邦ロック最前線情報局

元地方勢の目線から、邦ロックの最前線を

関西のサイコで最高な兄さん・姉さんバンド4選

「今、10代や高校生バンドが熱い」


これは各種コンテストや専門メディアの扱いを見ても顕著。
特に熱いのは関東と北海道。
いわゆる98世代や、Mr.ふぉるてが出てきた辺りから、北海道はUMEILOや-KARMA-と輩出が止まらないし、
今年のROJACK優勝にはリュックと添い寝ごはん、クジラ夜の街、ルサンチマン(一人は大学生)と、関東の高校生バンドが軒並みロッキンの舞台に立つなど勢いがすごい。
他にもUnevenness'sなど原石がゴロゴロといる。

その結果、世代交代のスピードみたいなのが今すごく早く感じている。
たしかにまぁ、今、シーンのブーム転換期みたいな気はするし、
そろそろミレニアム世代のリスナーが同年代の新しいスターバンド・ミュージシャンを求めたくなる時期に差し掛かっているのだろう。
過去にはBUMP OF CHICKENKANA-BOONがそういう期待を背負わされた気もするし、
上記のMr.ふぉるてやUMEILOなんかの期待もそういうものに似ている気がする。
嫌な大人に振り回されず、バンドし続けてほしいな。

その流れには関西にも。
今、CAT ATE HOTDOGS、anica、Re:nameなどなど期待の10代から20歳のバンドがいる。

しかし気質なのか、
そんなブームにも「へこたれへん!」とばかりに、
関西では、より濃厚な旨みとユーモアを纏って活躍する元気な兄さんバンドが増えている気がする。
10代には逆に出せない思い切りの良さと10代に負けないピュアな気持ち、
そしてキャラクターの勢いだけでなく、ちゃんと曲としてもカッコいいみたいなバンドが、シーンを盛り上げていっている印象がある。

「関西ってなんか下品そう…」って思ってるそこのあなた。
たしかに言葉遣いにビビってしまうところはあるし、
ノリで解決しちゃいけないことも、ノリで終わらせることもあるけど、
関西だからこそのクセの強いサイコで最高なアダルトを選んでみたんで聴いてみて下さい。

あの娘はウォンバット

あの娘はウォンバット『頭がよくなる歌』 - YouTube


頭がよくなるかどうかは置いておいて、
情報量がすごくて脳での処理が大変な
『頭がよくなる歌』。

ダイエットや定期考査をテーマに歌った、『ゆらせ体脂肪』『定期的カーニバル』。

歌詞やメロディはグッドな失恋ソングなんだけど、
MVでプリンを顔面にぶち込む、
やっぱりまともじゃない『プリン』。

男女ツインボーカルが早口でまくし立てくる感じに、
さらに相乗効果を生むような変幻自在なギターロックは、
それだけで目をキラキラさせてくれるくらい楽しいんだけど、
このすごいいいタイミングで「いやなんでやねん!」って言われるのを、
全く恐れていない歌詞をぶち込んでくる。

この面白さがないと、
このバンドじゃないだろうし、
しっかりとしたキャッチーさも兼ね備えたこのサウンドは、
SNSからでも火が着いてもいいと思う。


メタボリックシンジゲート

MV「MVの再生回数が戦闘力に見える。」メタボリックシンジゲート - YouTube


突如なのか、結構長い潜伏期間を経てか、
関西シーンに現れたバンド。

初の公式MVの『童貞ファイト!』を聴いたときは、
「ちょっとストレートすぎかな…」って思ったし、
最後上半身裸の集団が出てきたときは少し引いちゃったんだけど、
今年発表された『MVの再生回数が戦闘力に見える。』が本当にいい曲。

持ち味の「分かる!分かる!それそれ!」に加えて、
本来バンドにとってはシビアなテーマでただの愚痴になりがちなのに、
それをすごく心温まる曲にしていたのが新しいカッコ良さだった。

他も独自の視点から繰り出されるテーマを、
これでもかと会場を揺らすサウンドに落とし込むし、
ボーカルのウチミズさんのダンスと、ベースのボビーさんの存在感は必見。

愛はズボーン

愛はズボーン "Psycho Western" (Official Music Video) - YouTube



この曲すごくカッコよくないですか?
一時期King GnuやTempalayを聴いてるのカッコいい、音楽のファッション化が進みつつあったような気がして、
なんとなくそれが嫌だったんですけど、
愛はズボーン聴いていると、
そういう人達はあまり気にしなくてよくなる気持ちになれるというか、
本人達の魅力と工夫によってなんぼでもカッコよくなるのがミュージックの本質だなと思った。
(そもそもKing GnuやTempalayだって泥臭いDIY根性があってこそだけど、そこはあまり気付かれない)

MVも含めて、よりメッセージを楽しく伝えるかというところに妥協がないバンドというイメージ。
笑いのウケではなく、そういうワクワク感や予想のつかなさで楽しませる。
個人の発信に息苦しさを感じている現代人に今、必要なのは「ボンボン、ズボボン、愛はズボーン!」のあのリズムだと思う。


超能力戦士ドリアン

超能力戦士ドリアン「恐竜博士は恐竜見たことないでしょ」(デモver) - YouTube



最後に紹介するのは、人気沸騰中の彼ら。
全国区の存在になりつつあるけど、
しっかりヤバイよね。

本当にここまでメッセージ性がないとは思わなかった。
いきものがかりと同じ編成』はただの自己紹介だし、『恐竜博士は恐竜見たことないでしょ』は「思い込みで知ったかぶるな」的なメッセージかと思いきや、本当にトリビア歌ってるだけだし……
ひょっとしたらあるのかもしれないけど、考えたらきっと負けだよね(笑)
キュウソネコカミはもちろん、ヤバいTシャツ屋さんからは、
やっぱり世間の皮肉とか、隠しきれない天才性は伝わってくる。
でも超能力戦士ドリアンはそこへのリスペクトもありつつ……全部曲名通り。ある意味すごく優しい。

ただ超能力戦士ドリアンは天才性のベクトルがそっちではないと思った。
もうとにかくライブは最高だった。
空っぽなんだけど、誰一人傷付けない。
害悪みたいなモッシュやダイブとは無縁の安心感は去年のベストアクトにさせてもらってもいいレベル。
誰一人置いていかないの1つ上、
全観客超能力戦士ドリアン化の世界を作り上げていた。

ここからレディクレやロッキンのステージへ登るため、どのような策略を見せていくのか、非常に興味あるー。


まーとーめー


というわけでサイコで最高な兄さん、姉さんバンドを紹介しました。
でもまだ言っても、10代と比較したらということで、まだまだ伸び代が収まらない4組です。

もちろん関西には良質な歌ものや圧倒的サウンドを持つ20代中盤から後半のバンドもゴロゴロいるんですけど、
関西特有のこの「いてまえ魂」は、このスマートさが求められる時代に、風穴というか、心の拠り所になるんじゃないかと思うんです。

で、簡単にコミックバンドと切り捨てる人もいるかもしれないけど、
なんというか技術やセンスの裏打ちあってこそだと思うし、
バンドとしての魅力で言うと、関東のクールな技巧派とかにも負けないし、
さすがヤバTや岡崎体育を生み出した関西は層が違うなと思ってくれたら嬉しいです。



それでは、この辺で

いきものがかりと同じ編成

いきものがかりと同じ編成

  • 超能力戦士ドリアン
  • ポップ
  • ¥250