出会い厨より、情報厨

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この状況を代弁してくれる3曲、という小説(⁉︎)


<登場人物>
渉…邦ロックが好きな大学3年生。愛媛県から現在は大阪で一人暮らしをしている。

アルバイト先の飲食店はコロナウイルスの影響で休業中。大学は登校禁止となっており、サークルも活動できていない。両親は80歳の祖母と住んでいるので帰省は控えている。
好きなバンドは10-FEETdustboxで、最近サバプロを聴き始めた。日タグは一時はしていたが最近はすっかりしておらず250フォロワー前後。
元カノにはブロックされている。

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「無理。マジもう無理」

渉はそんなツイートをしようとして、削除した。
もうこれに似たようなツイートは2回はしているし、誰かからリプがくる事もないと知っているからだ。

同じ一人暮らしの大学の友人に全く会ってないという事はないのだが、
渉の家は同じ一人暮らしでも、少し大学から離れているため友人を呼ぶこともできない。
何より今、どこの大学生もアルバイトがなくなり、みんな節約志向になっており、遊びやご飯に誘える状況でもない。(そもそも店が開いていない)

突然襲い掛かるように増えた1人では費やせないほどの空虚な時間。
この時間を過ごす中で様々なことに気づいた。

まず自分がライブ行けないのが苦しいとかじゃなく、今日もどこかで音が鳴っているという状況が春を越えて、5月に差し掛かっても何の見通しもないのが息苦しすぎること。

元々大学とアルバイトがあるからライブにそこまで何度も足を運べないし、昨年のRADIO CRAZYを最後にライブにも行ってなかった。
来年からは就活だし、今年は冬春はお金を貯めてカミコベとメトロックに行ってやろうかと思っていた。

だから2月まではTwitterを見てライブを楽しむ姿が流れると「もうどっか行ってやろうかな…」と思い、詰め込んだアルバイトのシフト表の中で空いている日と、バンドのライブ予定を探した。この場所ならここからもそんなに遠くないし、気になってたロクロラも行ってみることもできるかも‥

しかしその日常は未知のウイルスが奪い去ってしまった。
ネット上にとにかく溢れるライブの中止の連絡、そしてバンドという存在が世間からどのように見られていたのか大袈裟に突きつける、
自称:識者達のコメント。
ライブハウスという場所についていろいろ知る機会にもなっているけど、一ファンとしてわざわざこんなネガティブに知らされるというのも辛かった。

ネット上には星野源さんをはじめとして、多くのアーティストやバンドマンが特別な弾き語り動画を上げたりもしているし、YouTubeに期間限定でライブ動画をアップしたりして楽しませようとしてくれている。
そこに感謝すると同時に、完全に好きな邦ロックの時計の針が止まっていることに対して何もできない自分が、誠に勝手だと思いながらも、非常に申し訳ないなという気持ちが常にどこかにあってしまっている。スマホやPCだけで鳴り、外に行けない音楽の囚われた感覚に、渉の心の芯までどうにも暖まらないのであった。

そしてその温度は他では埋まらないこと。
闇雲にTVをつけてもニュースはいつも同じ情報が流れているし、マスクをしていない恵俊彰が不安で見てられない。
その逃げ場のバラエティでは、
「若いもんはそんなことも知らないのか!」と大声をあげる代表作を知らないタレント。YouTubeで探せばごまんとある動画を集めただけの特集。
そういえばキングコングの西野が言っていたな、「TVは伝統芸能に向かっている」。
それはなんというかもう渉の世代からすると「諦め」と同義ではないか。
諦めのコンテンツを見たってしょうがない。
スポーツ中継ももちろんやっていない。
ドラマはダイジェストじゃ楽しめない。
漫画、アニメ、ゲーム…
いろんなエンタメは溢れかえっているけど、今は熱中できる気がそもそもしない。だから自ら勉強や創作をすることもできない。
「それが大切なんだよ!」うるせぇ強要すんな、バーカ。

生命だけは維持する事はできているけど、なんかそれは政府という掃除当番に見えるところだけ雑巾で拭かれている感覚で、内側の部分の汚れや枯渇は激しい。
残念ながら自分はそこを満たすのに音楽しかない、燃費の悪い心を育んでしまったようだ。そこはちょっと恨んでいる。

「しかし恨んでも仕方ない。きっと今は考えすぎてトゲトゲしているんだ。何か優しい歌を聴いてみよう」

普段、渉が聴くのはメロコア系列。もちろんそれらも聴いているときはベッドから動き出すには十分な原動力にはなっているが、ここは同じ音楽から別角度で元気を貰ってみよう。そしてパソコンを起動し、YouTubeを開いた。

