邦ロック最前線情報局

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「ざわめきプレイリスト#1」ライブレポ

「年の瀬に空白ごっことanewhiteか。行くしかねぇな」


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①中村はく(O.A)

ぶっちゃけ性別すら分からなかったSSW。
このブログ書いてる時点でTwitterのフォロワーが100人未満だけれど、ミナホやノックアウトフェスなどの大型サーキットに出演済。ドラムのイノウエさん始め、しっかり熟練のサポートメンバーを集めたバンド編成でした。

MCらしいMCもほぼなく、真摯にメッセージをしっかり届ける歌声に会場は引き込まれていた。若さゆえの葛藤を歌った歌は彼女と同じ20才の同世代だけじゃなく、もう少し上の年代にも思い出させるものがあったはずだ。同期のようなサウンドでも、人の心に繊細に触れることができる力があったし、刺さる人に深く刺さるSSWになりそうだ。


②黒子首

きのこ帝国から派生したような"アートロック"みたいなイメージがある人も多いと思うけど、こういうバンドこそライブだと泥臭いことを知れるからライブは面白い。
弾く弦1本1本がその指の体温を持って絡み付いてくるこの感じ。MCのFM802の樋口さんがこのバンドの音楽を「内側から沸々と来る感じ」と紹介していたその通りで、リスナーがスッと曲のクリエイティブな側面と堀胃さんの経験から生まれた生々しい側面が入り込んでくる。あとドラムの田中さんの持ってる"明るい熱"が、それをまたいい感じに仕上げてくれるんだよ。

だからこそ『Champon』のキャッチーなフレーズはより効果を増すし、コロナで声は出せないけどシンガロングの場面はより感動的になる。『チーム子ども』の童心に帰れる力の不思議。
もちろんそれはサポートを含めた5人の演奏力の高さにも裏打ちされている。どこまで止まることのない飽くなき表現力に今後も注目したくなるライブでした。


③anewhite

8月以来のanewhite。前回は尺の都合で4曲しか聴けなかったけど、今回は40分でしっかり。でもやっぱり終わった時は「もう!?」と思った。それだけの地力を夏からさらに付けたんだなぁと。特にベースの日原さんのゴリゴリ感が増してるのに、より無理なくスムーズでカッコよかった。『metro』の曲の合間には良い雰囲気が伝わるようなMCが入ったり、そういった余裕も様になってる。

恐らくNEWアルバムからの新曲は河田さんのギターから可視化できるかのような綺麗な音色が印象的。なんか青を基調とした色がギターから放出されてた。既にキラーチューンとなっている曲が何個もあるけど、またこのアルバムから生まれてくるんだろうなと期待させる。多分2ヶ月に1回以上のペースで大阪に来ているし、これが全国区になるバンドなんだなと改めて思った。


④空白ごっこ

実はしっかり聴いてるグループ。2枚目のEPはライブの生感が一気に増しててライブ楽しみにしてた。
今回のライブで一番驚いたというか、すごい好感を持てたポイントがあって。もちろん普段顔出ししていないVo.セツコさんは気になったけど、それがすぐ気にならなくなるくらいサポートバンドメンバーが凄く楽しそうにしていたんだよね。
空白ごっこはメンバーが3人いて、その中でステージに立つのはセツコさんだけ。コーラスも務めるリードギター、ベース、キーボード、ドラムは見るからに"歴戦の凄腕"という印象の4人だったけども、なんかとても青春しているようにライブしてるのが珍しかったし、誰かが他のメンバー2人かと思ってた。

ただそれを引き出しているのは空白ごっこの楽曲の「熱狂さ」。ライブが進むにつれて熱が高まり、セツコさんの『天』や『運命開花』での決意のドリルで壁をぶち抜くような歌声と、『ハウる』での照明も相まってダンスフロアにさせる歌声の表現力の幅広さで、体温が上がって冬に汗ばんだライブでした。そりゃベースの人も弾けた笑顔が止まらんわなって分かる。


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ここ最近、メンタルが重くて動きづらかったんだけど、帰りは足取りが軽くなった4組のライブでした。ありがとうございます!