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『ヲトシアナ』で嘘とカメレオンにご入学しませんか

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嘘とカメレオンのチャム(.△)さん。
基本的に白いサイズ大きめの服で、手首になんかいろいろ付けてて、キラキラしたアイラインしてる、笑顔の可愛いほぼ全作詞担当している女性ボーカルさん。
ライブでは腕組みヘドバンが特徴的。


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この方なんですけどね、全曲の詩を担当してる嘘とカメレオンのNEWアルバムの中にいなかったんですよ。

正確に言えば、ちょいちょい顔は出してました。
1曲目の『百鬼夜行』、ラストの『キンイロノ』は今の嘘とカメレオンの気持ちを歌ったような曲でしょうから、さすがに。

でもその他の10曲では、完全に姿をどこかにくらましてました。
代わりに歌ってるのは、赤毛のショートカットの活発な女の子だったり、トゲトゲの髪型した(ヒーローアカデミアの爆豪みたいな)悪ガキだったり、眼鏡をかけた引っ込み思案の三つ編み少女だったり。
で、やっぱりリード曲の『フェイトンに告ぐ』が主人公だと思います。なんかその変わりたいけど変われない系のダメダメな男主人公みたいな。
それを取り巻く、支えるヒロインみたいなのが、物語シリーズかのように出てくるんですけど、チャム(.△)さんはそこにいないんですよね……。どう聴いても。


言ってしまえば、キャラソンのよう。
これを歌ってるチャム(.△)さんが想像できないというか、想像しようとしてもどんどん顔面が崩れて、すぐそのキャラクターになるんですよね。
最初に書いた通り、いろいろ特徴があって、何より美形だから覚えやすいはずなのに。それを越える曲の強さがあるということ。


各種インタビューでも答えているように、みんなルーツバラバラなんで、いろんなタイプの曲を詰め込んだ、とてつもなくバラエティに溢れた名刺代わりの作品と言ってしまえば簡単なんですけど、それじゃ説明足りない新しさがある気もします。


キングレコード学園、1年嘘カメ組

結構バンドって言っても自身の経験を直情的に表現するものじゃないですか。
だからこそ熱が伝わるみたいなところあるじゃないですか。だからこそ生のライブが一番伝わるみたいな。CDはそれをパッケージしたものーみたいな。


でも嘘とカメレオンは……
実は一度ライブ見たことあるんですね。
去年の7月に。『されど~』のフィーバー中ですよ。
ぶっちゃけ煽りに煽って、かなり力業でライブを盛り上げるタイプなんですよ。
今は変わってんのかもしれないですけど、まぁ当て振りイベントを売りにしてるということは、ライブパフォーマンスの激しさは変わってないんだと思います。
それはそれでプロフェッショナルだったし、嘘とカメレオンの紛うことなき本質です。

でも本当にいい意味でそれがパッケージされてない。
アルバムにある曲は本当に丁寧な"作品"。フィクションばかりというか、嘘とカメレオン自体はCDでは徹底的に曲に対して裏方に徹しています。作詞したチャムさん含め曲をリスペクトしてるというか、だからこそいろんなノリも入ってる。
それは決してCDは大人しくてつまんないというわけではなく、曲ごとに姿形ごと変化していく面白さで溢れているということ。
女性バンドマンで、ほぼ自分のことを感じさせない歌詞を書ける。それ自体がなかなか少なく、新しさだと思います。

だからこのアルバムの12曲中11番目にあの、『されど奇術師は賽を振る』が入ってるんですけど、その待ち受け方が違うんですよね。
アルバムを順番に聴いていって、シングル曲や先行のMV曲がやってくると、「はい、安心感」「待ってましたよ、メインディッシュ」となるものですが、このアルバムだと「この曲は何色なんだろう?」「どういう立ち位置のキャラクターなんだろう?」と改めてフラットな気持ちにリセットさせられた状態で聴きざるを得なくなってます。

