邦ロック最前線情報局

元地方勢の目線から、邦ロックの最前線を

ネクライトーキーは、アニメだ。


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悲しいかな。
邦ロックバンドには、
好きになったら負けな気分なバンドが、
1年に数組は出てくる。


去年それに該当するのに、
タイトルのネクライトーキーはいたと思う。


可愛らしい女性ギターボーカルが、
可愛らしい声で、
リズミカルなポップロックを奏でる。


正直、MOSHIMOでもう十分です。
という聴き馴染みの強いバンドだった。

曲は嫌いになる要素ないんですよ。
絶対誰しもが、曲の「狙い」が分かる。
でも、そんな間違いのないバンドを、
自分の中のエース格にしちゃうと、
まるで自分の音楽観がチョロく思える、
そんな錯覚が生じるんですよね。


でも何ででしょう、この前公開された、
「オシャレ大作戦」が何度聴いても、
気になってしょうがないのです。

ネクライトーキー MV「オシャレ大作戦」 - YouTube



それはなぜか他の人も同じなようで、
前MV「許せ!服部」はもちろん、
他の動画に比べても、伸びが違います。


「好きになったら負け」なはずなのに、
好きになりそうな、このモヤモヤ。
気持ち悪いのでブログにしました。


第1話~ コンテンポラリーな生活は「既に経験済」


このバンドでまず最初に分かるのが、
「コンテンポラリーの生活の2人が始めた新バンドなんだー」ということ。


このコンテンポラリーの生活、というバンド。
器用で多才で大黒柱のギタボの朝日さんはボカロPの評価も高いという、
アーティスティックな実力派ロックバンド。

当初は「KANA-BOONの盟友バンド」という側面もありました。
関西を中心に徐々に全国区に迫っていきました。


そんな感じで5年くらい経ちました。
ぶっちゃけ消えましたよね。


その理由は、このバンドも所謂、4,5年前の
好きになったら負けな気分になるバンドだったんですよね。

曲はキャッチー、
歌詞も捻ってる、
ライブも熱がある、
MVも面白い、
ベースも美形、
リード曲以外も絶対外れない。


でも、これがすぐに分かってしまう分、
沼にハマるまでもないなと判断されちゃうんですよね。
こういう音楽をするんだろう、と(分かっちゃないけど)分かっているのに、
それにお金を落とす必要はないというか、
それならYOUTUBEでいいじゃないかというか。

しかも同時期の関西バンドには、
KANA-BOONやキュウソ、tricotにオーラルなどなど。
若い子に1番手グループにいないバンドを好きになれというのは、案外難しいもので。

KANA-BOON好きなんだ!私も!」
「オーラル好きなんだ!いいよね!」
「コンテンポラリーな生活?通だねぇ」

別に相手も何も意図はないんだが、
話し手にはちょっと辛い反応。
あ、そっちなんだ?
器用貧乏なバンドが好きなんだ~、みたいな。

これが目に見えているバンドであった。



こんな感じで、
こういうバンドは良い新曲を出し続けるけど、
どこかのタイミングで忘れ去られてしまいます。
実際、「化け物になれば」はすごく良い曲なのに。

コンテンポラリーな生活「化け物になれば」MV - YouTube



この現状を打破するために、
始めたのがきっとネクライトーキーなんです。


これはスゴいことだと思う。
経緯的に一回、コンテンポラリーな生活は負けを認めたと言われても仕方ない状況に置いたのです。

一回もう伸び代的にダメだと思ったら、
「負け戦はできない」というプライドから解散か活動休止を選ぶもの。
でもそれはせず、2人のメンバーごと、
心機一転新バンドを始める。
逆にコンテンポラリーの生活としての意地や反骨心が窺えますね。
ロックです。


第2話~ 同じ轍は踏まない…ために取った驚きの戦略


そこで選ばれた新ボーカルのもっささん。
ボカロPの顔を持つ朝日さんからしたら、
「やっと出会えた声」というのも納得。

ちょっともっささんを調べたところ、
元々「空中スコッピー」というバンドをしてて、
ちょうど今大学を卒業して1年くらいらしい。
意外。まだ二十歳くらいかと思ってた。


まだそれくらいの年齢に思ったのは、
見た目とかではなく、技術的な面で。
フォロワーも300人ほどだしね。
バチバチにやってるバンドマンに比べたら、
まだまだ発展途上なのは当然。
(まぁ「monologue」って曲、やっぱ良かったけど)
しかし5年ほど高いレベルの舞台で戦ってる、
コンポラの2人に挟まれてるから、なお”未熟さ”が際立つ。


僕は実はこれこそがコンポラの作戦なんだと思っている。


その幼げな声と、それに合ったPOPなサウンド、
これで勝負なんかハナからかけてない。
幼げな声に期待してたのは、その成長曲線。


「タイフー!」や「だけじゃないBABY」の時は、
もっさが朝日さんの書く才溢れる歌詞に、
必死に付いていった感覚だった。
むしろこの必死さを出すのが目的だったと思う。
あえて高いハードルというか、
コンポラの時と変わらぬ強烈な朝日節な歌詞とリズムを与え続けたんじゃないかと思う。

