといて、
最後にすごく子供っぽいというか、
僕らの経験談まんまで良かった、安心したと思えたのが、この曲の爽快感の正体じゃないだろうか。
CD全体レビュー
もう発売当時にはミナホにも3年連続で出ていたし、
賞も獲得して、アジカンのオープニングアクトも務めてるくらいだから、
インディーズ界隈では、
この全国流通盤は「ついに来たか」という感じだったんだろうね。
きっと今ならもっと早く青田買いされていたと思う。
でも注目期間が長かった分、
その間に地力が着いて、
今のKANA-BOONの成功に繋がってるとも言えそうだ。
そして売れる前のバンドの1st全国流通盤全てに言えると言えば言えるが、
その数ある1stの中でも、非常に「若さ」に忠実なアルバム。
キラーチューンも入れつつ、
技巧派な曲も入れつつ、
バラードも入れつつ、
叫びも入れつつ、
若い頃の「あれもしたい!これもしたい!何でもしたい!」というのをわずか6曲に上手いこと詰め込んでいる。
自分達の楽しさを優先してムチャクチャに詰め込んでるのに、この爽快感。
このセンスこそがKANA-BOONの一番の強みなのではないだろうか。
もちろん今のKANA-BOONは、
ロックシーンの先頭に立つ1組だし、
昔と同じようには楽しめてないだろう。
ただ大人になったからこそ、
手に入れている楽しさだってあり、
そこを今KANA-BOONは忘れずに楽しんでいるように、僕は感じる。
その原点にあるのは、
間違いなくこのCD、
『僕がCDを出したら』
これが期待以上に受け入れられたこと、
ここに尽きると言いたい。
いやー、でもやっぱり、
昔のバンドのギラギラ感はいいよね。
だからインディーズ開拓は止められない。
それでは、この辺で。