昨年、この邦ロック先取りアカウントの一押しとして、
何度も名前出したこのバンド、
「立ち耳スコティッシュフォールド」
あくまで自然体から、絶妙に希望や切なさを奏でるエモさを、特徴の違う男女ツインボーカルが繊細に表現するその世界観で、一昨年6月結成ながらインディーズシーンでは徐々に知られる存在に昨年なりました。
特にコンテストでの活躍がすごく、
・ROJACK史上2組目の2期連続入賞
・Eggsマンスリープッシュ選出
・MASH FIGHTマンスリーピックアップ
・eo music try二次審査選出
・ITAMI GREEN JAM学生部門優勝
などなど、これ以外にも多くの全国区のオーディションには大抵名前がありました。それも2次、3次審査くらいまで。
(ITAMI GREEN JAMではカミコベ主催の松原さんにも評価のコメントをいただいてました)
このような活躍から、今年も多くの期待を集めているバンドであります。
しかししかし、まだまだ世間から見たら音楽をやっているただの若者達。しかもバンドも結成してまだ2年です。
普通に考えて、無名のバンドだし、バンドとしてまだ成熟しているなんてありえないし、まだまだ歌詞も演奏力も伸び代だらけだと思います。
なのでこのインタビューでは、あえてガッツリ奥深くまで、曲とか、4人のパーソナリティーに触れることは避けました(の、つもりです)。
今の段階でメジャーアーティストのインタビューのように「あんた達ヤバイ、ヤバイ」と言い過ぎるのは、まだ違うと思います。
むしろ、ちょっと前までは普通のロック好きの若者が、昨年激戦区の関西ライブシーンにデビューし、”演者”として特別で初めての経験だらけの「インディーズバンドの1年」を過ごして、どういうことを感じたのか。
ちょっとそういう視野広めで、今回、立ち耳スコティッシュフォールドお会いし、遊津場史上3度目のインタビューを敢行いたしました!
もう今でしか語れない「インディーズバンドの本音」がメチャクチャ出てきて、立ち耳好きはもちろん、立ち耳のことは知らなくても、インディーズ好き、バンド好きにも楽しめる内容です!
ちなみにインタビュー中の写真は僕の大学の同級生で、元写真部部長で現在も仕事で撮影などを行っている友人に頼みました。名前出したかったけど止められました。
それではスタートしますが、あれこれ聞く前に、
やっぱりまずは、コレから聞いてみました。
バンド名の由来〜曲作りのルーツ
左から田中(Dr)、松本(Vo.gt)、青木(Vo.gt)、林(Ba)
遊津場(以下、津)「やっぱりすごく印象的だと思うので、まずバンド名について聞いてみていいですか?」
松本章吾(Vo/gt 。以下、松)「バンド名はですね、僕が決めたんですよ。独断で。
好きなバンドとかも(バンド名の)響きがいいのが多くて……
何があるっけ?俺の好きなバンド(笑)」
田中将馬(Dr。以下、田)「それは自分に聞こう」
松「あ、andymoriとか、くるりとか、神聖かまってちゃんとか。
もう響きと語呂だけで決めて、特に意味はないです。」
津「僕このバンド名すごく好きで、曲の世界観や4人のキャラクターからしても、強い横文字のバンド名ではなく、このゆるふわというか可愛い感じの名前の方がいいと思うし、それしかないなとも思うバンド名だと思うんですよね。
このバンド名で活動してて、去年何かありました?」
松「うーん、ライブでの出演者との顔合わせの時、最初ちょっと恥ずかしいなと思ってました」
田「せやな」
松「長い(笑)」
青木美咲(Vo/gt 。以下、青)「最初の頃、エゴサしても出てこんかった」
田「可愛い本物の猫のほうが勝ってるんで(笑)。バンドって後に付けないと出てこないので、Twitterのアカウント名にも”バンド”って付けてます」
津「まぁでも変化球的な名前だとは思うし、曲や直接的でなない詞、ツインボーカルってところでもクセがあって、クセがあってこそのエモさというタイプだと思うんですが、そこに何か意識とかあったりしますか?」
松「うーん、まぁ僕があまり流行りの曲を聴かないというのは大きいかもしれないです。