このアルバムは通して1つの物語になってるタイプではないですが、どの曲も各々の個性を持つ、言うならば学校の1クラスです。
活発な子もいれば、引っ込み思案な子もいて、変に達観した子もいれば、目立たなくともしっかり夢を追ってる子もいる。
『されど~』はクラスのお調子者の男の子というところでしょう。
ただそれだけであり、別にこの「1年嘘カメ組」の全ての姿ではない。でもクラスには欠かせない1人。
たまたま彼が、なんかで全国のコンクールで入賞したという感じで、最早クラスで浮いてる存在ではない。ただの一学生だったことがアルバム聴けば分かる。

それでメンバーは先生の立ち位置。
クラスの子を支えている。
でも担任がチャム(.△)先生だけだったら、優しすぎてまとめきれないところを、副担任の渡辺先生(ギターでほぼ全作曲を担当。眼鏡の人)が締める。男子生徒やギャルを怒鳴る。他の3人も科目や場面によってしっかりクラスをサポートしている。
(これ要するにアニソン色が強くなりそうなところを、渡辺さん中心にロックに、ライブバンドにさせているということです。)



なのに今でもまだ、そのちょっと目立ったお調子者ばかりを見て、「あそこのクラスは全員お調子者だ」「きっとみんな落ち着きがないんだ」と決めつける者がいます。
甲子園出てる高校見たら、「きっとこの学校はスポーツしかできないんだろうな」と思う人のように。意外と偏差値高いところも多いのに。(まぁ本当にやっちまってる所もあるけど…)

かくいう僕も『されど~』君と初めて会ったときは、お友達になれてなかったと思います。嫌いではないけど、まぁ、うんって感じ。

でも前作のミニアルバムも聴いて「あれ?なんかイメージと違うな」となり、このフルアルバムも聴いたんですが、今ではすっかりクラスに溶け込めました。
『フェイトンに告ぐ』君、『うみねこの鳴く街に』さん、前アルバムからの『Lapis』ちゃんは、もう完全に意気投合して、この週末に遊ぶ予定です。
あ、文章がキモくなってきた。



でも、ライブは激しいんですよね。
ここまで丁寧に作り上げた学生日誌というか、学園漫画をビリビリに破り捨てるかのごとく、先生達が暴れまくる。
ただそれが「せっかくの丁寧さが勿体ない」ではなく、むしろそれが爽快なところが、このバンドの独自の強さなんだと思います。

でもこの魅力が付くのって、絶対時間かかるでしょ。
音源とライブで、別方向に振り切ってるんだから。売れる前は「CDにもライブの熱をもっと込めれば?」もしくは「詩の世界観をもっとライブに活かせば?」と億万回言われてるんじゃないでしょうか。
実際嘘とカメレオンは下積みの長いバンドで、メンバーの年齢も去年出てきた若手にしてはそこそこです。


でもこの苦労が現代にハマった。
恐らくYOUTUBEの『されど~』での印象でライブを見に来た人がほとんどの昨年に対し、想像以上のライブの熱、音源の練られた作り込みと、1度のみならず2度"ネットのイメージ"を裏切ったところが結果として一歩先に行けたし、「あ、これ一発屋じゃないぞ!」と"再度"口コミで広ませるのに十分で、業界もほっとけなくなってきた。
本当にぽっと出だったら、2度も裏切れなかったでしょう。まさに『予想は嘘よ』。



まとめ


YOUTUBEで突然スマッシュヒットしたバンドはアンチも付きやすいもの。
嘘とカメレオンも同様です。
バンドなのに曲以外の部分でキャラ付けをしてしまうと、あーやこーや言われますし、言う人の気持ちも分からんでもないです。

でもその覚悟を背負って、なりふり構わずやっていく感じまで来たなら、止まるわけにはいかない。
ここのカッコよさって、もっと分かられてもいいのかなーと思います。

メンバー同士もとても仲が良いらしいです。それが本当かどうかはどうでもいいんですが、バラバラな曲を繋ぎ止めている、チームワークの強さみたいなものは、調べるほどとても強く感じました。

これから高いフィールドで戦ってチャムさんがどんな歌詞を書くのか。そしてどんな作曲の引き出しを渡辺さん中心に開けていくのか。
そして今後、どんなクラスメイトが増えていくのか。


きっとどのタイミングでも驚きを見せてくれるバンドだとは思うのですが、もうこの『ヲトシアナ』のタイミングで、このクラスにあなたも編入してみても、損はないです。





それでは、この辺で。

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