ずっと前から知っている。
「完璧な人間などいない」
そんなこと分かっていても、
TVの向こうの芸能人も、
新聞の記事に載るスポーツ選手も、
なんなら勉強のできる友人も、
恋人のいる友人も、
自分と比べると嫌ってほど、
完璧に見えてしまう。
今日も自分は何かしらが欠けていて、穴だらけの埃まみれ。
本当に何歳になっても不完全だから、
いまだに夜明けを迎えるのが怖い日がある。
その体を抱き締めるように、隙間に音楽を詰め込んで、心の膿を押し流すのがミュージシャン。
でもそのミュージシャンだって、
既に大きなステージに立っている。
既に成功を収めた者に見える。
なので時にその抱擁は、
暑苦しいし、嘘臭い。
面倒くさくてごめんなさい。
いっそのこと、ほっといてくれないか。
……
「じゃあ、ほっときます」
「僕らも僕らのことで全然大変なんで」
「気が向いたら見てください」
そんな風に、不器用に、でも妥協せずに、自分の心のど真ん中を抉り取った言葉と音だけをthe satellitesは選ぶ。
きっと安アパートの、闇夜のベッドの上で苦しんで苦しんで、何度も心に手を突っ込みながら、「あれじゃない、これじゃない」としながら。
だからもう聴こえてくる音楽から想像する彼らの心は穴だらけ、姿は傷だらけ。
そんなフラフラな満身創痍の姿で、
「生きること」を何度も強く唄う。
唄う。唄う。唄う。
その何も取り繕ってない赤裸々な姿は、
年齢関係なく、次第に自分の写し鏡のように彼らの姿が見えてくるでしょう。
決して抱きしめては来ない。
でも「初期衝動」の一言では片付けられない。
世間体を脱いだあなたに、そっくりなロックバンドがここにいる。
だから満身創痍の僕らの心にこれ以上なく強く届く。
このCDは最後、
進む先に何が待っていようと、
光だけではない未来像を描く君に幸がありますように、
願ってるよ。収録曲『ロックスター』
こういう歌詞で締められるけど、
聴いた人全員が、
「the satellitesにも幸があれ」
と願ってるよ。
the satellitesは、順風満帆に生きれなかった僕らの希望だから。