メロディーとかも今のやつよりSUPERCARとかNUMBER GIRLとか90年代〜2000年代前半くらいのが好きで」
津「みんな22歳ということ考えたら、少し世代ではないですね。僕(26歳)も聴いた時、ベボベっぽい少し懐かしい要素も感じましたし。
まぁでもそれを狙っているというよりは自分が好きなものを詰め込んだら、ああいう感じになったという感じですかね」
松「そうですね」
津「メンバーとしても、あまりそういう音楽観が違うなーということはない感じですか?」
立ち耳全員「(頷く)」
林大貴(Ba/以下、林)「僕もくるり聴きます」
津「で、バンドを2017年秋に結成されたと」
松「いや初ライブがそれで、結成は6月ですね」
田「組んでからもう2年経つで」
青「え、怖い」
松「もう2年経とうとしてんの?」
田「もう2歳児やで」
青「怖っ。やっとやっとやのに」
津「まぁ聴き手からしたら、それくらい潜伏期間あるもんよなぁとは思いますけど、やってる側からしたら」
松「怖いですね…」
田「結成前までは、それまで大学の軽音サークルで触る程度だったんですけど、まさか今この形でやってるとは思わなかったですね」
この1年のリアルな身の周りについて
津「そんな20歳から始めたバンドだからこそ聞いたみたいんですけど、最近すごく10代のバンドの活躍が目覚ましくなってて、コンテストとかでも10代バンドが盛り上がってるなぁと感じるんですけど、なんかそういうバンド見てて思うところとかありますか?」
田「肌質が違います」
他3人「それでいいの?(笑)」
松「まぁでもたしかに。オーディションとかでよく会うよな」
田「もっと若く始めてたら、とはやっぱり」
青「バンド自体の全体的な勢いはあるよね」
津「年齢とかはやっぱり意識しますか?」
松「常に意識してますね。一般的に大学4回生とかの年齢なので、バンドするか、就職するかですし。まぁ自分達も昨年のオーディション関連がなければ普通に就活してたのかな、みたいな」
青「今、よくしてもらっているバンドは年上の方が多いので、そこまでは、とか」
津「昨年はAOI MOMENTとか、meh meh white sheeps等ともやられたりしてましたもんね。
昨年、対バンとかでこのバンドから刺激受けたなってバンドいますか?」
青「メーメーさんかな?」
他3人「そうだね」
松「あとはTransit My Youth」
津「具体的にどういう刺激を受けましたか?」
松「最初、男女ツインボーカルのバンドが関西インディーズにいると思ってなくて。
メーメーさんは特に、コミュニケーションがちょっと苦手な僕たちにも向こうから話しかけてくれて、すごいよくしてもらって、イベントにも出させてもらって。LINEも交換できました(笑)」
青「あとはいつテン(いつまでもそのテンポで)さん」
津「あ、それはまた毛色は違うバンドですね」
青「すごいよな。絶対真似できへん」
田「ビックリした」
松「ライブの盛り上がり方が、本当のメジャーのバンドのライブの見に行ってるんかってくらい客席が盛り上がってましたね」
津「それもまだ数十人もいないくらいのお客さん相手でも、それくらい盛り上がれる場所を作るバンドがいるというのは、実際バンドをやり始めてから気付いたという感じですかね」
松「そうですね。仕草とか、立ち振る舞いとかなんとかしないとな、と思いましたね」
津「その中でも昨年、ちょっと自信がついたなと思うところはありますか?」
立ち耳「うーん(沈黙)」
津「もちろん課題の方が多くて当然だとは思うんですけど」
松「課題しかない…演奏力が無さすぎる。
レコーディングスタジオの人にも言われたんですけど、この受賞歴からして、もうちょいライブハウスからもいい扱い受けるはずだけど、それに見合う演奏力がないと」
津「すごいリアルですねぇ…」
青「ちょっとづつは成長してると思うんですけど、いろいろ賞をもらってるので、結構急激なレベルアップを求められているので、間に合ってない…頑張ります」
田「過去のとかと一緒にされちゃうもんね」
