邦ロック最前線情報局

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新たなインディーズ音楽の秘密基地「ジロッケン」

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あくまで「TVとYOUTUBEの間」ってスタンスが、プロ並の音楽してるけど、まだ素人感の抜けないインディーズアーティストを紹介するのに合ってます。

いきなり長々と(笑)
でもこの番組の大きな魅力です。

この「ジロッケン」を知らない人に一応説明すると、ネクストブレイクを期待されるアーティストをいち早く
「スタジオでのインタビュー」
「スタジオでのライブ」
「バンドの活動密着型インタビュー」
「実際のライブハウスでのライブ動画」
など様々な視点で掘り下げる番組です。
僕は「出れんの!?サマソニ」特集とか好きです。

元々は「次世代ロック研究所」という名前でしたが、今はいわゆるロックみたいなだけのものでなく新進気鋭のアーティストなら幅広く紹介しています。

コンセプトはこちら↓

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(番組HPより)

http://www.jirockken-tv.com/


ただ番組と言っても、全国の地上波に乗ってるわけではなく、
関東と関西の一部地域でしか見ることができません。ちょっとテレビ神奈川については住んでないのでよく分かりませんが、サンテレビっていうのは、まぁ関西でしか見られない、基本阪神タイガースのことしか放送してない放送局です(ド偏見)

ただ今までの放送内容は全てYouTubeから見ることができます。



で、まぁTVなのでスタジオのセットとか、演出、音響、カメラワークはプロが作ってるので、出演者の雰囲気を全く壊さないクールな30分をお届けしてくれます。

ただもう出演者ですよね。

今のメインMCは

  • ロックバンドTENDOUJIのアサノケンジさん
  • HIP HOPグループJABBA DA FOOTBALL CLUBのNOLOVさん
  • Youtuberのめがねさん
  • HIP HOPグループDos MonosのZo Shitさん
  • ロックバンドさすらいナンバープレートの難波さん
  • EDMユニットのCare Killed the Cat
  • 渋谷の古着屋「boy」を運営し、DJ活動もされる奥冨直人さん
  • TempalayのAAAMYYY


ちなみに初代のMCはCHAIのマナとカナがしていました。あるあるさんのコーナーなんかもありました。

要するにTVタレント的な人はいない、なんならTVはド素人のメンバーばかりなんですよね。
普通の音楽番組なら、とりまとめる芸人やアナウンサーがいますが、別路線で活躍しているメンバーだけです。
そして、呼ばれるゲストバンドも次世代ということもあって、メディアに素の声出すの当然初めてみたいなバンドばかりです。

だけど構わずボソボソ喋ったり、ノリだけで喋ったりします。
ただの軽い打ち上げみたいなスタンスで進んでいきます。
特にTENDOUJIのアサノさんの愛され具合もあるのでしょう。

でもこのテンションがとっても合ってます。
ライブハウスバーをコンセプトととした、しっかりとした番組セットの中で、元々仲良しな人も来ることもあるし、好き勝手肩の力抜いて楽しそうにしゃべっている。
それをそのままパッケージして放送している。(NGワードとかも乱発してそうだけど)

だからこそゲストのバンドの素の部分が溢れ落ちてくるし、溢れてきても全然「それはそれでいいよね」、ニトロデイのように全くしゃべらないならしゃべらないで「それはそれでいいよね」ってなる雰囲気になります。逆にキイチビールのような明るいキャラクターが出てきても「それはそれでいいよね」
だからKing Gnuでは井口さんのキャラクターはもちろん、FINLANDSではコシミズさんの天然とかも炸裂しまくりですけど、変にTV感はないから、より楽しい。

この自由さ。
まさに「遊びに来てる」
でも自由を自由なまま届けたら、それはただのYouTube生配信やツイキャスみたいになるんですけど、放送局がやはり制作していることで、そういう素人っぽさも含めて作品にしており、
よりアーティストの内面の良さに惚れるし、見ていて「自分達とすごい遠い存在じゃないな」ことも分かって親密感も出てきます。
でもそれと同時にインディーズファンの心をくすぐるようなニッチなテクニックや興味深いコメントも出てきて、そこには尊敬を。

