邦ロック最前線情報局

元地方勢の目線から、邦ロックの最前線を

今、順風満帆の人生を送ってない人には、the satellites『星が見えた町』を

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ずっと前から知っている。

「完璧な人間などいない」

そんなこと分かっていても、

TVの向こうの芸能人も、

新聞の記事に載るスポーツ選手も、

なんなら勉強のできる友人も、

恋人のいる友人も、

自分と比べると嫌ってほど、

完璧に見えてしまう。

今日も自分は何かしらが欠けていて、穴だらけの埃まみれ。

本当に何歳になっても不完全だから、

いまだに夜明けを迎えるのが怖い日がある。

その体を抱き締めるように、隙間に音楽を詰め込んで、心の膿を押し流すのがミュージシャン。

でもそのミュージシャンだって、

既に大きなステージに立っている。

既に成功を収めた者に見える。

なので時にその抱擁は、

暑苦しいし、嘘臭い。

面倒くさくてごめんなさい。

いっそのこと、ほっといてくれないか。

……

「じゃあ、ほっときます」
「僕らも僕らのことで全然大変なんで」
「気が向いたら見てください」

そんな風に、不器用に、でも妥協せずに、自分の心のど真ん中を抉り取った言葉と音だけをthe satellitesは選ぶ。

きっと安アパートの、闇夜のベッドの上で苦しんで苦しんで、何度も心に手を突っ込みながら、「あれじゃない、これじゃない」としながら。

だからもう聴こえてくる音楽から想像する彼らの心は穴だらけ、姿は傷だらけ。

そんなフラフラな満身創痍の姿で、

「生きること」を何度も強く唄う。

唄う。唄う。唄う。

その何も取り繕ってない赤裸々な姿は、

年齢関係なく、次第に自分の写し鏡のように彼らの姿が見えてくるでしょう。

決して抱きしめては来ない。
でも「初期衝動」の一言では片付けられない。

世間体を脱いだあなたに、そっくりなロックバンドがここにいる。

だから満身創痍の僕らの心にこれ以上なく強く届く。


このCDは最後、

進む先に何が待っていようと、
光だけではない未来像を描く君に幸がありますように、
願ってるよ。

収録曲『ロックスター』

こういう歌詞で締められるけど、

聴いた人全員が、

「the satellitesにも幸があれ」

と願ってるよ。

the satellitesは、順風満帆に生きれなかった僕らの希望だから。

the satellites「命の唄」Official Music Video - YouTube