津「それはもう、コンテストでいきなり注目浴びる若手バンドの実際感じているすごくリアルな意識の変化を感じる声ですよね。あとは身内だけじゃないお客さん、人生初めてのファンという方も増えてきたと思いますし」
青「そういう方々にはありがたさしかない」
一同「うんうんうん」
松「終演後に上手くしゃべれてなくて、伝わってないかもしれないですけど、本当に僕らは来てくれたことに感謝してます!、ということを書いてもらってていいですか(笑)。本当にいつもなかなか言えてないんで(笑)」
青「どこで伝えてるんやろ(笑)」
津「いや、大歓迎ですよ(笑)
まぁ課題ばかりというのは仕方ないかもしれませんが、その中でも大切な軸にしてるのはなんですか?」
松「音源はまず大事にしたいですね」
青「ずっと言ってるもんな」
田「とうとう音源負けバンドとまで言われ始めてるんですが…」
林「一番やばいよね」
津「やっぱり入ってくるんですね、そういう声。
その音源をどういうアプローチで広める工夫を考えてますか?」
松「CDを通販でも買えるようにはしてるんですけど、Eggsで無料で聴けるようにもしてます。ただこれはいいのかどうか分からないところもあるんですけど」
田「ただEggsではA面とB面の曲を間隔を空けてアップしました。
やっぱそれは今ライブできてない状態でもあるんで、貴重な情報源であるTwitterのネタが無くならないようにというのを考えてしています。
他のツイートでもなるべくいいねが貰えるように工夫はしてますね。長文で画像付けたり(笑)」
津「それは【とにかく音源を聴いてもらいたい】というのがありますか?」
松「インディーズバンドにありがちなんですけど、音源を出すのを渋って会場だけの販売にするより、僕らはSNSとかネットで手軽に聴いて欲しいんで、全く出し渋らないほうを選びました」
林「ちゃんと考えてるねんな」
田「でも買ってくれた時の喜びは凄いよな。Eggsで聴いて欲しくて!とか言われると」
松「うおー(感激)ってなる」
青「通販サイトのアンダースコアレコーズでも結構買っていただいて本当にありがたいです。アンダースコアレコーズさんにも感謝です」
林「でも、まだTシャツが1枚も売れてないです(笑)」
田「まぁまぁ出したばっかやし。Twitterのネタにもなったし。長文で画像付けれたし(笑)」
津「あれすごく良いデザインだと思うけど…」
松「彼(林)デザイン担当なんですよ。CDジャケットとかも」
林「お金がないんでジャケットとかはネカフェで作りましたけどね」
松「しかも僕と2人で1つのブースっていう。本当に金ない…
なので完成の瞬間を間近で見てました(笑)」
津「(笑)。
あとは演者側になってからYouTubeとかも見るようになりましたか?他のバンドとか」
田「だいぶ見るようになりましたね。オススメリストに自分達が載っていたら、それに載ってる他のバンドも聴いたら、その後対バンする」
他3人「あー、それある」
松「あとはTwitterにライブ後にライブ動画を上げられる方いますけど、あれめっちゃ見ますね」
津「なるほど。性格も出てる感じですけど勢いよりは、考えてから行動する運営ですよね」
松「バンド運営って音楽以外にもいろいろやること多いなと思いました」
林「HPどうしよ…」
立ち耳スコティッシュフォールド(tachimimisuco)のEggsページ|インディーズバンド音楽配信サイトEggs
今後の目標
津「まず、今年こういうことしたい、みたいなことありますか?」
松「まだメンバーには言ってないんですけど…」
他3人「怖」
松「音源を作りまくりたいと思ってます。
去年ライブし始めたばっかりで、自分らのレベルもよく分かってなくて、ありがたいことに賞レースで受賞させてもらったんですけど、今年はただただ良い曲を量産したいと思いますね。去年のライブ経験を受けて、いろんなタイプの曲を作って、いろんなことしたいです」
津「これを聞いてみなさんはどうですか?」
田「期待に添えるよう精進いたします」
青「もらった音源を必死に再現して付いていきたい」
林「(げっぷ)
