邦ロック最前線情報局

元地方勢の目線から、邦ロックの最前線を

2024年ディグ総括!〜今年も先取り様でした〜


前置き

遊津場です。
今年もずっと良いアーティストを探し続けてきました。

何より今年はフリーランスに転向した年。新人発掘もちゃんと業務になったりもしました。
ディグ時間も増えて、過去最多94組をXを中心に紹介させたいただきました。それでも94組。例年よりも20組ほど多いくらい。先取りは意識しつつ、焦って何でも紹介したりは引き続きしてません。
あとどこかの事務所の意向とかもないです。想像以上に縛られてないんです、僕。

そうやって新人発掘にかける真剣な時間が増えると、いろいろと思うところも出ます。
なので今まではまとめとして「年間先取りアーティスト大賞!」という方式を取ってましたが、今年は思っていることを書こうかなと思います。
今まで年間大賞を決めることに何か言われたことはないし、むしろ好評でさえあったんですが、とはいえコンテスト形式で「勝ち負け」みたいなのを強調してるような表現は、一応ストップしようかなと。
毎年そうなんですが、僕が紹介しているアーティストは全組「何かしら突き抜けていく可能性」を秘めていると思ったのを紹介してます。なので勝つ時は全員大勝ちすると思うので。

というわけで今年は3ヶ月ごとに紹介したアーティストの何組かの活動の振り返りや期待を語りながら、それに合わせて今年のインディーズアーティストシーンをやんややんや書こうかなと思います!

めっちゃ長いよ。

1月〜3月

年末に東京以外の関東の10代バンドの動きが気になったのと、年明けに十代白書予選を見に行ったのを見たことで気になる存在がグッと増えた2024年のスタート。
その関東のバンドで特に気になったのが、まず1月は神奈川のおもかげシェカラーシカでしたね(シェカラーシカは関東各地がメンバーの出身っぽいですが)。
おもかげはインスタのフォロワーこそ多いですが、バズったというよりは堅実に地に足が着いた風化しない楽曲が信頼感を生んで、この05世代を引っ張る存在になっています。自主企画ソールド、大型サーキットフェス出演、そしてまさかの初関西は僕のイベントで物販の在庫ごと完売。着実に1歩ずつ歩んでいます。来年はさらに全国でライブをするでしょう。物販がんばれ。
シェカラーシカも華のあるバンドですが、しっかりと聴かせるバンド。ボーカルの大学受験のため活動休止に入りますが、いろいろインプットして戻ってきてほしいです。


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その後、千葉の高校生バンド・ジャストリブートを紹介。とにかくずっとそのベースレスでつんざくようなバンドサウンドが耳に残って、来年2月の企画に呼んじゃいました。
そして今やサーキットフェスに欠かせない神奈川のパキルカを紹介したのもこの時期。既に知られ始めていたバンドではありましたが、遠征もここまでこなす年になるとは驚きました。

<転調ヒソヒソ話①>
関東の10代バンドの注目株、なんだか減った気がします。
もちろんスランプガールとか前髪ぱっつん少年とかもいますが、閃光ライオットも関東勢少なかったですしね。
その辺の理由はいろいろと推察できることはあるんですが、あんまり言えないです。でもその中でも気になって紹介した関東の本格派バンド候補の三節棍BonSimには頑張ってほしいです。


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そして関西。十代白書は過去一の盛り上がりだったと思います。
元々気になってたyummy'gfrom NOW{活休中}は予選での噂やライブを見て紹介しましたが、この予選ライブで非常に気になったのはkohamoです。その後3月もライブ見て、そこから今年何度も紹介させていただきました。この同世代では奈良のMInd Bluem、今は改名して青が藍に染まるまでも紹介しました。紆余曲折あったけど動き始めて良かった。

ただもちろん関西は十代白書組だけじゃない。本格始動したMarie's Girlと京都の新星・THE HAMIDA SHE’Sを抑えなきゃと思ったのも1月。今年はライブでどんどん駆け上がった1年となっています。実際見て、めちゃくちゃ良かった。

