邦ロック最前線情報局

元地方勢の目線から、邦ロックの最前線を

2021年の上半期「◯◯な曲」セレクト!

少しまとめ的な意味合いです!
昨年まではベスト10形式だったんですけど今回は、

  • すごみを感じた曲
  • シンプルにカッケー曲
  • 中毒性が高い曲
  • 個性が爆発した曲

3曲ずつまとめてみました。
どうぞ☕

すごみ部門

「あぁやっぱりすごいな」っていう。
国民的アーティスト多め。

星野源『創造』


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スーパーマリオブラザーズ35周年ということで書き下ろされたテーマソング。
『アイデア』や『恋』のようなサビでグッと盛り上がるわけではないんだけど、ずっと楽しい!聴いてる間スター状態になれる曲。

聴き馴染みのあるマリオのBGMに随所に散りばめられたマリオや任天堂、そしてそれを生み出した日本人の世界に誇るクリエイティブを思い出させる歌詞。
星野源自体が苦難を乗り越えながら楽しい創造で世界を変えてきた人物だから、そんな大きなテーマでもピッタリ合う。マリオそのものだよね。
ガッキー姫と末永くお幸せに🍑


スピッツ『紫の夜を越えて』


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聴いてスピッツってすぐ分かる「安心感」と、しっかり今を投影してることが分かる「臨場感」で、いまだに多くの人々に新鮮な拠り所を提供しているというすごみ。
もうずっとそうと言えばそうなんだけど、いつにも増して曲から伝わる「届け」って気持ちと「紫の夜」っていうワードセンスに特別心奪われました。

このコロナ禍ですごく神経質に違いない草野さんが悩みながらも、「越えていこう」と偽りのない言葉で優しく背中を押してくれます。夜をエモく歌う若手バンドは多いけど、この暗闇と光のコントラストを感じさせるレベルはやっぱりちょっと格が違うというのもありますね。



神聖かまってちゃん『僕の戦争』


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進撃の巨人のアニメFinal season主題歌。
この曲の持つもうあと一歩でどうしようもなくなる雰囲気が、「戦争」「進撃の巨人」そしてボーカルのの子が感じてきた「学校」という場面にもリンクしていると思った。

フィクションにも、遠い海の向こうにも、すごく身近な生活にも潜む「破壊と孤独」。あの特徴的なサビには普通に過ごしてたら見えてこなかった様々な悲喜交々の叫び声が詰まってるように感じる。
Tiktokではネタ的な感じで使われてはいるんだけど、いつかそうやって使った人がどうしようもない壁にぶつかった時、意味は違って聴こえてくるでしょう。
まぁでもの子の積み上げてきたメッセージがここで爆発したのはファンとして嬉しいです。サブスクとかでフルで聴いてね。



シンプルにカッケー部門

何も難しく考えずエモ。
ギターロックになりますよ、そりゃ。


◯空白ごっこ『運命開花』


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年明けに出した1曲。
昨年リリースされた曲も良かったけど、もう吹っ切れてストレートなギターロックで勝負することを示した。
下北沢中のライブハウスをツアーするという面白い取組も発表。きっと大きめのライブハウスでワンマンをゆっくりやっていく方法もあった中でこれを選んでくれたことが、良い方向に向けばこれからのインターネット発ロックも変わってくるかもね。



◯Hakubi『道化師にはなれない』


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タイアップも増え、順調に知られるようになり、年齢も重ねてきたHakubiがこのタイミングで「そんな単純なわけねぇだろ」と全てをさらけ出して反骨心丸出しの1曲。ある程度整ったガラス細工をまた粉塵爆発させてる。

インディーズバンドの関連動画にこれでもかってほど登場。多くのバンドが「邦ロック」というタグを付けてMVを登録してると思うんだけど、YouTube側が代表格としてこの曲のMVを貼ってたんじゃないだろうか。求められるギターロックのレベル高いな。



minori『シネマ』


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それでは有名どころにも全然負けてない再生回数2383回のインディーズバンドのストレートなロックチューンを1つ。
上半期で「聴けば分かる」という点では1番だ。

