邦ロック最前線情報局

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Saucy Dogのことなんか書けないよ

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作文意欲(?)はあるけれど、題材が思い付かないので募集してみたところ、Saucy Dogがありました。

ほほぅ、たしかにSaucy Dogのブログらしいブログって見たことない。
もちろん「イケメン石原さんに彼女は!?」とか、Wikipediaをパクったようなのはあるんですけど、音楽そのものに素人が見解を書くみたいなブログは、この知名度を誇りながら全然ない。まぁそんなことすんなって話ですけど。


でもSaucy Dogはなんかそういうことをすること自体が、なんというか空気読めてない感ハンパないんですよね。
これは偏見でしかないんですが、音楽系のブロガーさんって「どこか挙げ足取られてそうなとこはないか?」と探して書く方が多いです。
そういうネガティブを切り口に「実はそれこそが唯一無二!」とか「だからこそ最強!」みたいなオチが多いし、毒舌系なら「時代ですかねぇ」みたいなオチにしてます。

でもSaucy Dogは全然そんな足が上がってない。犬なのに。

無理に粗を探そうものなら、
「えぇ…それはちょっと性格悪すぎでしょ……」って後ろ指指されます。
学校のクラスで言うなら、底抜けに明るいわけではないけど、誰からも愛されるキャラなので、まぁまず変にイジられることはない立ち位置にいるんですよね。バンドシーンにおいては。(実際は秋澤さん、結構イジられてるけど)


そこにはSaucy Dogの音楽は真っ当な優等生なのかと言われれば、そうでもないと思ってるところもあります。
本当にただ優等生なら、「真面目くん・エリートキャラ」というイジりポイントが生まれて、もう誰かが記事にしてますから。


『いつか』を代表に、その他諸々聴けば聴くほどハマる感じの、正統派の歌ものバンドですが、じゃあ王道かと言うと違うと思います。

王道がどんなもんかと言われると難しいんですけど、すごく心にはくるんだけど、誰にでも当てはまるものではないロックだと思います。
石原さんを中心に、「3人の」失敗なり、成功なりがしっかり歌詞以外の部分にも反映されてて、いい意味でライブを死ぬほどやってたインディーズな感じが今も抜ききれてないように思えます。
まぁ有名な話ですが、ライブ数はもちろん、この3人になるまでは結構順風満帆とは言えない日々を過ごしたことや、今も他のバンドマンと「LINEでよくね?」という会話を、普通にTwitterでしてるところにも、その感じが見える気がします。

なんか彼らっていまだに牛丼屋に行っても、サラダセットにするお金を渋っちゃいそうじゃないですか?
そんな庶民的なところというか、人情味溢れる感じがあります。



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そもそも『いつか』は


ていうかもう、ここ2年で若手バンドで、どちゃくそバラードの歌でブレイクしたバンドって彼等しかいない。

もうこれで十分彼等の強さって示せてると思うんですよ。
もう公開されて約2年ですか。

もちろん聴かせる曲では何曲かありますけど、シティポップでもなく、完全にミディアムチューンから抜ききった、ここまで音数の少ない、明るくないバズり曲は全然出てこない。
ドラマストアやmol-74とかもいるけど、やっぱり現状は2段階くらい上にいるのかなとは思います。


最近の流行りである、赤裸々な感情を文学的な比喩表現ではなく、具体的な情景を可視化させる詞でインパクトを与えるだけでなく、
スリーピースだからこその音の一つ一つの主張させやすさと「第4の楽器」と本人達も言うコーラスを最大限に活かしてるので、その赤裸々で少し重いくらいの恋の歌も、とても美しいものになっています。

今は本当に赤裸々な歌詞全盛で、
リスナー自体も「もっとどこにもないようなラブソングを!」「もっとグサグサくるものを!」となっていて、
今までそれはスピッツRADWIMPSクリープハイプあたりの得意技だったのが、近年でそのテクニックが一気にインディーズに降りてきて、インパクトのある歌詞を書くのが上手なバンドが増えていると思います。

でもそれって少し「ドロドロみ」が強いというか、基本ピュアな10代のリスナーで、特にJ-POPも好きな初心者からしたら、アクが強めで避けられるところもあると思うんですよね。
その純度こそがインディーズのらしさではあるんですけど。

そのインディーズらしいアクを保ちつつ、前述の技術によって、最も受け入れやすい状態で曲を作れるのが、Saucy Dogの強みで広まった理由なんだと思います。

実際ライブを見たときも、他と比べ底抜けに速いスピード曲やノリがいい曲があるわけではない「歌詞を聴くタイプ」ではあるけど、爽快感が残っていくライブをしていました。

本当に「さっさとカルピスはCMタイアップ与えてや」という感じで、その部分に関してはflumpoolレミオロメンのような万人受けする王道感があります。


インディーズと王道の間にいるバンド。
実はここ2年、全くそういうタイプのバンドが現れてないから、着実に浅瀬のバンド好きも、中間のバンド好きも、深いところにいるバンド好きにも人気を得ているのだと思います。



まーとーめー


でもこう文章書いてると、大味よりはやっぱり何杯でもいけるバンドって感じだし、本当にもう「そのまんま、聴いたまんま」っていう感想が、Saucy Dogに一番合うように思えるんですよね。
白米にわざわざ考察要りますか?って感じです。

メジャーバンドはやっぱり音楽的進化が凄くて、様々な考察しがいがあって、
インディーズバンドはやっぱり現場でしか自分達を表現できてない部分があるから、伝えたいという気持ちから考察ができる。(あまり現場主義過ぎると悲しくなるけど)

でも今のSaucy Dogはそういう取っ掛かりみたいのも綺麗に整頓されているので、もうわざわざ考察も必要ない。
だから実はどんなに激しいライブバンドよりも、その音源がちゃんと「本当」なんだと思います。
ある意味ブロガー泣かせですね(笑)
でもそれは『いつか』や事務所の力だけではできないことだし、まだミニアルバム2枚だけという状況で、今あれだけのステージにいってるのが証拠だと思います。
まぁ僕自身の好みは、アクが強めなreGretGirlや、タイプ変わるけど凛として時雨神聖かまってちゃんなので、「少し薄味かな……」と思わなくはないですけど、Saucy Dogがつまらないと思っちゃうほど、ひねくれ者ではないです。素材の味を楽しんでます。


そしてそれは裏を返せば、まだまだSaucy Dogからいろんな個性がこれから生えてくるかもしれないということです。
僕は次、sumikaやMrs.GREEN APPLE、髭男に次ぐ世間受けするロックの存在になれるのは、緑黄色社会と踏んでたのですが、調べれば調べるほどSaucy Dogの可能性もあるなと思ってきました。

でも心のどこかで、3人だけが出す音にこだわってほしいとも思うのは、多分インディーズ好きの心も掴んでるから。



今年はどれだけの人にSaucy Dogが広まるのか、見ていきましょう。




それでは、この辺で。

いつか

いつか

  • Saucy Dog
  • ロック
  • ¥250