<転調ヒソヒソ話②>
昨年から期待していてしっかり強くなっているmukやインタールードもいて、ここに来年春からはgrating hummyが戻ってくることを思うと、関西のライブシーンは引き続き来年も熱い。
またポポポポの4組始め、クリエイティブなムーブメントを引き起こすバンドも多く登場。この系譜は今後も続いていくはず。
11月、関西シーンには悲しい解散や脱退のニュースも多かったけど、きっちり同期や後輩に受け継がれているはずです。


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そしてもちろん関東関西以外もチェック。
金沢からTHE あろーんず、仙台から物品販売はオススメです。
プッシュプルポットからのライブバンドの流れを止めなかったTHE あろーんずはもっとライブ好きに評価されていい。
仙台に関しては鉄風東京以降、本当にいろんなタイプのバンドが耳に入るようになった。その面白いバンドの中でも特に個性的で、ゆえに人情味も伝わってくるのが物品販売です。

あと個人的にsoundcloudにも手を出して、その時に紹介し、その後ちょっと話題になって嬉しかったのは高知のSadamori Koukiでした。

最後に触れておきたいのはReinore。どうしても年齢や地方の話が多くなりましたが、そんなの関係なく、こだわりのある歌詞と轟音を下北沢で鳴らして、しっかりサーキットまで出るようになったバンドもいるよということも伝えたかったので。


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4月〜6月

日々TikTokでもセコセコとディグっていますが、yoursヅは僕の投稿へのコメントで知って、「おぉ!」と思ったバンドです。結局コメントもらって紹介したいまで思ったのは彼らくらいかな。彼らも2月の企画に出てもらいます!
ラブソングのイメージのある歌モノで、ある程度シーンに今年から出てきたバンドって、あとmill mealsくらいかもしれない。実はネクストマルシィやシャイトープ、全然いないかも。

SNSと切っても切れない関係のらそんぶるを見つけたのも4月。実は大バズする半月くらい前に紹介しました。僕はYoutubeを漁ってる時にライブ動画見つけて知りました。
正直ここまでのスピードで注目されるとは思いませんでしたし、その理由を若い女性とか音楽のところ以外に思う人もいるでしょうし、その流れを重視するのは良くも悪くも強まってます。ただ、らそんぶると7月に紹介した至福ぽんちょライブバンドとして長く愛される自信あります。僕なりに数多いるバズったバンドのそれからを見てきた経験からです。


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5月に紹介した広島のSON OF THE COCOは実は昨年から名前は知っていて、3月に紹介した山口のわたしたち、10月に紹介した福岡の奏人心と共に、新しい西のライブムーブを作ることを今も期待しています。
名古屋の次を担うであろうライブバンド・Lilinを知ったのも5月中旬。名古屋と広島の輩出の安定感に脱帽。福岡も最近良い感じな気がしますね(あんまり僕は紹介できずじまいだったけど)。

関西組では11月の企画で頑張ってくれたAKAMONE、ユニークなハロー二世帯住宅を知った時期でした。
関東組で取り上げたのではoh!!真珠s花酔いが着実に名前が知られています。JAPAN JAMに出演したハイドランドも期待せざるを得ないでしょうとReal Soundに書きました。

ただ活動的なバンドもいれば、SON OF THE COCOとハロー二世帯住宅のように次報が止まっているバンドもいます。どの選択肢も正解だし、もちろん無理はダメだけど、こんな曲もあるから続けてくれると嬉しいな。


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7月〜9月

やっぱり無骨なロックバンドっていいなとシンプルに思わせたマママ・ダ・マートのMV。岡山から全国を行脚するライブバンドとして活躍しています。
それに負けじとポップロックで存在感を示したのは大阪のGroggy-Froggy。グロフロとらくガキのポップは今年の大阪インディーズバンドのトピックの1つに。
様々な姿を見せる”全要素ギターロック”と感じるライブで、奈良まで見にきて良かったと思った、奈良のファジーデイズ。年明けから活動再開で未来は明るい。
この3組好きなら岩手のMx.lzzyも聴いてみてほしい。