人が人に対して大切な気持ちを素直に伝えるというのを100%の力強さで、でもサラッともしている。バンドらしい地力とセンスと経験の融合です。
特にこの曲は特別な生活感や物語性が入ってないから、誰もが自分の背景を投影しやすいし、ナヨってもない。

まぁでも聴けば分かる。


中毒性高い部門


◯「私」(CV.悠木碧)『がんばれ!蜘蛛子さんのテーマ』


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アニメ「蜘蛛ですが何か?」の主題歌。アニメは見てませんがMVと歌詞見たら大体分かったし、興味ある。

思わず耳に残るメロディーを30個くらいくっ付けても曲って完成するんだね。
※ただし強引さと悠木碧というトッププロ声優が歌うに限る……
緩急ってもんじゃねぇし、早口ってもんじゃなぇし、ハイテンションってもんじゃない。悠木さんは演技というか憑依。あんな綺麗に管理者Dに怒れたり、「もう絶対生きていたい!」と叫べるのすごすぎるよ。
カラオケ行ったら絶対挑戦したいし、絶対局地的に流行ってる。そういうアニソン減ってたしね。



フレデリック『名悪役』


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こっちは逆に昂る感情を抑え、努めて冷静に言葉を連ねる。その大人っぽさがエロい。そんな魅力に詰まってる。
負けず嫌いな恋愛の世界観がフレデリックというバンドにはすごく合ってるし、この曲展開で「2度とあなたに歌わないよ」って言われたら「待って!」って思わず僕が彼女なら言っちゃいます。

あぁもうフレデリックの魔の手に落ちてますね。さすが名悪役。
でも自身を名悪役とすることでフラれた彼女をヒロインとして立たすなんて、どんだけ紳士なんだ。



◯メランコリーメランコリー『Cut』


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怖い。
無邪気ゆえ、なんですよね。
絵本のようなアニメMVも相まりすぎてる。

ウィスパーな女性ボーカルだと浮遊感が出てくるんだけど、そこがこの曲には出てないのが多分好きなんだな~。

もちろんクセのある曲っていうのはTiktok全盛だから他にもあるのかもしれないけど、これも漏れずに聴いてみてほしいし、ちゃんとフル尺で世界観が完成されてるからオススメ。


個性爆発部門

らしさがしっかり出てて好き。
急遽作ったんで他の部門と被ってる気もするけど…笑


◯chilldspot『Monster』


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chilldspotのチルの部分とでもかなり鋭く人間の本質に突いてくる部分、あとはもうただただ演奏が上手い部分が全部出てる。

新曲『Gloovy night』もそれに浮遊感と得意の夜の世界観が出てたから迷ったんだけど、彼らがまだ18~19才ということを考えると、少しピュアなところも『Monster』のほうが出ているような気がして好きだった。好きだったし、ハッとした。

ものすごいスピードで成長し、大型フェスやサーキットも続々決定しているけど、まだまだ序章に過ぎないだろう。Adoや崎山蒼志、バンドではルサンチマン鉄風東京と同年代と考えるとすごいな…



sumika『Shake & Shake』


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歌詞にある
「感動的最愛集を紆余曲折ノンカットでショータイム」
をまさに詰め込んでる。

決して嫌な思い出もカットせず、清濁を飲み込んでくれる深い愛情のフルパワーで、吹っ切れたようなパーティーソングはどこか神秘性もはらんでいて、目の前の人を絶対逃さない一周回って狂気さも見える。そこがすごくsumikaらしいなって思った。



◯秋山黄色『PAINKILLER


PAINKILLER

PAINKILLER

  • 秋山黄色
  • ロック
  • ¥255

アルバムの最後を飾る1曲。
ブレイクした彼の出すアルバムとして、実に最後に相応しいし、この曲のためにアルバムを通して聴いてほしいなと思った。

この曲を語ったインタビューがすごく良くて、彼なりの最大の愛が出ていた。いわゆるドロップアウトした世界を見てきたからこその「生きてくれ」は説得力が違うよね。でもそれもあくまで提案であって、まずは悪循環を立ち切るという。そのスタンスが彼らしいと思った。

どんな変化でこれからもリスナーを驚かせてくれるんだろう。古参も新参も関係なくそのワクワクを与えてくれる稀有なアーティストだし、何よりその完全燃焼を見たくなるんだよな。