「そういえばライブハウスについて歌った曲が感動的ってなんかで見たな。ハンブレッターズだっけ」

「そうそうこれだ。あ、ハンブレッダーズか」


ハンブレッダーズ「ライブハウスで会おうぜ」Music Video

 

「そうそうそう!ライブハウスで初めてライブ見た時、「音デカ!」ってなったな!
 そもそも初めてのライブハウスは緊張したんだよ。懐かしいな。今では緊張はしてないけど、あのライブ会場の持つ謎のドキドキ感って、いつもテンションが上がる。」

初ライブハウスの事を鮮明に思い出す。誰と行って、どんな会話をしたかも。

「『ヘイ ロンリーベイビーズ』って俺らのことよな。今、誰とも約束ができないし、ライブハウスのことをバイト先で話すと少しいじられたから、あまり友達との会話でも出さなかったんだよな。でも少なくともこのバンドは迎え入れてくれるんだ。「会おうぜ」がどれだけ邦ロック好きには温かい言葉か…。俺は今まで聴いてこなかったけど、ファンなら泣いてるだろうな、これ。」

悪気はないのかもしれないけれど、そう言った些細な他人からの言葉に少し自信がなくなっていた。でもその自信がまた少し戻るくらいライブハウスでの楽しい思い出が蘇る。
 

歌詞に走馬灯という歌詞があったが、まだまだ走馬灯は走らせない。生き抜いてやると思うには十分なメッセージソングだった。


「いやぁハンブレッターズ?ダーズ?ってこんなにいいのか。他も名前知らないようなの漁ってみよう。マカロニえんぴつ、Saucy Dogは聴いたことあるな。Brian the Sun?あぁ名前だけしか知らないな。めっちゃ最近アップしてるし聴いてみよう」


Brian the Sun 『春風』


「うわぁ…10年もやっているバンドなのに、なんで今頃知ったんだろ!
テレワークで作ったシンプルなビデオだけど、なんというかこんなに優しく春の風をまとって届いてくるんだ…。
むしろシンプルだからこそ、このバンドの高い地力というのが感じられるなぁ。
 思えば今年はしっかり外で深呼吸するのも、ウイルスがいるんじゃないかって思ってしっかりできてなかった。でも確かに今僕は春の心地よい風を吸い込んだし、心に溜まっていた老廃物が取り除かれた感覚がある!」

 

静かな春が怖いとか、
今までも世界は崩れそうだったこととか、
不安や悲しみの思い通りにさせないとか、
そこにある。それだけで誰かの救いになるとか。

今と普遍的な感情の結びつきが、今後も絶対にほどけなくて、不安な人全ての心の拠り所になる1曲です。

 

 

「うんうん『神曲』や『彼女はゼロフィリア』とかもいい曲だな。あ、関連検索で感覚ピエロ出てきた。おっは°いって歌うバンドでしょ。どれどれ」


感覚ピエロ『感染源』 Official Music Video

 

渉は言葉を失った。

もちろんイメージが変わったこともある。ドラマ主題歌、アニメ主題歌を何作も担当しようと、どんなテーマを歌っても許される唯一無二の立ち位置を手にし、幕張メッセ公演まで辿り着いた個人事務所で活動するロックバンドだ。

だからこそアウトロー・ライブハウス代表として、突き刺さるような言葉で政権やマスコミ、ネットリテラシーを断罪していく曲と思っていた。

しかし渉はこう言う、
「自分にも刺さった」と。

この曲はこんなバンドだからこそ、こんな事態だからこそ、「愛」を高らかに歌っている。
これこそが正義と振り回しているのは、ひょっとしたら音楽業界側もしていることかもしれない。そして音楽ファン側も無意識にしているかもしれない。
僕も一度聴いただけでは社会へ痛烈なメッセージを与えたと思っていた。

でもちゃんと僕らにも「感染源」になろうと呼びかけていた。

この曲は約1ヶ月前に投稿された曲で、MVでは3月10日の渋谷の様子が描かれている。
そこから果たして変われたのかなぁと自粛疲れがどんどん溜まってきて、日本中にイライラが溜まってきた今、また聴くべきだと思います。

 

 

本当に見通しのない不安がもうエンタメ業界から自分達の話にまで来ている人もいるでしょう。
○○つなぎも正直どんどん陳腐なものも出てきていて、相手に疎外感を与えるだけのものも生まれています。

そこに対しまずは自分への愛を持ち、思い通りにいかない日々を負けだと思わず、またライブハウスで共に宇宙を広げられるその日を待ちたいですね。

 

それでは、この辺で。


※この物語は1%フィクションです。登場人物を渉からあなたに変えた時、100%ノンフィクションに変わります。ちなみに僕の本名は渉でなければ、愛媛県には行ったことないし、誰かにブロックはされてない。