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ただ8月には、新しいトレンドを思わせるようなバンドが目立つ。
ボカロックや歌い手な文化をDTMでロックに変えるソロアーティストが飽和し、バンドで表す人達が増えてきた。SNS利用もNEEやChevon、CLAN QUEENの方法を参考にしている気がしますね。今後さらに増えるでしょう。
僕がその中で期待したいのはKreK"reでした。まぁ彼らはボカロよりも邦ロックの風味は強めですが、渋く深みのある音しているので、それが他とは違う感じ。
YANKはむしろトレンドの真ん中で先陣を切る感じになりそう。ライブデビューも早かったので、ここから自分達らしさがさらに出るでしょう。

あと知らない間にバズってたテレビ大陸音頭も7月にライブ見ましたがエグかった。


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10月〜12月

1つ基準としているミナホやKNOCKOUT FESにどんなバンドが集まるかというところ。
まぁ大きくは外れてないかなと思いました。
むしろ大きなメンツの変更はなく、今年は結成5年目前後のイメージの諦めず続けてきたバンドが大きく評価されたイメージ。EVE OF THE LAIN、夕方と猫、浪漫派マシュマロ、Gum-9、トップシークレットマン…。ネットが飽和気味な分、地力のある音楽を求め始めるムーブは来ていそうです。
そういった意味でbuild a bondOXUには頑張ってもらいたい。
そしてそういう時代に関係なく評価されそうなバンドとして、Kudos Veint.r.a.n.eを紹介しました。特にt.r.a.n.eはその後スガシカオにプッシュされ脚光。あと先取り紹介はできなかったけど、PompadollSはライブ見て衝撃でしたね。逆に貴重な関東本格派の新星。
関西は十代白書予選進出者も発表され、ファジーデイズやnikogeなど注目株がいます。そことは違うネ★ナイトに僕は注目。意外と関西にはいないタイプの本格派だと思います。ライブ見ても個性感じました。


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まとめ

あくまで紹介した超先取りアーティストを軸にインディーズシーンを書いたので、今年のインディーズシーンまとめにはなってません。すみません。
「今年ブレイクした、あのバンドは?」というのは、僕の中ではまだ未知数だから触れていないか、既に去年以前の時点で触れているからなので、あえて今書いていないと思ってください。

 

今年の冬フェスの若手枠に20代前半のギターロック・歌モノがほぼいないんですよ。JAPAN JAMが嘘のようだ。
バンドに求めるものがお客さんも、イベンターも、レーベルなどの育成側も大きく変わったなと思いましたし、多分ここから本当に良くも悪くも即戦力しか必要にならないかもしれない
じゃあ「若手は地力つけるために、じゃんじゃんライブハウスに出ようね」と簡単に言うのも、ライブハウスに縁のない青春を送った元田舎勢として寂しいし、そういうわけでもないと思う。だって普通に代わりに出ている若手枠のバンドやアーティストも大好きだから。
僕は自分達に合った、自分達にしか出せないハイブリッドを見つけることが大事だと思うし、それを見つけるまでは焦らないというのが1つ答えになりそうな気がしてます。その融合成分はネットなのか、他文化なのか。その模索の結果「ライブハウスどんどん行って縁作りだ!」とフィジカル面を融合させるのも正解だと思います。
バンドの1番の武器ってエネルギーだと思う。多人数が、しかも楽器という武器を持って、動き回って、同じベクトルで向かうんだから、1番強いエネルギーの音楽だと思います。つまりは1番夢感じる。そのエネルギーを信じて安売りはしないでほしい。

本当にバンドする上で考えることは、時代と共に増えまくっていると思います。
そこに寄り添える、そして役立つリソースを出していきたいし、多くのリスナーが応援したくなるアーティストを見つけていきたいと思います!

最後にプレイリストあるので、聴いてみてください。