密着インタビューもそんな感じ。
素の10代なら10代の姿を見ることができますし、意外なルーツなんかも。
崎山君はBUCK-TICK聴いて育ったんだって。

そしてどれだけゆるーくトークをしていても、ゲストのカッコいい音楽でちゃんと締めます。
そこに言わずもがなギャップ萌え。
明らかに僕はこの番組でTENDOUJIやステレオガール、UMEILOやThe Muddiesもより好きになりました。


こういうTVだからできること、
でもTVタレントがいないからできること、
ミュージシャン達やサブカル界隈にいる人達だからできることを、
バランスよく考えられているんだろうなと感じてます。


センスに溢れた音楽愛


そして毎回出てくるアーティストが全部いいです。
全部いいなんか言うと、上から目線になるんですけど、ちょうどインディーズ好きが「知りたい!」というバンドをことごとく外さず呼ばれている2年間なんです。
ちょうど「MVだけじゃなくて、ライブしてるとこ見てみたい〰️!」という。
またMVにはない曲だったりするし、生だからこその生き生きとした歌声で新たな発見があったりして、街のライブハウスに行けない私が、ちょっと近付けた気がする。

ライブのカメラワークや切り取るMCもですけど、この番組はやはりいろんな音楽が好きなスタッフが集まって作ってると感じます。

でも制作側の好みは少し統一感があって、なんでもかんでも勢いのあるアーティストばかりではない。
今まで出演してきたゲストは、

  • King Gnu
  • ドミコ
  • Tempalay
  • FINLANDS
  • カネコアヤノ
  • ステレオガール
  • マカロニえんぴつ
  • サバプロ
  • 錯乱全戦
  • 秋山黄色(オープニング音楽も担当)

などなど。

他にも東京だけではなく、
関西のハンブレッダーズや浪漫革命、北海道のUMEILOやCVLTEやマイアミパーティ。

こういう「なんでその歌詞やサウンド思い付くの!?」バンドから、聴きたかったヒントや考えを知れます。
あとは実際に国内外で評価されている若手アーティストも多いですね。


さらに個人的に好きなのは、一度紹介したゲストを、1年後くらいにまた再び紹介するところ。
もちろんCHAI時代とは番組のムードが若干違うところもありますが、
やっぱりまずは一音楽好きとして、本気で環七バンドを応援したい!という気持ちが、こういうところから伝わってきます。

また元々TOKYO CALLINGともコラボはしていましたが、来月にはついに番組の企画ライブも行います。

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つい先日、こちらにトロデの追加が発表されました。
濃ゆくも脳内物質が喜びに染まっていきそうなメンツですね。

こういうリアルとも繋がっているところも、制作委員会の愛なのでしょう。



まーとーめー


ということでこの番組は本当にインディーズ好きには面白い。
ゆるさとカッコよさのメリハリ、そして今後の目標はアーティストとして少し自覚が出てきたからこその熱を感じながら聴けるから、本当にいとおしくさえある。
まさに「夜明け前」のあのワクワク感を終始感じながら見れる唯一の音楽番組です。

またこのような番組は一時的にでも増えてくると思います。
最近は特にロックシーン全体を見ても¨青田買い¨が流行っていますし、メディアの「囲いたい!」という意識の強さを、最近よくも悪くも感じます。

ただ言ってもまだ誰も知らないアーティストを取り上げ続けるのは、実際問題金になるかどうかは別です。
そもそも武道館級のロッグバンドでも、世間的にはまだまだコアな存在なのに、そのまたコアコアなバンドが好き向けというのは、かなりマイナーな趣味の人層であります。
ジロッケンのCHAIKing Gnuといった話題性のあるファミリーが各番組にポンポン生まれるわけでもないですし、続けるのは大変な題材とも言えるでしょう。ちょっとでも邪な考えのもとインディーズアーティストを扱うと、すぐ軸がぶれ、そのマイナーな層はどこかいくと思います。


ただジロッケンには、そういう悪いガツガツ感はない。
だからこそ「好き」に忠実な漢気みたいなのも感じますし、もうあのスタンスはパクられても、パクりきれるものではないでしょう。


もちろん番組も進むにつれて、いろいろ変化していくとは思いますが、
いい意味で細々と、末永くタモリ倶楽部のように、インディーズ登竜門になってほしいですね。



それでは、この辺で。

ジロッケン環七フィーバー - YouTube