ごめんなさい!頑張っていきます」
一同「(爆笑)」
津「炭酸差し入れてまじゴメン(笑)
そういう中で今年はどういうフェスに目標に頑張って出たいとかありますか」
松「…言うの勇気入りますね」
津「(前々回インタビューの)ぼっちぼろまるさんは勇気持って武道館と言われましたから!そういう意思を見せちゃいましょう!」
松「ミナホ、見放題、COMING KOBE…!」
青「ミナホ出たいね」
松「めっちゃ楽しそうですよね」
青「出演バンドマンに配られる、黒いPASSがほしかった」
他3人「ほしかった…!」
津「そういうのも見て、今年の叶えたい目標としては関西のサーキットに出たい、憧れもより強くなったという感じですね」
青「またコンテストとかも応募して」
津「やっぱ全然投票状況とか分からないんですか?」
松「分からないですね」
津「本当去年のROJACK2期連続入賞なんて、連続となると過去はIndigo la Endしかいませんから」
松「ROJACKって会場で実行委員の方が講評とかしてくれるんですけど、そこでも君らとIndigo la Endだけだからって言われまして、川谷絵音くんはいまだになんであの時優勝させてくれなかったんですかって言ってくるって言ってました(笑)」
田「いまだに言われるんやって面白かった(笑)」
津「面白いエピソードですね(笑)」
青「でもやっぱ東京行って1年で2回名前呼ばれないのを経験するのは、結構メンタルしんどいです(笑)」
津「そのエピソードも立ち耳さんしか話せないですもんね」
青「デジャブだ…って(笑)」
田「えらいもんで2回目はパンフレットを見て、他の優勝するやつ2組当てたんですけどね(笑)」
津「まぁ今年もそういうのを経てにはなるでしょうが、最終的に数年後でもこういうことをしたい、理想な大きな目標は何になりますか?」
松「(考えて)ワンマン。あとは大人たちと絡みたい。ん?あ、レーベルに入りたい、ですね(笑)」
田「レーベルに入ることをそう呼んでたんや」
松「でもまぁ絡みはほしいですね」
田「あとTwitterの公式マークがほしい(笑)」
津「でもそういうライブはもちろん、音源やネット周りも大事にするという姿勢は、個人的に田舎育ちでライブに行く環境がなかった僕にとって、すごく嬉しいことなので、これからも頑張ってほしいです!」
立ち耳「ありがとうございます!」
感想
いやー僕自身にとってもすごく勉強になりましたね。
松本さんが言ってた「よく分からないままやっていた」というのは、売れてる売れてないに関わらず、多くのバンドも抱える悩みだと思いますし、だからこそじっくりじっくり経験を活かし腰を据えてやりたい中でも、金銭面や年齢はもちろん、期待に対する演者にしか分からない焦りがあるんだと実感しました。
その中でやっぱり様々な応援というのは、立ち耳さんも本当に一番声を大にして感謝していたし、力になるんだけど、
リスナーはその応援が押し付けになってはいけないことを注意しないと、と自戒の意味を込めて思いました。
まぁリスナーは好き勝手言うでいいんですけど、やっぱりバンドマンも人ですから、いろんなネット上やライブハウスでの言葉に対して影響って受けちゃうでしょうし、それがプラスになればいいんですけど、いつもそうとは限らないのが実情です。
だからまぁなんか「ん?」ということがあっても、
「いろいろ試行錯誤してるんだな」「そういう人達なんかな?」「まだ若いしな」
と声や文に出さず、一度見守ってみるってことも、1つ意識として持つのがリスナーは大事かなと思います。問題点はきっと現場が1番分かってます。
本当にバンド運営っていろいろやることや壁があると思うから、バンドの各々のペースってある。
立ち耳の4人で言うと、彼ら本当にいい方々なんですけど、4人が4人とも静かでゆるーい空気を持つ方々だったので、MCや物販でおぼつかないところあるかもしれませんが、そこは本当に温かく見守ってあげてください……(笑)
でもきっといつかワンマンで堂々としたMCをしてくれます!
これからも微力ながら応援し続けます!
それでは、この辺で
↓次回のライブ!