ただだからこそバンドのキャラクターやMVも、
もっさっぽく、そしてマンガチックに何本も仕立てて、
「少しでももっさが良く見えるように支えてやろう」という、
コンポラの時とは違う親心のような頑張りが見えた。


……


実力派のロックバンドの中に、
同時に実力派のロックバンドが戦うステージに、
いきなり放り込まれた少女。

その子の個性を殺さないよう、
しかし、何段もレベルアップさせていくよう頑張る、
元「売れ損なったバンド」の男ギターと女ベース。

ドラムも加え、そんな4人が厳しい邦ロック業界に挑戦(+リベンジ)をする……



まるでアニメかマンガのような話じゃないか。


プロデューサーとかの師弟関係や親心というのよりも近い例えは、

…一介の村娘が、いきなり王女になって「国を救え」とか言われて、
それを支える騎士がいて、
その騎士は厳しくも頼りがいがあって、
その騎士も成長していく王女に期待していて、
そんな日々の中、たくましく”共に”成長していくファンタジー…
的な。
こんなアニメ多いよね。
グラブルとか?(見てない)


ここで言う「国」は、
=似た者同士が生まれすぎて消費サイクルが速すぎる、バンドにとっては困った最近の邦ロック業界かな?(笑)



朝日さんなら、こんな無駄にストーリー仕立てのバンド計画を練っててもおかしくない。
むしろこういうサブカルな方法で逆襲しなきゃ意味ないと思ってるはずだ。
そう考えた理由は、
ボカロが最強だった時期に、ボカロとロックの融合の成功を米津玄師と同じくらいにやっていた、
という自負を感じるからだ。

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第3話~ もっさの成長と逆襲の作戦「オシャレ大作戦」

そう考えるとボカロもだいぶ衰退し、
歌い手やらボカロ関係者もどんどんバンド組んだり、
3次元の世界に挑戦していっている。

ただボカロPは、やはり素材を活かすのが上手いクリエイターなんだと、
ネクライトーキーを見ていて思う。


最初の「タイフー!」の時は、
ロックファンからもボカロファンからも、
「えぇ…この路線…?」とコメントされていたかに思う。

しかし、もっさは成長し、
「だけじゃないBABY」で朝日節にある独特な悲哀を表現できるように、
「許せ!服部」で歌詞の中毒性が発揮できるくらいキュートに。

恐らくこれは隣に鍛え上げられたバンドマンがいることで急速に成長したんだ。

そんな特別な環境はネクライトーキーにしかない。


そして最近出した「オシャレ大作戦」は、
POPロック、というありものの種類ではなく、
ネクライトーキーのロックになっている。

教育テレビの番組のBGMのような特徴的なサウンドに聴こえてたけど、
それがもっさを教育するためのサウンドから、
ネクライトーキー独自のサウンドに代わり、

そんなもっさの成長を信頼し、
よりボカロとバンドで培った朝日節を全面に出し、

そしてそれに応える成長をし、
完全に自分のロックとして歌うもっささん。

狙い通りの成長曲線。
これだけ揃えばMVも基本演奏シーンで画が持つ。
歌詞のイラストを少しイジるだけでOKに。
(むしろそれくらいで逆に良かった。)

メッセージ性も変わった。
「だけじゃないBABY」の時にも、

”とうとう何にもできぬままで8年2ヶ月が経った”

みたいな歌詞があったが、今回の、

”25になったら死ぬしかない”
”25になっても生きていたい”

のほうが、
より成長に対する焦りを感じた。

それはもっさがきっともうすぐ25になることで、
バンドの手応えとともにバンドマンとしての焦りを実感しているのと、

コンポラの2人が25の時に、
盟友だったはずのKANA-BOONと比べての俺らという悔しさが、

ダブルミーニングで絶妙にマッチしたのだ。
※多分コンポラは28才くらい。

手馴れた遊びと可愛さがあるようで、
しっかりと成長とリベンジが見える。

一体もう1本出すというMVと、
5月に控えるワンマンはどうなるのか……



……

さぁ、面白くなってきました!

それもそのはず、
アニメは3話から面白くなるのが、最近の鉄則!!


今回の曲で気になる人が増えてたのは、
もっさが可愛いとかじゃなく、
曲やMVが良いだけじゃなく、
ネクライトーキーというバンド成長ストーリーが面白く仕組まれていることが、巷に分かってきたからなのです。


それはまるでアニメのような世界。
まさに「大作戦」。
しかも「オシャレ」だ。
そのスタンスを知ると、好きになっても仕方ない。


今思えば最初に書いたMOSHIMOも同時期のライバル。
そのMOSHIMOも本格派歌ものバンドから、
女性目線のラブソングが得意なバンドに、
かなり方向転換し、
その経験から「ただの」女の子バンドに、
格の違いを見せつけて勝ち上がってるバンドだけど、
ネクライトーキーなら相手になるかもしれん。

いずれ対バンしたら(勝手に)盛り上がります。



皆さん。まだこのネクライトーキーというアニメ見るの間に合います。
気になった方はネクライトーキーと、
コンテンポラリーの生活にも、
再度注目してみてはいかがですか?



それでは、この辺で。

ハスキーガール

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